国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は5月29日、「世界の多くの地域で再生可能エネルギーが、現時点で既に最も安価な電力源になっている」との調査結果を発表した。
同機関が公開した最新の報告書「再生可能エネルギー電源のコスト(2018年)」によるもの(図1)。2019年9月の国連・気候行動サミットのために、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開催予定の準備会合に、同報告書の分析結果を提供するとしている。
同報告書は世界中の再エネ・プロジェクトから集めたデータの総括に基づいており、価格低下が確実なことから、再エネのコスト優位性がさらに拡大すると予想している。このため事業性が向上し、再エネがグローバルなエネルギー転換の推進力としての揺るぎない役割を担うという。
再エネ設備のコストは、2018年に最低記録を更新した。例えば、集光型太陽熱発電(CSP)による電力のグローバル加重平均コストは26%低下した。同様に、バイオマスは14%、太陽光と陸上風力は13%、水力は12%、地熱と洋上風力は1%、それぞれコストが下がった。
特に、太陽光と風力に関しては、「今後10年間にわたってコスト低減が継続することが確実」と同報告書では指摘している。
IRENAのグローバル・データベースによると、2020年に連系予定となっている陸上風力の75%および太陽光の80%以上のプロジェクトは、化石燃料(石炭、石油、天然ガス)による新設火力発電の最安オプションより低価格の電力を補助金など無しで供給できる見込みという(図2)。
陸上風力と太陽光のコストは、風況や日照量といった条件に恵まれ、規制の枠組みや制度設計が再エネ導入に適している地域では、既に3~4セント/kWhが実現している。
例えば、チリ、メキシコ、ペルー、サウジアラビア、UAEといった国々では、LCOE(均等化発電原価)が3セント/kWhという記録的な低コストの水準で入札が行われた(関連記事1)(関連記事2)。
同機関は、コスト競争力のある再エネに基づく電化が、エネルギー転換を支える根幹であり、パリ合意で定められた気候変動対策の目標を達成するための低コストの「脱炭素ソリューション」のカギを握るとしている。