蔚山市では、災害管理・災害救護基金1073億ウォン(現在のレートで約89億7700万円。以下同じ)のうち27%が既にコロナ対応へ投じられた。なのに基本所得保障まで支給するということで、残りの基金も間もなく使い尽くしてしまう見込みだ。政府で支給することにした緊急災害支援金の市充当分や中小商工業者・脆弱(ぜいじゃく)階層支援金として策定した1171億ウォン(約102億4000万円)など、これから使うことになる金額は既に基金の残額を超過している。結局蔚山市は、義務預置額の250億ウォン(約21億円)にも届かない、およそ180億ウォン(約15億8000万円)しか残しておけなくなった。蔚山市の公務員らは「これでは本当に大変なことになる」と懸念している。2016年の台風18号(アジア名:チャバ)では、被害復旧額1337億ウォン(約116億8700万円)のうち100億ウォン(約8億7000万円)が災害管理・災害救護基金から投じられた。当時は景気が良く、地方税などがたくさん集まったが、今の状況は正反対だ。コロナで税収も減っている上、最近3年間で地方債を1900億ウォン分(約166億円)発行して財政事情は悪い。突発的な災害に襲われた場合、最悪の状況になる。
ほかの地域でも、コロナ現金支援のせいで災害基金が底を尽きそうな情勢だ。釜山市では災害管理・災害救護基金1335億ウォン(約116億7000万円)が地域の中小商工業者や零細自営業者に100万ウォン(約8万7000円)ずつ提供する緊急民生支援金として使われ、積立額は年初の28%の水準(約520億ウォン=約45億円)へと急落した。釜山市の関係者は「台風の被害に備える災害対備予算は補正予算などを通して確保しなければならない」と語った。仁川市は1377億ウォン(約120億円)あった災害管理・災害救護基金が500億ウォン(約43億円)、36%の水準にまで減る危機にある。