ライン分析はFXや株式投資のトレードには非常に有効性の高いテクニカル分析手法になります。
ライントレードは勝てないのか?それはラインの本質を基礎から理解していないという事です。
今回はライン分析の優位性や意味、基本的な本質を交えて徹底的にライン分析について解説していきます。
ライン分析には基本的に水平線とトレンドライン、チャネルなどがあげられます。
このどれも大切なのですが、今回は水平線とトレンドラインに焦点を絞って解説していきたいと思います。
ライン分析の意味と将来の予測
ライン分析は将来の値動きの予測をするのに非常に有効なテクニカル分析手法のひとつです。
多くのテクニカル分析では現在までの値動きを過去から導き出して現在の価格がどの位置にあるかを見るものが多いのですが、ライン分析は過去の値動きから未来の値動きを予測するのに非常に適しています。
ではライン分析ではどう言った将来の予測がたてられるのか解説していきます。
ライン分析で将来の値動きを予想する
ライン分析では将来の値動きを予想するのに適していますが、具体的にどういう値動きを予想することができるのか?ということです。
ラインをチャート上に引く基準は過去の値動きの中で価格がぶつかるところを探す事にあります。
なんらかの要因で意識されている価格帯を見つけ出してそこの価格帯にぶつかった時に反発、もしくはそこで値動きが止まる予想をつけることができるのです。
他にも価格が下落している時などに、どこまで下落するのかを予想して底値で買いを入れるなどと言った事をライントレードではやっていきます。
上昇下降の値動きの反発を予測する
上昇してきた値動きが上から抑えられるところのラインをレジスタンスライン。
下降してきた価格を下で支えてくるラインをサポートラインといいます。
上昇してきた値動きがどこで止まるのか予測がつけば、そのラインにショートで指値を入れておけます。
そうする事でレジスタンスの反発を利用して利益を狙っていくという手法ができるのです。
プライスの節目(大衆心理)を予測する
プライスの節目がラインを引く重要なポイントとなりますが、そこの節目には過去の値動きの中で含み損をもったトレーダーが多くいる場合などがあり、そのトレーダーのロスカットや利益確定などで、ラインで反発する可能性が大きくなります。
それはもともと持っていたポジションが含み損になっているということは、価格の節目でそれを決済しにくる、つまり逆のポジションが大きくなって反発するという仕組みになっているのです。
そしてラインが機能する決定的な理由はプロスペクト理論のリファレンスポイントというものがこの価格の節目に作用しているからです。
リファレンスポイントというものは自己分析や大衆心理を分析するうえで非常に大切になってくるものです。
この内容に関しては、リファレンスポイントとは?プロスペクト理論に見る投資家心理という記事で詳しく解説していますので是非見てみてください。
ライン分析のルールと誤差
ライン分析にはそれなりにルールがありますが、それを頭の中に入れておくのとそうでないのとでは、ライン分析のトレードに影響を与えます。
ライントレードの覚えておかないといけない基礎知識「誤差」について紹介します。
それなりの値幅を許容しておく
ライントレードでは値幅の許容というのが大切になってきます。
値幅の許容というのは、ラインを引いたところが絶対ではないということです。
例えば、完璧にラインを引いたつもりでも実際にトレードしてみると引いたラインではほとんどドンピシャで止まる事はありません。
少し手前で止まったり、あるいはいきすぎてから止まったりと、ある程度アバウトなところで反発します。
では何故ドンピシャで止まらないのか?それでは意味がないのではないか?と思いますが、それにはちゃんとした理由がありますので、これからそれを解説していきたいと思います。
使っているチャートがそもそも違う
これはそもそも使っているチャートが人それぞれ違うというところにひとつの原因があります。
