酒とメディアと編集長
望月
もともと出発点は、お酒が好きだったこと?
小池
そうですね。大学生の時に美味しい日本酒を飲む機会があって、そこでグッと心を奪われたんです。当時はメディアや出版など、漠然と「ことば」を扱う仕事がしたいと考えていました。そんなときにSAKETIMES編集部のインターンを見つけて、興味のあるメディアでの働き方と当時最もハマっている日本酒をどっちも学べる良い機会だと思って応募しました。
望月
その後は就職活動なんかもやらなかったの?
小池
しばらくフリーターでもいいと思っていたので就活はせず、大学卒業後もほぼフルタイムで働き続けていました。当時から「この仕事は天職だ」と思っていましたね。
望月
編集長も自ら取材に行くんですよね?
小池
もちろん、全国各地さまざまなところへ行きます。SAKETIMESは、酒蔵をはじめとしたタイアップ連載をマネタイズの中心にしているので、ある酒蔵に何度もお伺いするんです。
望月
なるほど。連載で深堀りしていく感じなんですね。
小池
ある酒蔵を紹介しようと思うと、蔵元さんや杜氏さんの想い、会社としての理念や歴史、商品の紹介、地元の魅力……伝えたいことがたくさんあります。だからこそ、単発の記事ではなく、連載を通して多角的に魅力を伝えることで、中長期的なブランディングのお手伝いをしたいんです。
酒蔵たちの新しい試み
日本酒業界はいま、代替わりも含めて、若いプレイヤーが増えてきています。また、海外に目を向けると、日本酒を飲んで感動した現地の方たちが自分たちで「SAKE」を造るケースもあります。この流れはこれから加速していくと思っています。
望月
日本国内で新規参入は厳しいよね?
小池
日本酒の製造には免許が必要で、新規で免許を取得するのはかなりハードルが高いといわれています。反面、海外では比較的自由にSAKEを造ることが可能です。
望月
どこかの蔵元の蔵を間借りすることもあるんですか?
小池
あります。例えば、東日本大震災で被災した福島県の酒蔵が新しく蔵を建て直すまでの期間、山形県の酒蔵で酒造りをしていたケースがありました。
また、いわゆる「委託醸造」を活用する新規プレイヤーも増えてきていて、商品の設計やデザイン、販売は自社で行い、酒造りを特定の酒蔵に委託するというケースもあります。
世界と日本酒、そして日本酒の歴史
海外で小規模な酒造りをしている方たちは、日本酒に対しての好奇心が強く、ギークな方が多いと思います。
好奇心が原動力になっている彼らはどんどん新しいチャレンジをする。しかも、1回に造る量が小さいので、いちどやってみてダメでもすぐに新しい機材を入れてみたり、発酵の方法を変えてみたり……小さいPDCAを回すのが速いんです。
海外の動きでいうと、日本のベンチャー企業が、パリで酒造りを始めています。彼らは既成概念にとらわれることなく、酒造りの工程で、ゆずやハーブ、生姜などのボタニカル原料を入れることで、新しい味わいの日本酒を造り出しています。ただ、日本酒の歴史を紐解いてみると、正月に飲む「お屠蘇(おとそ)」も生薬を漬けた薬草酒だと考えると、何か近いものを感じます。だから、もしかしたら実は日本酒の歴史の中に、新しいアイディアのヒントが転がっているんじゃないかと。
平林
日本酒が海外で人気になっていると何度も聞いてきた。結局のところはどうなんですか?
小池
日本酒の輸出量は10年連続で伸びています。ただ、金額で言うと234億円ぐらいしかない市場なんです。ワインの世界市場が1兆円規模であることを考えると、まだまだこれからです。ただ逆を言えば、可能性がめちゃくちゃあるんです。
小池編集長が目指しているもの
望月
小池さんが目指している目標みたいなものはあるんですか?
小池
有名人になるのが目標です。
平林
どういう有名人なんですか?
小池
「その存在が人を幸せにする」ような有名人になりたいです。「◯◯さんの出ているテレビを見るのが毎週の楽しみ」とか、「△△さんに会えたうれしさをいまでも覚えている」とか、ポジティブな感情をたくさん生み出せる人間になりたい。現在を快く生きていくためには、僕は「予定」と「思い出」が必要だと思っているので、だれかの楽しみな予定に、だれかのうれしい思い出になりたいですね。
望月
それって以前からですか?
小池
もともと、お笑い芸人になりたかった時期があって、、その延長線です。
望月
人前で話すのは全然苦にならない?
小池
人前で話すのは好きですね。
平林
チャンスが来たら目立ちたい?
小池
はい。でも、自分がどうこうというよりは、その場にいる全員にとって心地良いことが大事だと思うので、引くべきときは引きますよ。笑
平林
すごく大切ですよね。ガンガンいく人はかえってダメだもんね。