学校教育と著作権

(大和 淳 著)

Q1児童、生徒の作品にも著作権はありますか。

児童、生徒の作品にも著作権はあります。著作権は、小説、音楽、絵画、映画、写真、コンピュータ・プログラムなどの作品(著作物)を創作した者に対して認められる権利です。著作物であるためには、表現に創作者の創意工夫があればよく、作品に芸術的、学術的又は経済的な価値があるかどうかは問われません。

したがって、児童、生徒が、学校の図画工作や美術の授業時間に描いた絵、国語の授業時間に書いた作文や感想文、あるいは家庭内で書いた日記や友人に宛てた手紙などは、ほとんどのものが著作物であると考えてよいでしょう。

ところで、一言で「著作権」と言いますが、この権利は、創作者としての人格的な利益を保護する「著作者人格権」と、無断で複製などの利用をされないことを主張できる「著作権(財産権)」とに分けられ、それらの権利については、表のように細分化されています。

※この表及び文中で「複製」と説明している行為には、複写機やスキャナーなどで写真的に(画像として)再製するもののほか、テキストデータとして入力したり手書きで書き写したりすることも含まれます。「無断でコピーしてはいけないが、手書きなら問題ない」という誤解をしないよう注意が必要です。

児童、生徒が書いた作文を印刷して文集にする場合を例にして、どのような行為に著作権が関係してくるのかを説明します。

まず、「著作者人格権」について考えてみると、著作者にはその未公表の著作物を公表するかどうかを決定できる「公表権」が認められていますので、学習の課題として教員に提出した作文という、未公表の著作物を文集に掲載して公表することについては、児童、生徒の同意を得ておく必要があります。また、著作者の氏名をどのように表示するかについても配慮が必要です(「氏名表示権」)。もっとも、作文を文集に掲載する場合には、学校で使われる本人の氏名を表示するのが通常でしょう。さらに、著作者には著作物の題名や内容を勝手に変えられない権利「同一性保持権」が認められていますので、先生が良かれと思っても、原則として内容等の改変は本人の同意を得ない限りできません。

次に「著作権(財産権)」について考えてみると、「印刷」という行為は著作物の「複製」に該当し、文集をクラス内に配付する行為は作文の複製物の「譲渡」に該当しますので、著作者である児童、生徒に「複製」と「譲渡」の許諾を得る必要があります。

学校における教育活動のなかで児童、生徒の作品を利用する場合でも、著作権法の規定を厳格に運用すると、以上のとおり、著作物の利用ごとにそれをどのような行為で利用するのかについて、表に示した権利と照らし合わせて著作者の同意や許諾を得ることになります。しかし、学校教育活動を円滑に実施するために、入学時や年度初めに教育方針の一環として児童、生徒の作品の利用についても包括的に説明しておくという方法も考えられます(教員による指導は、児童、生徒の資質や能力を育成することを目指すものなので、暗黙の了解があると考えることもできますが、教員が児童、生徒の作品を、加工したり利用したりできるというものではありません。また、児童、生徒やその家庭のプライバシーに関わる内容が含まれる場合には、個別の配慮が必要であることはいうまでもありません。)。

Q2授業の過程で使用するために教員が作成する教材に、既存の著作物を利用する場合、どのような点に注意すればよいですか。

授業の過程では、教科書や副読本以外の補助教材を、教員の手により作成することがあります。その際、全て教員自身が創作する場合だけでなく、既存の著作物を利用して教材を作成する場合も多いと思われます。 著作権法では、このような場合に無断で他人の著作物を利用できる例外規定が設けられています。


著作権法第35条第1項 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
※平成三十年の法改正により後掲Q5のケースの取扱いが変更されたことに伴い、この規定も改正されましたが、この回答で解説している内容には変更はありません。

例えば、授業のために教員が他人の作品の一部を利用してプリント教材を作成し、児童、生徒に配付する場合などは、この規定により、著作権者の許諾を得ずに行えることとなるのです。ここでいう「授業」とは、各教科の授業に限られるものではなく、教育課程上に位置づけられた、特別の教科・道徳、外国語活動、総合的な学習(探究)の時間、特別活動なども含まれるものと考えられます(学習指導要領に規定された教育活動でなければならないわけではありませんが、全国共通の教育課程の基準である同要領に基づいて編成、実施されている活動であれば、少なくともそれらは学校における授業と考えてよいと思われます。)。また、教員自らが複製するのではなく、当該教員の依頼に基づき事務職員等が複製することについても、この規定の適用があると考えられています。もっとも、教育委員会が一括して複製し、管内の学校において教員がそれぞれ担任する児童、生徒に使用させるような場合は含まれません。

