法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

国際政治学者の秋山信将氏は、政府に忖度しないと自称しながら、布マスク2枚に良かったさがしを求める

感染症対策において、御用専門家を政府が集めると予想して追及をうながすジャーナリストがいた。
それに対して、学者が忖度していることを具体的に指摘してから評するべきと秋山氏がツイートした。

秋山氏自身も学会の研究大会で「政府に忖度」していると評されて、不愉快な思いをしたという。

あくまで予想にもとづく警鐘に対して、実際に問題になるまで批判してはならないと主張するのは、反論としてずれていないかという疑問はある。
また、「気に入らない」という理由で分析を採用しない政府を批判しないのであれば、それはそれである意味での「忖度」ではないかという疑問もある。
とはいえ、体験談をふくんだ学者側の意見として、興味深くくむべき内容ではあると思った。


しかし、感染症対策で政府が実行する政策に対して、批判を抑制するようなツイートをしたとなると、秋山氏の自認する「忖度」の基準そのものが疑わしくなる。

秋山氏はどのような想定でツイートしているのだろう。布マスク2枚配布に対する批判が、費用対効果や優先順位などの観点からであれば、受けとることと批判をつづけることは両立する。
たしかに配布が予定されている布マスクの性能を懐疑する意見も見かけているが、その場合は秋山氏の「安全安心のため」という主張だけでは批判をおさえることはできまい。
秋山氏が個人として布マスク2枚を歓迎することは自由だとしても、それを他者に求めることにどれほどの妥当性があるだろうか。


それでも秋山氏が常に良かったさがしをする性格ならば、布マスク2枚への批判を抑制したこと自体は、政府への忖度ではないのかもしれない。
たとえば半年前の野党へ、いったんくさしつつ「大変ありがたいです」と秋山氏がツイートしたことはあった。ただ、これを「良かったさがし」と解釈するのは大変に難しい。

野党による公文書問題追及をシュレッダー視察で初めて知ったのが忖度でないならば、その時まで竜宮城で酒飲んでワァー*1とでもしていて、社会の動きを知らなかったのだろうか。
そもそも衛星政党でもないかぎり、政府与党の問題点を洗い出すことは野党の重要な仕事のひとつだろう。逆に、公文書管理の体制とルールと資源配分を求めるべきは、まず公文書問題を生みだした政府に対してだろう。
秋山氏にならって正直にいえば、秋山氏の状況認識能力で安全保障問題を論じるのは荷が重くないかと心配になる。