総務省の委託を受けて日本無線協会が実施する国家試験のうち、4、5日に全国で予定されている第1級と第2級のアマチュア無線技士の試験を、予定通り実施することが3日、分かった。新型コロナウイルスの流行を受け、東京都などが不要不急の外出自粛を呼び掛け、民間の小売店なども営業を中止するなど、感染拡大防止への取り組みが広がる中、主に趣味のための同試験を実施する国の方針には批判も上がりそうだ。

 総務省や日本無線協会によると、試験は全国12会場で行われ、4日の第1級試験には657人、5日の第2級試験には315人が受験の申し込みをしている。新型コロナの発生を受けて実施の可否を検討したが、年間3回しか受験機会がないことや、同協会が実施するほかの国家試験も実施したことなどから、実施を決めた。受験の見送りを希望する受験者に対しては、受験費用の返金や次回以降の受験資格を与えるという。

 ただ、受験予定者の中からは「アマチュア無線は不要不急の資格で、中止すべきだ」との声も上がる。試験時間は1日計5時間と長く、閉鎖空間に多くの人が集まるため、感染拡大のリスクが高まるためだ。

 同協会によると、会場には消毒液を置き、マスクの着用を呼び掛けるなど感染拡大防止には取り組んでいるという。ただ、東京会場の場合、試験に使う長机の両端に座っても、濃厚接触の目安とされる2メートルの距離は確保できないという。

 アマチュア無線技士は個人的な興味による通信や、技術的研究を行うために認定される資格で、業務で使用することはできない。資格試験をめぐっては、英語検定試験「TOEIC」や銀行業務検定試験など中止や延期する例が相次いでいる。