まず、証券会社でスプレッドが違います。
スプレッドが違うという事は明らかにチャートに誤差が生まれます。
大きく値が動いた時などにスプレッドが大きく開く証券会社とそこまで開かない証券会社など様々な特性が証券会社によって違うという点も挙げられ、これはチャート表示にかなり大きな影響を及ぼすのです。
ですから証券会社ごとに使っているチャートが違う以上、どうしても誤差が出てしまうのです。
為替は実需の売買もある
為替なんかでは実需の取引というものが絡んできます。
実需というのは貿易会社や、輸入輸出など様々な会社が為替の取引をしています。
この実需の売買に関しては、テクニカル的な要素はほとんど関係なく売買されています。
その上非常に大きな資金が動きますので、実需の動きというものはラインでぴったり止まらない理由の一つにもなっているのです。
ライン以外のテクニカル分析を使っている人もいる
当然ライン分析以外のテクニカル分析を使って取引をしている人も大勢います。
みんながライントレードをしているのなら話が早いのですが、さすがにそういうわけにはいきません。
移動平均線やボリンジャーバンド、その他いろんな手法を使ってトレードしている人がいます。
その中でそもそもライン自体を見ていないトレーダーも多くいる事でしょう。
そう言った理由もラインピッタリで反発しないひとつの要因になっています。
無理にラインは引かない、引けない場合は引かない
ラインというものは絶対引かなければならないものではありません。
どうしても分からないとか、多分ここかな?と言った理由でラインを引かないようにしましょう。
無理に引いても全く効かないラインでは意味が全く無いのです。
機能するラインというのは、世界中のトレーダーが意識しているラインですので、そこにラインを引かないと意味がありません。
自分だけが気づいたようなラインははっきり言って意味がないという事になるのです。
どうしても最初ラインを引きはじめた頃は色んなところが気になって、たくさんラインを引いてしまいます。
ですので自分が不要だと感じたラインは順次消していくようにしましょう。
ライン分析のラインの引き方
ラインを引く時にロウソク足のヒゲは入れるのか?
それでは実際にラインを引いてみたいと思います。
ラインの引き方でよくある質問があります。
それはラインを引くときにロウソク足のヒゲを入れるのかどうか?という質問です。
この質問は多く聞きますが、実際のところは水平線とトレンドラインなど「引くラインによってヒゲをいれるかどうかは変わってくる」と言った事になります。
水平線ならラインはその値動きの最安値や最高値の部分に引くわけではないということが挙げられますし、トレンドラインに関しても最初のラインはヒゲの先端などで引きますが、決して高値安値の先端に当たっていかなければならない、というものではないのです。
しかもヒゲの長さは証券会社のスプレッドの開き具合などでも変わってくるのです。
あくまでラインを引く基準は値動きの節目で止まっている部分ですので、そのところを勘違いしている人が非常に多いので注意しておいてください。
水平線はなぜ効くのか?投資家心理
水平線というのはチャートに水平にラインを引いていく事です。
この水平線がなぜ効くのかというと、過去にその価格帯で値動きが止まったことがあるということで、投資家達に意識されている価格帯だということがいえます。
意識される要因としては過去で大きな値動きが止まったラインでは含み損や利益確定を逃したトレーダーがその価格帯を待っているという点にあります。
上記チャートを見てみましょう。
オレンジの丸印のところでロングポジションを持ったとします。
ここは前回の大きな下落からの上昇でロングポジションを持ちやすいところではないかと思います。
しかし価格はそのまま下落し大きな含み損を抱えています。
皆さんだったらどこで含み損を持ったポジションを解消したいでしょうか?
