全3974文字

COVID-19は他にどんな特徴があるのでしょうか。

斎藤氏:似ているのは03年ごろに流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)です。ウイルスが空気中に3時間くらい浮遊することができるなど、今回のウイルスと特徴が似ています。コロナウイルス自体は風邪の原因にもなっているものですが、それに毒性の高いものが加わって、SARSや中東呼吸器症候群(MERS)、COVID-19の原因となっているのです。ウイルスそのものが体に直接的にダメージを与えるのではなく、ウイルスによって体の免疫システムがオーバーリアクト(過剰反応)した状態になり、それで多臓器不全などに陥るのです。

 今回のウイルスはまだ分かっていないことが多いのですが、現場で感じるのは非常にたちが悪いということ。感染力が高く、重症化すると助けることが難しい。

 大学病院が多く、研究データが豊富で感染症の専門家も多いニューヨークですら、こんな状況です。東京でもし同じ状況になったら、到底、対応できないと考えられます。

電車通勤はもってのほか

日本に届けたいメッセージはありますか。

斎藤氏:日本の方々はこちらで起きていることを「遠い国の出来事」と思われているかもしれません。でも、(人が密集して暮らしているという状況は)東京もニューヨークと変わりません。日本では感染者数が少ないといっても、それは検査数が圧倒的に少ないから。症状はないけれども、ウイルスは持っているという人がすでに数多くいると考えた方がいいでしょう。

英オックスフォード大学の研究者などでつくる「アワ・ワールド・イン・データ」が公開データを用いてグラフ化した、日本や米国などで実施された新型コロナの検査件数(20年3月20日時点)。圧倒的に日本が少ないことが分かる

 日本ではクラスターの存在を早めに察知するという手法で封じ込めを狙っているようですが、大規模検査の実施なくしてクラスターの把握などあり得ません。

 にもかかわらず、まだ在宅勤務を実施していない企業が日本には数多くあると聞きます。私はもともと商社に勤めていて、脱サラして医者になったのですが、友人に聞いたところ、親会社の商社は在宅勤務にしていても、子会社はまだ出勤しているそうです。