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今から500年前、当時ポルトガルの植民地だったブラジルの港町のサルバドールにアフリカから連れてこられた奴隷たちが市場で商品として売られていていました。その中に西アフリカのアンゴラ地方の人々が多く、その人々によってもたらされたアフリカの土着格闘技「カポエラ・アンゴーラ」が現在のカポエラの原形となります。 |
カポエラ、カナシイスオハナシ… |
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カポエラは奴隷たちが支配者の暴力から身を守る為の護身術として、または反抗の手段として使用したために法によって禁じられました。その弾圧は激しく、練習しているところが見つかっただけでも死刑に処せられました。しかし奴隷たちはカポエラを捨てようとせず、カポエラの練習は楽器を使って踊りの練習にカモフラージュして、カポエラを続けました。それが現在のカポエラのスタイルとなっていきました。
奴隷制度は1888年に完全に廃止されましたがカポエラはその後も違法とされ、1930年代に入ってからようやく日の目をみることができました。これを境にカポエラは格闘技として、またはスポーツ、パフォーマンス、伝統芸能というあらゆる面を見せていきます。
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カポエラ、2大流派… |
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現在のカポエラには大きく分けて2つの流派があります。
一つはメストレ(マスターの意)パスチーニャが創始した「カポエラ・アンゴーラ」、もう一つはメストレ・ビンバが創始した「カポエラ・ヘイジョナール」です。
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「カポエラ・アンゴーラ」は儀式的なダンスの要素が強いため、アフリカの土着格闘技としてのカポエラに最も近い形で継承されています。跳躍動作はわずかで比較的ゆっくりとした動きで、リズムに乗って互いに牽制し合いながら隙をうかがい、死角を取ると素早い攻撃を仕掛けて相手を倒す。その様はまるで野生動物の攻防を見るかのようで、実際に動きの中に蛇の動き、猿の動き等を動物を模倣したものがたくさんあります。
一方「カポエラ・ヘイジョナール(以下、ヘジョナル)」はその成立の過程で空手やサバット(フランスの足技重視の格闘技)等の格闘技の影響を受け多彩な足技とアクロバティックな動きが多く含んでいきました。様々な角度から繰り出すダイナミックな足技と変則的なアクロバットで相手に揺さぶりをかけ、一瞬の隙をついて顔面に蹴りを叩き込みます。ヘジョナルは単に格闘技としてでなくスポーツ、ショーとして広く定着しており、派手なアクションと技の輪郭がはっきりしていて格闘技として説得力があることから、マスコミなどで一般にカポエラとして紹介されるのはほとんどヘジョナルのようです。 |
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カポエラ、セレブレティー… |
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本場ブラジル・サルバドールでは僕の師匠の師匠メストレ・ビンバ(写真上)。この人はかなりカポエラ界では有名です。っていうかカポエラ界は狭いのです。アメリカではメストレ・アメイン。ロスに拠点を置くバチューキ派のトップです。カポエラ・ジャポンのJUNさんはこの人の元で修行したと聞いています。カポエラを題材にした映画「オンリー・ザ・ストロング」にも出演しています。このビデオはレンタル屋で借りることもできると思います。 |
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カポエラ、日本で教えるブラジル人… |
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日本でカポエラを教えているブラジル人は結構います。がしかしそこで練習しているのはブラジル人ばかりで、あっ日本人かなと思っても日系ブラジル人だったりします。それと格闘技として教えているので、ダンスのなかにカポエラの技を取り入れようと思って行ったらいつまでたっても蹴りしか教えてくれない、というようなこともあるそうです。 |
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以上、なかなか情報の伝わってこないカポエラですが、基礎知識として覚えていただけると幸い。
ごとう@カポエラ・ヘジョナル・ジャパオでした。 |
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'99/11/14. UP DATE |
文責:後藤 良(ごとう・りょう)CAPOEIRA
REGIONAL JAPAN
Columnist Profile:1973年生まれ。21才の時にダンススタジオの老舗キャロルに入会、OUJI氏に師事する。日テレ「元気が出るTV」の"ストリートダンス選手権"に出場し準優勝。その後カポエラに出会いブラジルに行き緑帯を取得。現在はカポエラ・ヘジョナル・ジャパオにて活躍する一方、ダンサーとしてもイベント出演多数、また「Fine」からデビューしたavexの新人Yu-koのバックダンサーを務めるなど、精力的に活動をしている。
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