そうです、自分が買った価格のところまで戻ってきたらポジションを解消したくなりますよね。
これは普通の投資家心理なのです。
ロングで買っているのですから、ポジションを解消する時はその逆で売りの勢力になります。
ですから買いの勢いが押されて前の節目で値動きが止まってしまうということが起こるのです。
含み損を解消しようとしている投資家と、ラインに反発を狙って売りを入れる投資家達が交錯してなかなか水平線のラインを抜けられずにいるのです。
このラインを上に抜けていくにはそれ以上の買いの勢力がないとなかなかポジションが溜まっているラインを越えられずに値動きがそこで止まってしまうのです。
これが全てとは言えませんが、相場では心理戦なので水平線は機能していくという事になります。
水平線のラインの引き方
では水平線の引きかたです。
水平線を引くところは値動きが止まっているところになります。
例えばこういうところです。
かなり効いているラインになります。
ではもう少し拡大してみましょう。
ラインを上下にまたいで価格が止まっているのがわかるかと思います。
水平線は価格が攻防しているところに引かなければいけないというのもありますが、ある程度アバウトに引くというのがセオリーになります。
あまり神経質にならないで引いていく、最初はうまくいかないことが多いですが、何千本も引いているうちに自然と分かってくるものです。
ですから絶対的なラインの位置を探すのではなく、自分で何度も何度も試しながら検証していくことが効果的な水平線を引くことの最大の近道です。
細かく見てみれば何が効いているのか分からないのですが、出来るだけチャートの全体図を広く見ることで水平線がどのように効いているのか分かってくると思います。
基本的にチャートは広く見るようにして、あまりロウソク足を大きく表示させていると全体像が見えないがために水平線も引くのが困難になってきます。
直近の水平線が意識されているのか確認する方法
いくらラインはアバウトだといってもそのラインの価格帯に近づいてくると引いたラインが実際に効いているのか気になりますよね。
そんな時は「オープンオーダー」というツールを使う事をおすすめします。
これはOANDA Japanという証券会社が提供しているツールで、どの価格帯にどれくらいの注文が入っているのかを視覚的に見ることのできるツールになります。
もし自分の引いたラインが有効なラインであればその価格帯に注文が多く入っているはずです。
上記のオープンオーダーで見てもキリ番などの意識されている価格帯には注文が多く入っている事がひと目でわかります。この事からもどうしても直近でラインが効いているか確認したい場合はこういうツールを使ってみるのも大切です。
トレンドラインのラインの引き方
トレンドラインを引く際はまず下降から上昇、上昇から下降に転じてから前回の安値(高値)を切り上げてきたところのラインを引きます。
これはダウ理論の記事で説明していますが、上昇は高安の切り上げ、下降は高安の切り下げを繰り返しながら上昇下降のトレンドを形成していくのです。
そして、最初の切り上げこそがエリオット波動の上昇3波という事になります。
このチャートで説明します。
これがエリオット波動の図になります。
トレンドラインはこの1波、2波で切り上げたところにトレンドラインを引くのです。
そうしたときに調整波の4波の反発がどこか、というのもおのずと予想がつくのです。
エリオット波動では1波の高値を4波の調整波は基本的には下回らないというのがありますので、どこで反発するかと考えたら、トレンドラインのところが1番の狙いどころという事になるのです。
そして勢いのある上昇5波が来ました。
そうなると次は下降の3波がくるのですが、そこでトレンドラインです。
上昇5波が完全に終了しましたが、まだ上昇のトレンドラインを破っていないのです。
そこで水平線でもみ合いましたが、トレンドラインを下に抜けたところではまだショートは打ちません。
リターンムーブ「レジサポ転換」を活用する
トレンドラインを下に抜けたのにショートはまだ打ちません、というのはリターンムーブを待つというところになります。
水平線にしろトレンドラインにしろ下でラインがサポートしているものを抜けてきたら、今度はサポートラインがレジスタンスラインに切り替わってきます。
先ほどのチャートのオレンジで丸印のついたところを見てみましょう。
1度トレンドラインを下に抜けた後にもう1度トレンドラインまで上昇して、トレンドラインに跳ね返されて下落しています。
これをリターンムーブというのですが、レジサポ転換を確実にしたというシグナルになります。
