Drosera spatulata complex
[コモウセンゴケ類]
冬は休眠する。2月中旬、冬芽が固くしまっている頃に植えかえる。あらかじめ、各個体を水苔で捲いておき、ピンセットではさみ。鉢に突っ込むようにして植えかえる 冬芽の半分を地表に出すように植える。水苔植えで腰水、日照に良く当てるという基本的な栽培法で多くのものはうまく出来る、入門種。葉挿し、冬芽の株分けで増殖容易。実生栽培は2月頃に行って寒さにあわせ、春の発芽を待つ。
- D. sp. Chin Kan Bay
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1996年11月に田辺氏らが豪州のChin Kan Bayで発見したもの。aliciaeを小型にしたようなへら型の葉をつけるロゼット種。花茎が短く鮮やかな濃桃色の花をつける。栽培上は普通のコモウセンゴケに準じる。Rivadania氏はspatulataのHairy sepalタイプではないかと言っているが、後者が日本では普及しておらず詳細は不明。
N: +[Drosera spatulata {Labill.}]
P: Nov.Holl.Pl.Spec.1:79 (1804)
T: around Southport, Tasmania, J.Labillardere s.n.
L: AU, N.Zeal., Japan
XN: 20 {Rattenbury}, 40 {Kondo}, 50 {Kobayashi}, 60 {Kondo}
XNP: Trans.Roy.Soc.N.Zeal.84:936 (1957), Rhodora 78:534 (1976), Bot.Mag.Tokyo 63:227 (1950), Chromosome Inf.Serv.7:23 (1966)
image: drosera/0046: Botanical line drawing
image: drosera/jmhspat: top view of rosette.
D. spatulata Labill.
ドロセラ スパスラタ コモウセンゴケ
- 温 度 :
- 0度~40度 冬は少々の連結にも耐えるができれば、無加温フレームで凍らない程度にし、霜にはあてないほうが無難。
- 湿 度 :
- 高め
- 日 照 :
- 非常に好む
- 用 土 :
- 水苔または水苔+ピートモス、鹿沼土+ピート
- 灌 水 :
- 腰水
- 難易度 :
- 容易-中(中には難も)
- 分 布 :
- 台湾、ホンコン、中国、フィリピン、マレーシア、インド、インドネシア、オーストラリア北部、ニュージーランド。日本では宮城県と福島県の境から南、沖縄までの太平洋岸沿い。また、三重、滋賀、愛知、岐阜、静岡県西部のやや大型で葉柄の区別できるもの(6倍体)はトウカイコモウセンゴケtokaiensisとして区別される。
特徴
日本を北限とする暖地性の食虫植物。赤土が露出した山の斜面や湿地の南向きでよく日の当たるところに好んで自生する。モウセンゴケとは異なり、やや乾燥気味の所で。イシモチソウと共存している場合が多い。葉は短くまとまり、葉は密生し、葉柄は8~10mm。葉は倒卵円形かさじ形で長さ約5mm、幅約5mm。花茎は初夏と秋の2回、ロゼットの脇から1~2本だし1~20cmに達する。1つの花序には1~15の花をつける。がくは披針形か長卵円形で、長さ3~5mm。花弁は倒卵円形で長さ3.5~6mm、白色またはピンク色。
多年性とはいえ古株になると性質が弱くなるので、種子から次の世代を育て2-3年で更新するほうが良い。これは他の多くのロゼット型ドロセラの栽培においても重要なポイントである。後生1株だけを大事に栽培しているのでは、栽培法が正しくとも十分な維持栽培が出来ない。花の季節でなければ、葉挿しで増殖を図るのも可能。
以下に示すように変異が大変多い。
- D. spatulata "Amami, Japan"
- 赤くロゼット直径4-6cmと結構大きくなり見事。
- D. spatulata "Mt. Arthur, NZ"
- arcturiと同時に自生する。ドイツ、又はNPから入手できる。葉柄細く葉身は丸い。つまり、D. rotundifoliaの小苗状。高山性で暑さにやや弱く、寿命が短い。この傾向はNZ産spatulataに共通する。
- D. spathulata var. lovellae (F.M.Bail.) Hort.Weiner
- 4枚花弁の特異なものらしい。Vivi(英)の種子からのもの5枚(赤塚)、TriffidPark(豪)のものは4枚(稲穂)との報告例あり。
- Form: - f.'Ahipara'
- Ahipara, NZ北島産。弱々しい緑色ロゼット、黄色っぽいsparkle, producing abundant 薄緑色の細長い花茎に小さな白花 reddening slightly after much sun. 小型でピグミードロセラを思わせる。高山性。
- Form: - f.'Beerwah'
- オーストラリア産。小さくまとまった赤いロゼットを作る(Peter)。
- Form: - f.'Coromandel'
- Coromandel Ranges, NZ産。白花種。 赤-オレンジの葉でさじ型というよりoar-型(Peter)。
- Form: - f.'Formosa'
- 台湾産(Peter,?)。やや楔型のさじ葉、赤くて美しい、短い花茎あたり1-2個の弱々しい花をつける。沖縄産の在来系白花種によく似る。何が特徴なのか分からない。
- Form: - f.'Kansai'
- オーストラリア産(間違い、Peter)の2-3インチのロゼット種。こういう形態のものは他にもよく見られる。緑の葉に赤い腺毛tentacles。花茎は長くabundant 桃色の花を数個つける。
- Form: - f.'Kanto'
- オーストラリア産(間違い、Peter)。関西型に似るがロゼットがやや小型で花茎もやや短い。
- Form: - f.'Kopuatai'
- NZ産の白花種。
- Form: - f.'Lovellae'