なお、「授業の過程において使用する」ために教員が主体となって複製する場合であっても、全ての場合に無許諾で行えるわけではありません。授業のために必要と認められる限度を超えて複製することはもちろん、著作物の「種類」や「用途」、複製の「部数」や「態様」に照らして著作権者の利益を不当に害することとなる場合にも、著作権者の許諾が必要となります。したがって、例えば、

などには、原則として著作権者の許諾が必要となります。

各教科や総合的な学習(探究)の時間等において、児童、生徒が調べ学習などの成果を資料にまとめクラス内に配付するような学習形態が増えていますが、その資料に他人の著作物を複製する場合には、前述の教員の場合と同様の条件により、調べ学習をした児童、生徒の行為についても著作権者の許諾を得ずに行えることになっています。

なお、この規定に基づき、著作物の利用を行う場合には、慣行に従った方法で、当該作品の題名、著作者名などを明示しなければなりません(出所の明示)。さらに、この規定により作成された資料を、「授業の過程における使用」という目的以外に使用する場合には、改めて著作権者の許諾を得る必要が生じることに注意してください。

※この設問でいう「複製」の意味については、Q1の※の説明をご覧ください。

Q3文化祭等で、演劇の上演や音楽の演奏を行う場合、著作権者の許諾を得ておく必要がありますか。

文化祭等で演劇の上演や音楽の演奏などを行う場合には、原則としては上演権や演奏権等が働くことになり、著作権者の許諾を得る必要がありますが、(1)その上演又は演奏等が営利を目的としていないこと(2)聴衆又は観衆から鑑賞のための料金を取らないこと(3)演奏したり、演じたりする者に報酬が支払われないこと という3つの要件をすべて満たす場合には、著作権者の許諾を得ずに演劇の上演や音楽の演奏をすることができます。


著作権法第38条第1項 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。


しかし、この規定により著作権者に無許諾で利用できる場合は、上演、演奏、上映、口述についてのみなので、脚本や楽譜のコピーについては著作権者の許諾を得なければなりません。著作権者の許諾を得る方法については、Q13をご覧ください。

ところで、これらのコピーについては、非営利・無料・無報酬の演奏等の例外の対象にはならないとしても、先に紹介した「授業の過程における使用のための複製」(Q2参照)の規定により、著作権者の許諾を得ずに行えるのではないかとの考え方もあります。このことについては、著作権法第35条第1項のただし書きを考慮する必要があり、例えば、公演に供する目的で販売、レンタル等の方法により提供されているものがある場合には、無断でコピーすることはできない場合もあると考えられます。

なお、楽譜については、「日本音楽著作権協会(JASRAC)」が、脚本などの文献複写については、「公益社団法人日本複製権センター」が、権利者の委託を受けて、利用の許諾手続を行っていますので、以下にお問い合わせください。

Q4運動会等で、プラカードや看板などに人気漫画のキャラクターを描く場合、著作権者の許諾を得ておく必要がありますか。

運動会等で、プラカードや看板等に人気漫画やアニメーションのキャラクターを描くことは、漫画等の複製に当たり、原則として著作権者の許諾が必要になりますが、学校などの教育機関においては、授業の過程で教師や児童、生徒が複製する場合は、例外的に権利者に無断ですることができます(著作権法第35条)(Q2参照)。

著作権法で規定されている「授業の過程」には、各教科の授業はもちろんのこと、教育課程に位置づけられた運動会、文化祭等の学校行事など特別活動についても該当すると考えられます(学習指導要領に規定された教育活動でなければならないわけではありませんが、全国共通の教育課程の基準である同要領に基づいて編成、実施されている活動であれば、少なくともそれらは学校における授業と考えてよいと思われます。)。

したがって、設問のように、教育課程上の運動会等で使うために、児童、生徒がプラカードや看板などに人気漫画のキャラクターを描くことについては、その学校行事の教育効果を高める上で必要であると認められるならば、許諾を得ずに複製できる場合に該当すると考えてよいでしょう。どのような場合に「教育効果を高める上で必要である」と認められるかは、その教育活動の目的や実施方法、あるいは学校の実態などに照らして個別に判断する必要があり、一律の基準のようなものは設けられていません(教育関係者と権利者団体等とが協議をしてガイドラインを作成することは可能です。)。無断で利用できる例外規定を活用しようとしているのですから、もし、著作権の侵害になるのではないかという疑義が生じた場合には、第一義的な説明責任は学校にあり、少なくとも、特別活動としてのその行事の目標や計画に照らして著作権を制限することが妥当な理由を説明できることが必要でしょう。