ここでショートなのです。
ここから下降の3波が来るという事になるのです。
では水平線のリターンムーブの例を見てみましょう。
これは綺麗にリターンムーブが決まった例です。
1度水平線を下に抜けましたがここでショートはしません。
いままで水平線がサポートとして機能していましたが、下に抜けたところでこの水平線がレジスタンスとしてレジサポ転換しているか確認する必要性があるのです。
サポートがレジスタンスに変わっているなら水平線にレジスタンスされて下降するはずなのです。
そして水平線を上抜ける事はなく下落したことでショートエントリーという事になります。
しかし、ここでもラインとエリオット波動を組み合わせる事によってすでにこのショートはもっと前からエントリーすることができたのです。
エリオット波動ではもうすでに5波目が終了し、下降の3波待ちの状態だったのです。
ですから5波目が終了したと睨んでA波で下落していることが想像できれば、水平線でリターンムーブでレジサポ転換することは容易に想像できますから、自信を持ってショートエントリーできるという事になります。
こうして、水平線やトレンドラインは決してそのラインだけではなく、ダウ理論やエリオット波動を組み合わせる事によってその正確さを増します。
そこにフィボナッチなどを加えるとさらに分析力に磨きがかかることでしょう。
ライン分析の優位性
ライン分析の有効性とは
ライン分析には非常に有効性があります。
テクニカル分析の中では1番原始的とも取れるライントレードですが、相場心理をついているのはこのライン分析が1番ではないかと考えられます。
実際ラインでの分析は、時間足を選びません。
確かに水平線なんかはある程度引けるようになるためには、かなりの労力を要します。
しかし、ラインが見えてくるのと同時に相場感も見えてくる事になります。
長い時間足のラインを先に引くことによって優位性が生まれる
ラインだけではなくテクニカル分析のほとんどは短期足よりも長期足が圧倒的に強いです。
短期足は何があっても長期足のトレンドに逆らえませんし、長期足で引いた水平線やトレンドラインは間違いなく強いです。
ですから短期足を使ってトレードするにしても、長期足のラインは必ず把握しておいた方がトレードに圧倒的に有利となります。
どうしても相場はフラクタル構造になっていて、大きな時間足の中に小さな時間足があるような仕組みになっているからなのです。
⇒グランビルの法則はインジケーターの設定と移動平均線の時間足が大切
ライン分析のエントリータイミング
ライン分析は指値でエントリー
ラインでトレードするなら指値注文が有効に使えます。
自分が思っている水平線の少し手前あたりで指値を入れておくのがセオリーになります。
これは、自分の引いたラインが絶対ではないという事を考慮して、少し手前にずらして指値で引っかかるようにすると言った事です。
もし指値で引っ掛からなくてもそれは仕方がなかったと諦めて次のチャンスにシフトしましょう。
ライン分析の利確のタイミングは?
ライントレードの利確のタイミングですが、これもエントリーポイントと同じように少し手前で利確するように指値を入れておくのがいいでしょう。
短期売買などトレードスタイルによっては、成り行きでもいいのですが、指値はライントレードにとって有効な手段ですので活用する事をお勧めします。
そしてラインを引きすぎないということも重要になってきます。
ライン分析まとめ
ライン分析について基本的な事を解説してきましたが、どうだったでしょうか?
実際にライントレードは勝てない、ライントレードは難しいと言った声もよく聞くのも事実です。
確かに、ライン(特に水平線)やエリオット波動なんかは自分のものにするのにかなりの時間と労力がかかってきます。
これがシグナルで、ここがこうなったら買いサインだよ、と言ったようなものではない事は確かです。
しかし、なかなかシグナルだけでは勝てないというのも事実です。
ラインには、他にも移動平均線やボリンジャーバンドなどとも組み合わせて使っている人もいます。
オシレーターではRSIなども組み合わせるのもいいかと思いますし、自分の相性の良いテクニカル分析と組み合わせて使っていくのもいいのではないかと思います。
相性といえばチャートの相性も大きく左右されます。
少しでも使いにくいチャートを使っていればダイレクトにトレードに影響を及ぼすでしょうし、自分のパートナーとしてもチャートは相性の良いものを使った方が絶対にいいです。
証券会社も千差万別多種多様にありますので、色々と使ってみて相性のよいチャートツールを探してみてください。