2016年4月13日 10:31 | 無料公開
絶滅の恐れがある天然記念物の淡水魚「ミヤコタナゴ」を無許可で飼育したとして、千葉県警生活経済課と佐倉署、山武署は12日、文化財保護法違反の疑いで酒々井町の無職男性(77)と、山武市の会社員男性(46)をそれぞれ書類送検した。
2人の書類送検容疑はことし1~2月、いずれも自宅敷地内の小屋に水槽を設置し、無許可でミヤコタナゴを飼った疑い。無職男性は91匹、会社員男性は26匹を飼育。2人に面識はなく、共に「観賞用だった」と容疑を認めている。
同課によると、無職男性は約9年前、釣り仲間からミヤコタナゴを譲り受け、その後繁殖に成功。会社員男性は数年前に自分で川から釣り上げたといい、「珍しいので飼いたかった」などと供述しているという。
昨年秋、県警に情報提供があり、各署が捜査を進めていた。
◆絶滅危機、法守って 県生物多様性C
県生物多様性センターの熊谷宏尚副技監(58)によると、ミヤコタナゴは湧き水がある小川などに生息するが、近年は河川整備や休耕田の増加で激減。
1974(昭和49)年に国の天然記念物、94年には国内希少野生動植物種に指定された。
現在、自然繁殖が確認されているのは、県中南部と栃木県の一部のみとされる。熊谷副技監は「ミヤコタナゴの生息地は少なく、絶滅の危機にひんしている。国や地元が一体となって保護しているので、法律を守っていただきたい」と話した。
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