なお、「授業の過程における使用」という目的のための複製であれば許諾を得る必要がないという例外規定ですので、運動会等の教育活動を終えても常設的に展示するような場合であれば、無断で利用できる条件を満たさない可能性があります。

※この設問でいう「複製」の意味については、Q1の※の説明をご覧ください。

Q5他の学校と連携して、インターネットを活用した遠隔授業を実施する場合、どのような点に注意すればよいですか。

遠隔授業を行う場合に、双方の教員や児童、生徒が同じ資料を持っていないとすれば、インターネット等を通じてその教材(著作物)を「公衆送信」することになります。また、演奏や演劇の様子をインターネットで送信し合うこともあります。このような場合、著作権法では次のような規定を設けています。


著作権法第35条第2項 公表された著作物については、前項の教育機関における授業の過程において、当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第38条第1項の規定により上演し、演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合には、当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

例えば、A小学校が県内外の多数の小学校との間でインターネットを通じた遠隔授業を行う場合、A小学校の教員が同校の児童に対して絵画の原作品を見せたり新聞記事のコピーを配付したりして説明する様子を、他の小学校にインターネットで送信すれば、絵画や新聞記事が「公衆送信」されることになります。しかしそのような「公衆送信」については、この規定により、著作権者の許諾を得る必要がありません。また、遠隔授業により、音楽の授業で児童が演奏したり国語の授業で児童が朗読したりすれば、音楽や文芸作品が「公衆送信」されることになりますが、この「公衆送信」についても許諾を得る必要がありません(なお、A小学校において児童が演奏したり口述したりする行為についても、非営利、無料、無報酬の演奏として、「演奏」、「口述」の許諾を得る必要がありません(第38条第1項)(Q3参照))。

なお、「授業」とは、教科の授業に限られるものではなく、教育課程上に位置づけられた特別の教科書・道徳、外国語活動、総合的な学習の時間、特別活動なども含まれるものと考えられます(学習指導要領に規定された教育活動でなければならないわけではありませんが、全国共通の教育課程の基準である同要領に基づいて編成、実施されている活動であれば、少なくともそれらは学校における授業と考えてよいと思われます)。

A小学校とB小学校との間で、それぞれ1台のパソコンによって送受信される場合にはそもそも「公衆送信」に当たりませんが、B小学校の多数の児童用パソコンに対して送信されるようなケースについては「公衆送信」に当たります。このようなケースについてもこの規定が適用され、「公衆送信」の許諾を得る必要がありません。

ただし、遠隔授業の場合であっても、以下のような点に注意する必要があります。

「当該授業が行われている場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して」という要件には三つの要素が含まれています。まず、「当該授業が行われている場所以外の場所」で授業が行われていることが要件になりますので、他人の著作物を無断で公衆送信できるとされるためには送信側と受信側の両方で授業が行われている必要があります。例えば、送信者側には講師だけがいて、授業を受ける者は受信者側だけにいるような場合は、無断で公衆送信できるケースには当たりません。次に、「当該授業を同時に受ける者に対して」公衆送信するものであることという要件のうち「同時に」という点では、A小学校の授業を録画して、別の時間に他の小学校で受信できるようにするような場合であれば、無断で公衆送信できるケースには当たらず、同じく「授業を受ける者」という点では、授業を受ける者以外の不特定の者が視聴できるような送信の場合も、無断で公衆送信できるケースには当たりません。

さらに、「当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は無断で公衆送信することはできません。例えば、市販のドリルや教育用ソフトウェアのように、一人ひとりが購入することを前提として販売されている補助教材を一部だけ購入して送信することは、著作物の「用途」に照らし著作権者の利益に影響を与えますし、スクランブルをかけたり利用者ID・パスワードを付与したりして受講者を限定することなく、受講者以外の不特定の者も視聴できるように送信することは、「公衆送信の態様」に照らし著作権者の利益に影響を与えますので、これらのような場合は無断で公衆送信できるケースには当たりませんので、著作権者の許諾を得る必要があります。その方法についてはQ13をご覧ください。   

 

なお、平成三十年の法改正により、教育機関における著作物の利用に関する規定が大きく見直され、次のような規定になりました。


 著作権法第35条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この条において同じ。)を行い、又は公表された著作物であつて公衆送信されるものを受信装置を用いて公に伝達することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2 前項の規定により公衆送信を行う場合には、同項の教育機関を設置する者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
3 前項の規定は、公表された著作物について、第一項の教育機関における授業の過程において、当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第三十八条第一項の規定により上演し、演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合において、当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信を行うときには、適用しない。

