米国では何もしないと死者が100万人を超えるという推計が出たために、ロックダウン的施策に至りました。社会的隔離を2カ月続けてようやく10万人規模に抑えられると予想されています。
先ほど言いましたように、日本の緊急事態宣言では、自粛ベースであまり効果はないでしょう。いずれロックダウン的な施策をせざるを得なくなります。その際には休業補償などもしっかりとやらなければなりません。
ロックダウンはやるかやらないかではなく、やるしかないということです。本来であれば4月初めにロックダウンすべきでした。今からやっても遅過ぎますが、やるしかない段階です。
スウェーデンなどの一部の国はロックダウンせずにうまくやっていると評価するメディアがありますが、欧州はもともと在宅勤務がすごく進んでいます。ロックダウンしなくても家にいるわけです。日本はどうでしょうか。あれだけ自粛しろと言われていても、在宅勤務は9%しか増えていないといわれています。欧米各国とは働き方などが比較になりません。
指揮系統をはっきりとさせ
検査を増やし、医療従事者を守れ
──今から日本はどうするべきなのでしょうか。
日本はクラスター対策にこだわってしまいました。水際対策とクラスター対策で国内まん延を防ぐことができるという考えがその根本にあったのでしょう。
しかし、市中感染と院内感染がこれだけ広がってしまえば、水際対策をやっていてもほとんど意味はありません。空港でPCR検査を大量にやっていますが、リソースの無駄です。市中にどれだけ感染者がいるか、院内感染をどうやって防ぐかが今は最も重要です。
このパンデミック(世界的流行)はすぐには終わりません。数週間、数カ月間で終わるはずはなく、終息には年単位の時間が必要でしょう。人々はウイルスと共生する新しい生活に慣れていくしかありません。
今は戦争や大災害並みの国難です。想定内で準備をしていてはダメ。英知を集めてやり直すしかない。そうでなければ、このウイルスとの戦いに敗退するしかありません。
ただ、核戦争後の世界とも違います。全く外に出られないというものではありません。今までの常識が通用しないということです。新しい生活に適応するしかありません。
まずやることは三つです。一つ目は政府の指揮系統をはっきりとさせる。今は官邸や危機管理室、専門家会合、厚生労働省などバラバラです。二つ目は、検査数をしっかりと増やす。三つ目は医療従事者への防護服の配布を徹底して、彼らを守ること。医療が崩壊したら日本社会は持たない。
──個人としてできることはあるのでしょうか。
今はとにかく外出をしないこと。そして、よく手を洗うことです。いわゆる「3密」を避けることも有効です。運動は距離を保てれば1日1回程度なら全く構わない。よく寝てよく食べて運動する。やれることはそれぐらいでしょう。