トヨタ、新型コロナ禍の長期化を視野に1兆円の融資枠を確保へ。トヨタは健全なのになぜ?

トヨタは三井住友銀行と三菱UFJ銀行に対し1兆円の融資枠を設定してくれるよう要請した。このニュースに接し「トヨタの経営は大丈夫なのか?」と思った人も多いようだ。以下、トヨタウォッチャーとしての個人的な見解を。まずトヨタには「内部留保」と呼ばれる余剰金(ポケットの中の現金だと思えば間違いない)が22兆円もある。この金額、世界的に見ても上位10社に入るほど。

それからすれば1兆円は大きい金額では無いし、仮にトヨタの財政状況が悪くなるなら1兆円だと全然足りない。なぜこのタイミングで1兆円なのか? サプライチェーンの救済を考えているんだと思う。説明するまでもなく自動車産業は広大な裾野を持つ。トヨタの場合、関連企業だけで3万8千社ほどある。金額ベースで見るとデンソーやアイシンのように健全な企業が大半を占めるのだけれど‥‥。

問題は2万7千社ほどある年間売り上げ高で10億円以下の企業である。もちろんこちらも健全な企業が多い。トヨタは日頃から関連部品企業とコンタクトを取り、チェックしているためだ。けれど中には厳しくなってしまう企業もあるだろう。部品一つ足りないだけで自動車は作れなくなる。「代替部品を使えばいい」と思うだろうけれど、信頼性の試験から行わなければならず、簡単じゃない。

トヨタの幹部に聞くと「今回の新型コロナ禍は長引く可能性も考えています」。どうやらワクチンや特効薬が出来るまで経済活動が停滞すると読んでいるようだ。想定期間については教えてくれなかったけれど、最低1年くらいを考えている様子。こうなると経営的に厳しい企業が出てくることは容易に想定出来る。破綻しそうになった時「融資して欲しい」と言っても銀行は良い顔をしない。

早い段階で融資ワクを設定しておき、トヨタが裏打ちしてくれるならスムースな融資を受けられることだろう。というか両銀行とも、世界有数の優良企業であるトヨタから頼まれたら断る理由などない。日産やホンダなど内部留保の多い企業は、トヨタと同じくサプライチェーンを守るための方策を打っていると思う。自動車産業以外も、早い段階で長期戦を考えて置いた方がいいと考える。

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