 この改正規定は、Q2で説明した学校等の教育機関における複製(第三十五条第一項)と本問の前段で説明した教育機関間の同時遠隔授業のための公衆送信(第三十五条第二項)に係る取り扱いを整理統合するとともに、授業前後の学習のための公衆送信についても著作権者の許諾を得る必要がないことを加えたものです。また、学校等が授業前後の学習のための公衆送信を行う場合には、学校の設置者(小・中・高等学校等の場合は、教育委員会や学校法人)が著作権者に補償金を支払うこととし、その補償金を受ける権利はあらゆる著作権者を代表する一つの団体によって行使されることとなっています。

ポイントは、①学校等では、教員又は児童生徒が授業で使用するプリント教材や発表資料に他人の著作物を複製する場合は、著作権者の許諾を得る必要がないこと(Q2の解説のとおり)、②遠隔地の学校の間で同時授業を行うときに、その授業の中で著作物が提示・演奏された様子が送信されたり、授業で使用する資料が送信されたりする場合は、著作権者の許諾を得る必要がないこと(本問前段の解説のとおり)、③いわゆる反転授業などのように教室における授業の前に予習をしてから授業に臨んだり、自宅等で授業後の振り返りをしたりするためなど、教室の授業とは別のタイミングで受信できる教材に著作物を利用する場合は、著作権者の許諾を得る必要はなく、その代わり、学校等の設置者が著作権者に補償金を支払うこと、の三点です。

この規定は、改正法の公布の日(平成三十年五月二十五日)から起算して三年を超えない範囲内で政令により定める日から施行されることになっており、現在、補償金の額や管理体制について準備が進められているところです。

 

なお、この規定は著作隣接権についても準用されていますので、授業が行われる時間以外に送信される教材等の資料に実演やレコードが含まれている場合(動画の一部を教材として利用する場合など)には、実演家等にも補償金を支払う必要があります。

Q6入学試験問題に既存の著作物を用いる場合、どのような点に注意すればよいですか。

入学試験や、中間・期末の定期試験等において、例えば国語や音楽の問題の中に、既存の著作物を利用することは多いと思われます。その場合、厳正な試験を行うためには、事前に著作権者と連絡をとり、利用の許諾を得るということは不可能でしょう。そこで、このような場合、著作権法では、次のような規定を設けています。


著作権法第36条第1項 公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。次項において同じ。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

例えば、文芸作品、新聞の社説、音楽作品、美術作品等を「複製」や「公衆送信」によって試験の出題に利用する場合は、この規定により、著作権者の許諾を得る必要がありません。ただし、以下のような点に注意する必要があります。

出題方法のうち、まず他人の著作物の「複製」による場合について考えると、許諾を得ずに複製できるのは、「試験又は検定の目的上必要と認められる限度」に限られますので、出題と直接関係のないものを複製することはこれに当たりません。

また、他人の著作物を利用して出題する場合には、著作者人格権にも留意することが必要です。これは、著作権者に無断で利用できる例外規定は「著作権(財産権)」について設けられているのであって、「著作者人格権」についても適用されるものではないからです。したがって、試験としての出題の際には、試験問題としての性格上真にやむを得ない改変である場合を除き、原文のまま利用することが原則であると考える必要があります。この場合、真にやむを得ない改変としてどのようなものが該当するかについては、明確な基準を定めるのは困難であるため、個別の具体的事例ごとに総合的に判断する必要がありますが、例えば、いわゆる「虫喰い」問題に正しい語を答えさせるとか、分解した文章を正しい順序に並べさせるなどのような出題については、やむを得ない改変として認められると考えられます。逆に、例えば、難解な表現の原文を平易な表現に修正して出題するとか、途中の部分を省略した旨を明示せずに省略して出題するなどの場合については、同一性保持権の侵害を問われる可能性があると思われます。

試験問題として他人の著作物を許諾を得ずに複製できる場合であっても、出所の明示が義務づけられていますので、著名な作品の題号や著作者名を問うような場合を除き、適切な出所明示をする必要があります。

なお、中間・期末の試験については、教育課程の実施(授業)の一環として、第三十五条の規定の適用を受けて、許諾を得ずに利用できるという側面もあります(Q2、Q5参照)。

次に、他人の著作物の「公衆送信」による利用について考えます。近年、インターネットなどを利用した遠隔試験も行われるようになっており、厳正な試験を実施できるようにする観点から、「複製」の場合と同様に、試験に他人の著作物を用いて「公衆送信」することについても著作権者の許諾を得る必要がないとされています。

