長野樹木の伐採作業開始 木曽の太陽光発電、反対住民抗議で中断
木曽町三岳の御嶽山麓で太陽光発電事業を計画している「日本エコロジー」(大阪市)は六日、ソーラーパネルを設置するための樹木の伐採作業を始めた。町条例に基づく町との基本協定が締結されていない中での着手となり、計画に反対する住民ら二十人が現場に駆けつけるなどして作業はいったん中止した。 建設するのは鹿の瀬温泉近くの町道沿いで、同社は約〇・九七ヘクタールの敷地に出力七百キロワットの太陽光発電施設を計画している。うち約〇・四五ヘクタールの敷地は、以前に計画を進めていた別の事業者によって樹木の伐採を終えている。 同社は昨年九月、条例に基づき開発行為届出書を町に提出。町は地元関係者らで協議会を設けて審議し、住民や御嶽山信者の反対が根強いとして、今年三月に同社と基本協定を締結しないことを決めた。さらに町は四月二日、行政指導として協定が締結されていない中での伐採をしないよう同社と伐採業者に通知した。協定や通知に拘束力はないという。 六日は午前八時半から、同社から委託された作業員二人が現地を訪れた。しかし住民団体「御嶽山の自然を守る会」の呼び掛けで集まった住民らが、現場で作業員を囲むような事態となり、業者は「伐採方法について町と再度協議する」として作業を中止した。作業は七日以降に再開すると見られ、今月中にもソーラーパネルの設置工事が始まる見通し。 自然を守る会は同日、より開発行為の抑制力がある新条例(昨年十月施行)の適用を求める要望書を町に提出。正沢隆副町長は「さかのぼって新条例を適用することはできない。町が開発行為を差し止めることもできない」としつつ「御嶽を守るために太陽光発電はふさわしくないと考えている」と話した。近くのゴルフ場跡地では、県外の二業者が約三十六ヘクタールの敷地で太陽光発電施設を計画している。自然を守る会の松永民子会長は「一つの事業者が伐採を始めてしまうと、他の事業者の動きも加速してしまう」と懸念した。 (中田弦) PR情報
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