---------------------------
----Y----009-----------
----e-----------------------------
----l-----------------------
----l------------------------------
-----------------------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------
(熊谷)どうしました?
警察から連絡がありました。えっ?
(熊谷)関内。(音)はい。
お父さんが… 亡くなられた。
大阪で… 事故に巻き込まれた。
子どもを助けて電車に はねられたらしい。
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
お父さんの死は あまりに突然でした。
お葬式が終わり 1週間たっても音は全く実感がありませんでした。
(吟)優しかったよね お父さん。
(梅)お父さん 痛かったかな?
(光子)痛かっただろうね…。
それ どうするの?
(光子)お父さん 言っとったの。「俺は 墓みたいな狭い場所で眠るのは嫌だ。 広い所がいい」って。
♪~
あっ… 今日は銭湯の日だ。どうする?
行こう。
(吟)えっ?行こう! ねっ?
お父さん おだんご好きだったよね。
若い頃なんかみたらしと よもぎを交互に刺して「最高のぜいたくだ~!」とか。
それ 川俣でもやっとった。そう。
お父さん… いないんだね。
本当に… いないんだね。
音…。
もう 一緒に銭湯行くことないんだよね。
もう一緒に ごはん食べることないんだよね。
ごめん… 何でだろう 何で急に…。
音。 うん。
泣いていいんだよ。
お母さん… お父さんは何であたしたちを残して 人の子を助けたの?
あたしたちよりその子のことが大切だったの?
そんなわけないじゃない。とっさの行動だったの。
お父さんに会いたい…お父さんに会いたい!
お父さんに 「高い高~い」してもらった時のこと覚えとる?
うん…。
お父さんにおんぶしてもらったこと覚えとる?
うん…。
だったら…お父さんは いる! ねっ?
目には見えないけれどずっと あなたたちのそばにいる。
本当? 絶対 本当?
ほら。
フフフ…。
あの子たちを守ります。どうか安心して下さい。
(打越)この度は 大変ご愁傷さまでした。
ええ男を亡くしましたのん。
打越さんには 生前から大変お世話になっておりました。
それで… 今後も変わらずごひいきに願いたいと思いまして。
何だん 商売を続けんさる おつもりかね?
もちろんです。…でないと生活できません。
私が主人に代わって…。
職人の世界を女が仕切れるかん?
それに… 納品先の陸軍さんも女なんか相手にせんだら。
遮二無二 頑張るつもりです。
女 子どもにできるほど商売は甘くないに。
どうだん… わしと一緒にやらんかん?
わしが いろいろ面倒見たるで。
関内さんが軍を去られてまあ はい何年になるかや?
10年です。ほうかん。 はい そんねんなるかん。
そろそろ契約を見直さないかん時期ですな。
はっ?いやね ほかにも元軍人の馬具屋はおるでね。
わしが まあ なんとか抑えとるけど…。
普通は契約終了だに。
まんだ お子さんもちっちゃいだら?
まあ いっぺん わしの申し出よ~く考えてみとくれん。 ねっ?
それから 光子は取り引き先を回りました。
しかし あるじが亡くなった馬具店と商売を続けようというところはありませんでした。
このまま契約を切らないで下さい。お願いいたします。
一方 「竹取物語」の稽古は大詰めを迎えていました。
最後に その姿を見て帰りたいのです。
(良子)バカみたい。
暑い 重たい。
神崎 どうした?
最後 月に帰るなんて変だと思うんです。あたしなら 帝と結婚します。
(熊谷)「竹取物語」は そういうもんだろう。あたしには分からんので できません!
おい 神崎…。
良子ちゃん やろう。
うるさい! あんたが休んどった間もずっと稽古しとったの。
おじいさん2は口出さんで!
ごめん。
(たえ)ひどい! 音ちゃんに謝りん!(児童たち)そうだよ 謝りん!
やだ! そもそも あんたが「竹取物語」なんて言いだすもんでこんなことになんのよ。うちんとこはね 親戚中が見に来るの。
失敗したら 何て言われるか…。
見に来てもらえるだけいいじゃん。
おい 関内… 待て!
ただいま~。
音 大変! 職人さんが辞めた みんな!えっ!?
陸軍さんから契約切られて それで…。
岩城も?
逃げるんですか!?
(岩城)女 子どもには分からん。
お父さんの世話になってたんじゃないんですか!?
職人は仕事がなきゃ食ってかれん。
♪~
ただいま。
お帰り!
どこ行っとったん? 心配した。
岩城… 見つけた。 あいつも 逃げた。
しかたないわ。 みんなそれぞれ人生あるもの。
お母さん… うち 大丈夫?
う~ん…。
かなり… まず… い?