その要件については、「複製」の場合とほとんど同様です。したがって、受信者(受験者)の求めに応じて、インターネットなどにより自動的に、又はファクシミリなどにより手動で試験問題を送信する場合に、他人の著作物を用いても許諾を得る必要がないことになります。しかし、公衆送信であっても放送又は有線放送を除くこととされていますので、受信者(受験者)の求めがなくても送信されるような形態であれば無断で公衆送信することはできません。また、著作物の「種類」や「用途」に照らして「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」にも無断で公衆送信することはできませんので、例えば、ソフトウェアを受験者に送信したり、既存の問題集で編集著作物であるものをそのまま送信したりすることについても無断では行えません。さらに、「公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合」も無断で公衆送信することはできませんので、例えば、ホームページ上に常時掲載したままで、求めがあれば試験に関係のない者に対しても送信できる(アクセスすれば誰でも閲覧することができる)ような態様であれば、許諾を得る必要があります。

ところで、試験の中には、学校等で行われる入学試験や定期試験のようなものばかりでなく、教材会社等の行う模擬試験などもあります。この場合にも同様に、複製や公衆送信の許諾を得る必要はありませんが、営利を目的としている場合には、事後に著作権者に対して通常の使用料に相当する額の補償金を支払わなければならないことになっています。

なお、他人の著作物を利用して入学試験を実施した後に、当該学校等がいわゆる過去問として、その試験問題を冊子にして配付したりホームページに掲載したりする場合については、をご覧ください。

※この設問でいう「複製」の意味については、Q1の※の説明をご覧ください。

Q7ある教育関係の出版社が、当校の過去5年間の入試問題をまとめた書籍を発行したいと申し出てきました。どのように対応すればよいのでしょうか。

まず、入試問題が著作物であるかどうかを検討する必要があります。例えば、単純な数式を解く問題や、漢字の読み、書き取りの問題であればその問題自体は著作物とは考えにくいと思われます。しかし、著作物と考えにくいものであっても、それらを素材として、その素材の選択、配列によって、創作性を有するものであれば、全体として編集著作物と考えることができる場合もあります。

また、いわゆる事例問題のように、場面や条件を文章で解説したうえで解答させる問題の場合、出題者が記述した解説の文章が言語の著作物と認められる場合もあります。

このように、仮にその試験問題が著作物である場合には、その問題を作成した学校が著作者であり、かつ、著作権者であると位置付けられる場合が多いでしょう。したがって、問題集を発行しようとしている出版社に対して、学校は著作権者の立場で、条件を示して利用の許諾をするとか、逆に申し出を断るということもできるわけです。

次に、入試問題の中に、文芸作品、新聞の社説、音楽等の著作物が利用されているかどうかも確認しておく必要があるでしょう。つまり、他人の著作物を複製して入試問題ができあがっている場合には、学校だけでその利用の許諾を与えることはできないからです。入試問題に既存の著作物が利用されている場合には、試験問題の利用を申し出た出版社に対して、素材の著作物の著作権者からの許諾を得ることを条件として許諾を与えるなどの配慮が必要でしょう。

なお、入試を行った学校自らがその後に問題集などを作成することについても同様に考える必要があります。つまり、学校自らが著作権者である場合には、自らの判断で問題集を作成すればよいのですが、問題の中に他人の著作物が利用されている場合には、学校がその素材の著作物の著作権者からの許諾を得る必要があります。これは「試験を行う」という行為と「(入試後に)問題集を作成する」という行為とでは、性質が異なるためであり、後者にはQ6で紹介したような例外規定が適用されないからです。そこで、他人の著作物を利用した入試問題を用いて問題集を作成したり、それをホームページに掲載したりすることについて、学校関係者が団体を作って著作権者の団体と交渉し、簡便な手続きで、かつ低廉な使用料で著作権者の許諾を得る取組が進められています。(著作権利用等に係る教育NPO)。

※この設問でいう「複製」の意味については、Q1の※の説明をご覧ください。

Q8当校の主催で、著名人を招き、PTAや生徒を対象とした文化講演会を計画しています。講演の録音、講演風景のビデオ・写真撮影、講演録の印刷・発行などについて注意すべき点を教えてください。

講演も言語の著作物になり、著名人でなくても著作権を有することになりますので、その講演の利用については、あらかじめ想定される利用行為を含めた許諾を得ておく必要があります。

講演会に外部の人を招き、一定のテーマで講演をしてもらう場合には、その当初の依頼の時点で、条件は何であるかを明確にしておかなければ、後々のトラブルにならないとも限りません。

例えば、講演だけを行ってもらうという条件で開催したところ、内容が評判となったため、たまたま録音していたテープを元に、テープ起こしをした講演録や録音テープのコピーを希望者に無料で配付したとします。