- 真っ赤なロゼットを作るオーストラリア産(Peter)。典型的なさじ型の葉で長い花茎に白花を多くつける。
- Form: - f.'Okinawa'
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沖縄産。関西型に似るがやや毛深く濃い緑の葉(Peter)。関東型に似る?白花種が主であるが、桃花の個体もある(間淵)。
- Form: - f.'rotundata'
- 丸葉で葉柄が細くはっきりとしており、tokaiensisやburkenaに似る。
D. tokaiensis Nakamura & Komiya
- 温 度 :
- -3度~35度
- 湿 度 :
- 高め
- 日 照 :
- 非常に好む
- 用 土 :
- 鹿沼土+ピート
- 灌 水 :
- 腰水
- 難易度 :
- 容易
- 原産地 :
- 中部日本
コモウセンゴケ関西型として呼ばれてきたもの。D. spatulata Labill. subsp. tokaiensis Komiya et Shibataから日本では独立種扱いされている。しかし海外では理解されていないことが多く「Indochina産(?:Peter)他のタイプより葉が長くさじ型というよりpaddle-shaped。わずかに高湿度とより乾いた土壌を好む(Peter)」。
トウカイコモウセンゴケ。染色体数からコモウセンゴケとモウセンゴケが数千年前に交雑してできた種といわれる。
兵庫県中町で採集されたものは丈夫(間渕)。各務原のものは持ってくるとすぐグズる困り者(赤塚)。
N: +[Drosera oblanceolata {Y.Z.Ruan}]
P: Acta Phytotax.Sin.19:340 (1981)
T: Yao Shan, Guangxi, 6. 1934, S.S.Sin 23323 (IBSC)
L: China
Drosera oblanceolata Y.Z.Ruan
ドロセラ オブランセオラータ
中国産。spatulataをやや大型にした種類。未導入と思われる。
http://www.geocities.com/RainForest/Canopy/1244/MainFrame.htm
この訳文がここ
これは、D.oblanceolataが、よい条件(高湿度、20-28°C)でD.spatulataとともに育てたときどう違うかを示した写真。D.spatulataと同じではないかと疑っている人々には、葉の大きさや形と色も見れば、明らかだと主張している。他の詳細な特徴は以下のとおり。花梗が最初真横に伸びる点を除けばむしろD.anglicaに似ている。
葉は季節により二つの型がある。写真の時(1月)、平らなロゼットで、葉は長さ4cm以下のよりさじ型であるが(上写真)、暖かく湿気が多い条件では、葉は立ちあがり、7-8cmの長さに達する(下写真)。
花梗は完全に無毛。それは、写真(A)で示されるように、いくつかの小さく細長い無毛の葉が、個々の花芽の間で互生する(下写真、花梗の左側)。この特徴は、Pr. Ruanのオリジナルな記述には言及されていないが、これからD.spathulataと容易に区別できる。
花を見るのはなかなか難しい。 実際つぼみから最低2日で咲いてしまう。わずかに薄桃色がかった明るい白の5枚の丸い花弁、および5枚のD.spathulataより短く、完全に無毛の萼片をもつ。(『Cの』上の写真を見てください)。夜明けまたは夕暮れ時に開いているだけであるので、開花を撮るのは容易ではないが、成功した時の写真がこれ。
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D. spatulata
関東型コモウセンゴケ(自生地)。葉はへら型で葉柄と葉身の区別が不明瞭。 |
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D. tokaiensis
関西型コモウセンゴケ(三重、上野)。葉柄と葉身の区別が明瞭。種子でよく繁殖し、栽培しやすい。 |
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D. spatulata Amami Island
奄美産コモウセンゴケ。関東型。写真の植物体は日照不足で緑色だが、本来は真っ赤になる。種子でよく繁殖し、栽培しやすい。 |
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D. spatulata Mt. Arthur, NZ
ニュージーランドの北部、Mt. Arthur産のコモウセンゴケ。モウセンゴケを
小型にしたような特異な形をしている。高山性で暑さに弱く、株の寿命
も長くないため難物。 |
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D. spatulata Ahipara, NZ
ニュージーランドのAhipara産のコモウセンゴケ。同上。 |
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wrong "D. stenopetala, NZ"
イギリスから種子で導入したものだが、
明らかにstenopetalaではない。小さな白花の咲くコモウセンゴケ状のもの。本物は別項を参照。 |
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D. spatulata Formosa
白花の咲く豪州産のコモウセンゴケ。やや沖縄産に似る。栽培上はコモウセンゴケと全く同じ。 |
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D. oblanceorata
中国などに自生するコモウセンゴケの近縁。ややNagamotoに似る。栽培上はコモウセンゴケと全く同じと思われる。 |
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