講演者にしてみれば、講演を複製したものが広く配付されると次の講演の機会が失われると考えて、そのようなことまでは認めていなかったと主張する場合もあるかもしれません。また、そのような複製物を配付するのであれば、内容や表現のチェックをしたいと考えるでしょうから、仮に事前の了解もなく行われてしまえば、著作権侵害を主張したくなる場合もあります。

主催者側には、しばしば次のような誤解があり、問題がこじれることがあります。 


など、これらはいずれも誤りです。例えば、講演を録音する場合、又はその録音物を元に、印刷やダビングをする場合、さらにはその講演の模様を中継や録画で放送する場合などの利用行為を行うことが明らかであれば、すべて事前に、講演者の許諾を得ておく必要があります。また、当初予定しなかった利用を行う場合には、その都度交渉することも当然です。

なお、講演者の顔や姿の写真撮影については、著作権法上の権利ではありませんが、判例の蓄積により確立されつつある「肖像権」の関係も生じますので、利用にあたっては事前にその目的や方法を説明したうえで承諾を得ておくべきでしょう。

講演会などを開催する場合の著作権に関する契約については、に「誰でもできる著作権契約」の入門編や実践編が掲載されていますので、参考になるでしょう。

Q9コンピュータを活用して数学の授業を進めるため、当校の教員が独自にあるソフトを開発しました。同じ発想で、あるソフト会社が教育ソフトを製作し、販売していますが、先に考え出した教員の権利は守られないのでしょうか。

設問の事例は、先にある発想をして著作物を創作した場合に、後から同様の発想により別の著作物を創作、頒布しようとする者に対し、何らかの権利主張ができないかというものですが、アイディアについて、著作権法上の権利主張をすることはできません。

近年、教育へのコンピュータの利用が一般化し、市販ソフトだけでなく、教員自身が開発したソフトを用いて学習を行わせる教育も見られるようです。

こうしたコンピュータ・プログラム(ソフトウェア)も小説や音楽などと同様に著作物であり、それを作成した教員(又は教育機関等)はそのプログラムの著作物の著作権者となります。

しかし、著作権法は、創作者の創意・工夫に基づく「表現」を保護しているので、その表現の背後にある「アイディア(発想)」等については、著作権法の保護が及びません。したがって、例えば、数学のある定理を学習させるために、アニメーションによって理論を図解するソフトを開発した場合、同じ発想を持った別の人が、同じ機能を持つソフトを作成したとしても、その機能を果たさせるための表現をコピーしない限り、著作権の侵害にはならないのです。

もっとも、アニメーションによって映し出されるキャラクターの姿形や細かい動きまでそっくり同じで、プログラムの表現は全く異なるというものはほとんどありえないでしょうから、ディスプレイの出力(表示)により、ある程度は判断ができると思われます。

Q10新聞や雑誌に教育問題に関する記事が掲載されており、本校の教育活動の改善のために参考になると思うので、職員会議で検討するためコピーして配布したいと思います。どのような点に注意すればよいですか。

新聞や雑誌の記事をコピーするときは新聞社や雑誌社の許諾を得る、と考えがちですが、必ずしもそうではありません。新聞や雑誌の多くはその全体に着目して「編集著作物」といわれることもありますが、編集著作物とは、素材の選択又は配列によって創作性を有する編集物のことであり、その素材自体が著作物である場合には、素材の著作権と編集物の著作権を区別して考える必要があります。

すなわち、新聞や雑誌に掲載されている報道や解説の記事、論文・論説、イラスト、写真などのひとつひとつが著作物として権利を認められており、その一方、それらの素材についてどれを採用するか、又はどのような順序で配列するかといった点の創作性に着目して、編集物にも素材とは別の著作権が認められているのです。

設問の場合、新聞や雑誌に掲載されたある特定の教育問題に関する記事をコピーしようと考えているわけですから、編集著作物のことを考える必要はなく、コピーしようとしているその記事の著作権者(一般的にはその執筆者ですが、会社等が著作者であったり、著作者以外の者が著作権を譲り受けていたりする場合もあります。)から、資料として複製すること及び会議のメンバーに配布する意味で譲渡することについて許諾を得る必要があるということになります。

このような文献コピーは学校の職員会議だけでなく、官庁や企業など社会の多くの場面でも行われているようですが、コピーされている文献は、新聞や雑誌に日々掲載される様々な記事の中から必要に応じて特定される著作物であり(新聞、雑誌などを丸ごとコピーするようなことはない)、コピーの部数も当該部署の構成員に限られているという実態もあることから、コピーの都度、対象となる著作物の著作権者と連絡をとって許諾を得ることは実務上非常に煩雑です。そこで、出版物に利用される著作物に係る多くの著作権者から権利の委託を受け、官庁や企業などの組織内で行われる文献コピーについて、簡便な手続により許諾するシステムができています。

具体的には、新聞、雑誌など多様な文献を日常的にコピーして組織内に配付する場合には、著作権等管理事業者である公益社団法人日本複製権センターと契約を結ぶことにより、ほとんどの文献のコピーについて包括的な許諾が得られる(個々の著作物ごとに、又はコピーを行うたびに、著作権者と連絡をとって契約を結ぶ必要がない)ことになっており、同センターでは、契約の方式についても組織におけるコピーの実態に応じて複数の方式から選択できるなど、利用者の便宜を考慮した権利処理体制をとっています(同センターをはじめとした著作権等管理事業者に関する情報は、に掲載されています。)。

※この設問でいう「コピー」は「複製」と同義であり、その意味については、Q1の※の説明をご覧ください。

Q11著作権教育とはどのようなものですか。

情報伝達技術(ICT)の発達・普及に伴いパソコンやインターネットが身近なものとなっていることから、著作権教育はすべての人にとって重要になっているといわれています。

企業内でも、環境問題や個人情報保護の問題と並び法令遵守教育のひとつとして著作権に関する研修が行われるようになってきています。著作物を商品として製作したり流通させたりする事業者はもちろん、直接的に著作物を取引の対象として扱わない分野の事業者においても、他人の著作権を侵害する行為はその事業者の社会的信用に大きく影響するため、その重要性が再認識されているようです。

このような社会の変化に対応した時代の要請には、学校現場においても応えていくことが必要です。この冊子において解説しているとおり、学校現場で行われるような行為については様々な例外規定が定められているため、著作権者の許諾を得ずに他人の著作物をコピーしたりすることができる場合が多いわけですが、それらの例外規定が適用される要件を正しく理解しておく必要があります。そして、例外を理解するためにはまず原則を正しく把握していなければなりません。この原則の部分は民間企業等で働く人とまったく同じであり、すべての社会人が身につけておきたい内容です。

そこで、著作権制度の原則的な内容とはどのようなものでしょう。おおむね次のような事項が基本的なものとして考えられます。


これらの原則的な内容を理解した上で、例外規定の内容や要件を知っていれば、本来、著作権者の許諾を得なければならないところを例外規定を活用して無許諾で他人の著作物を利用できる場合があるということに気づけるのではないかと思われます。

ところで、児童・生徒に対する著作権教育についてはどう考えればよいでしょう。著作権のような知的財産権を保護する制度の意義(形のないものに対する価値)については抽象性が高く、発達段階によっては的確に認識することは難しいと思われますし、法律としての体系的な学習も容易ではありません。しかし、「作品には作者の気持ちが込められており、それを傷つけることは許されないこと(人格権)」、「他人の持ち物を借りるときにはその持ち主の了解を得る必要があるのと同様に、人が作った作品を借りる(=表現を利用する)ときにも了解を得ること(財産権)」などといった内容を体験的に学習させるといった観点から、様々な教育活動の場で指導することが求められています。現行の学習指導要領においても、中学校「技術・家庭科」、高等学校の「情報科」の内容に著作権や知的財産に関する事項が掲げられ、また、「音楽」や「美術」の教科・科目の内容の取扱いとして著作権への配慮についての記述が盛り込まれるとともに、著作権を含む情報モラルについて学校の教育活動全体を通じて指導することが記述されており、令和二年度から順次、小学校・中学校・高等学校で実施される次期学習指導要領でも同様に継承されています(いずれにしても児童生徒に対する著作権教育の中では、例えば教員の活動に適用されるような例外規定を学習するとか、著作権法の体系を学習するといったことは必ずしも中心的な内容にはならないものと思われます。)。

以上のように、一言で著作権教育といっても、その人の立場により学習する内容や視点が異なってきますので、目的や対象に応じて題材や教材などを工夫することが重要です。

なお、小学校、中学校、高等学校の様々な教科の指導の過程で、ちょっとした場面で簡単な働きかけをすることにより、児童・生徒に著作権に関する興味や関心を抱かせることが出来る教材が開発され、インターネットを通じて入手できるようになっています。

また、でも著作権教育のための教材や資料が入手できるようになっています。

Q12最近の著作権法の改正内容を教えてください。また、それらを学校教育でどのように取り扱えばよいですか。

情報伝達技術(ICT)の発達・普及や国際的な動向の変化に対応して、著作権法はしばしば改正されています。過去十数年だけをさかのぼってみても次の表のような改正が行われており、とくに近年はネットワークを利用した著作物等の利用に関し、権利を強化したり逆に権利を制限したりする内容が多くなってきています。

平成二十四年の改正では、その附則において「国及び地方公共団体は、未成年者があらゆる機会を通じて特定侵害行為(著者注・違法サイトであることを知りながら私的使用の目的で有償著作物をダウンロードする行為)の防止の重要性に対する理解を深めることができるよう、学校その他の様々な場を通じて特定侵害行為の防止に関する教育の充実を図らなければならない。」(改正附則第七条第二項)と規定し、学校における啓発を義務付けています。

 ここで大切なのは、改正された個別規定の内容の理解もさることながら、その部分のみに著作権教育の内容を特化させるのではなく、著作物や著作者の尊重、契約の意味など著作権制度の基本的な内容をまず理解させることが前提だということです。もちろん、例えば生徒がすでに著作権制度の仕組みを十分に理解できているような場合には、発展的な内容として法改正の具体的事項を理解する学習を深めることもあり得ましょうが、一般的には、情報モラル教育の一環として前述のような基本的事項を身に付けるように指導することが期待されます。

Q13著作権者から許諾を得るというのは、具体的にどうすればよいのですか。

著作権に関する理解が深まってくると、著作物の利用に当たっては、たとえ営利を目的としていない場合であっても著作権者の許諾を得なければならない場合があることに気付きます。

許諾を得るとは、複製などの利用について著作権者に了解してもらう契約を結ぶことですが、わが国では契約には方式は問われず、当事者の合意(申込と承諾)があれば口頭であっても成立することになっています。ただ、著作権の契約とは形のない財産に係るものであり、利用の方法も様々なものがありえますので、合意の内容はできるだけ文書にしておくほうが望ましいと考えられます。その際には、利用方法(複製なのか、演奏なのか、ホームページへの掲載なのかなど)、利用期間、利用の場所、二次利用の有無(コピーして配布した後にホームページにも掲載したりするなど)、その他の条件(対価を徴収して提供するのか否か、著作物使用料をどう扱うのかなど)を明確にしておく必要があるでしょう。に「誰でもできる著作権契約」のサイトを設けて様々な例が紹介されていますので、参考にしてください。

また、多くの人に利用される可能性が高い著作物の著作権者は、自分の権利を団体に委託している場合があります。その場合であれば、当該団体を通じて一定の手続きにより許諾が得られます。このような業務を行う団体は著作権等管理事業者と呼ばれ、法律の規定により「正当な理由がなければ許諾を拒んではならない」とされています。著作権者である個人が自ら著作権を行使する場合には、他人に利用されたくないと拒否されることもありえますが、このような団体が預かっている場合には原則として許諾されることになりますので、利用者にとっても便利です。例えば、校内の合唱コンクールの模様をビデオ撮影してDVDにコピーし思い出の記録として保護者に配布したり、学校説明会で教育活動の状況を説明するためのビデオ映像に背景音楽を入れたりする場合、本来であれば、コピーする楽曲(音楽の著作物)ごとに作詞家や作曲家と連絡をとって許諾を得る交渉をしなければならないわけですが、著作権等管理事業者である一般社団法人日本音楽著作権協会と契約を結ぶことにより、ほとんどの楽曲のコピーについて許諾が得られることになります。その他にどのような著作権等管理事業者があるかについても文化庁のホームページに掲載されていますので、必要に応じて確認してください。

なお、これらの方法以外でも、簡便な手続きにより利用できるようにするため団体間で教育現場の実情に応じたルールを作成するという方法も考えられます。そのようなルールを作成していくためには、学校教育関係者全体における著作権に関する意識を高めながら相手方の団体との信頼関係を強化し、双方が「権利の保護」と「円滑な利用」の調和に向けて取り組んでいくことが大切であると考えられます。

なお、許諾を得るために著作権者を探したものの、相当な努力を払っても見つからなかった場合には、文化庁長官に対して利用の裁定を申請することができるという制度もあります(著作権法第67条~第70条)。この手続きについては、従来、裁定を受けるまでの間は利用できないなどの課題がありましたが、担保金を供託することにより早期の利用が可能となるなど制度が改善されました。

Q14著作物の利用に関する相談や利用許諾が得られる窓口にはどのようなところがありますか。

著作権に関する相談窓口としては以下のようなところがあります。

その他に、権利を集中的に管理し、権利の許諾を行っている団体(例えば、「音楽」や「文献複写」に関して許諾業務を行っている一般社団法人日本音楽著作権協会、公益社団法人日本複製権センターなど)がありますが、最新の著作権等管理事業者の情報は、をご確認ください。

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