学校再開に関する疑問「自治体の再開判断は?」「登校・部活・合唱は?」 感染症の専門医に聞きました

2020年4月3日 17:56
 東京都や大阪府が休校の延期を決めた一方、東海3県では一部の地域や学校を除き、来週4月6日からの週に学校が再開します。学校再開に関する街の疑問を感染症の専門医に聞きました。

名古屋の公園で聞くと意見は様々

東京都や大阪府はGW明けまで延期
「現在の知見では、子どもは地域において 感染を拡大する役割をほとんど担っていない。これは県という大きなくくりではなく、地域や生活圏ごとのまん延の状況を踏まえて判断してくことが重要」(政府の専門家会議 尾身茂 副座長 1日)

 1日に行われた政府の専門家会議は、学校の再開時期などを、各自治体の判断にゆだねるとしました。

 東京都と大阪府は、都立や府立の学校の再開を5月のゴールデンウイーク明けまで延期すると発表しています。
 

愛知県と名古屋市の対応(3日現在)

愛知県・名古屋市は来週から再開 保護者や児童からは様々な声
 一方、愛知県と名古屋市はともに予定通り、来週から学校を再開する判断をしました。 
     
「東京・大阪のように、毎日何十人も感染者が拡大して、国から感染拡大警戒地域とみられているのとは愛知は違う。学校は新学期でスタートするのがルール」(愛知県 大村秀章知事 3日)
「先生はみんなマスクをつける。学校はすべて窓をオープンにする。気をつけて学校に出てきて」(名古屋市 河村たかし市長 3日)

 名古屋の公園にいた保護者や児童に再開について聞くと…

「再開はいいなと思います。子供が退屈しちゃうし、学習も遅れがあるのかなと」(6年生の母親)
「友達と会えるのはうれしいですけど、ちょっとゲームができなくなるのでのばしてほしい」(6年生)
「いきなり学校が休みになって勉強していないところもあるから早めに行きたい」(4年生)
「空き教室がないぐらい児童の数が多い学校なので、余裕をもたせた席の配置などが無理ではないかと思う。“3つの密”って守れるのかなと思う」(6年生と3年生の母親)
 

入学式の準備 保護者のための座席は間隔をあけた(大宝小学校)

小学校の教頭は「子どもたちに会える楽しみの半面…悩ましい」
 名古屋市熱田区の大宝小学校では、6日の入学式に向けて、準備が進んでいました。

「本来、保護者席はくっつけて多くの人が入れるようにします。今回は感染症対策があるので左右の間隔をあけています」(大宝小学校 上田真教頭)

 休校からほぼ1カ月。待ちに待った新学期ですが、その一方で…

「子どもたちに出会えることを楽しみにしている気持ちが大きい半面、この情勢で完全に感染症が終息しているわけではないので、最大の対策をしていかなければいけないということで、非常に悩ましい」(上田 教頭)
 
学校再開に関する疑問 感染症の専門医に聞いた
 学校再開に関して聞かれた様々な疑問や注意点について、感染症や呼吸器が専門の公立陶生病院 武藤義和医師に聞きました。

 まずは、愛知県や名古屋市が来週からの再開を決めたことに対し、武藤医師は『地域レベルでしっかり判断・対策を』と話します。

「日本中で感染者が増えていることは事実だが、愛知県内でも全く出ていない地域やたくさん出ている地域もある」
「学習が遅れてしまうとか、子どもたちが退屈してしまうとか、そういったことを考えると、地域レベルで全く感染例が出ていない地域では、積極的に再開してその都度判断・対策をしていくことが大事だと思う」
「愛知県内は拡大傾向だとは思う。しかし、名古屋近隣は確かに感染は多いが、県内のほかの地域では感染者がいない地域もある。地域レベルは大事だと思う」(武藤義和医師)
 

毎日体温のチェックを

Q.家を出る前に注意するポイントは?
「新型コロナウイルスは肺炎、いわゆる風邪と似たような症状が出る。熱が出る人も多いです」

「そのため、まずは熱があるかどうかがすごく大事。毎日検温してもらいたい。合わせて、咳やのどの痛みなどの症状をチェックリストを作って確認することを保護者にやってもらうといいと思う」
 
Q.「発熱」って何度?
「熱が出ない人もいるので、検温で100%病気だと見つけられるかは難しい。熱が出る人は37.5℃以上出ることが多い。ひとつの目安にしてもらうといいと思う」

Q.平熱との違いはどう考えたらいいの?

「熱が確実にあがったというのは37.5℃。この体温だったら学校に行くかどうかは家族で相談が必要」
 

飛沫が届かない距離を保つ

Q.登校時の注意ポイントは?
 武藤医師は、登校時は次の2つがポイントだと言います。

1)必要に応じてマスク着用して、少し離れて歩く
2)ハンカチ、ティッシュは持つことが大事

「集団登校をするところが多いので、皆さんマスクをして、自分から出る唾とかが届かないようにすることが大事」
「合わせて少し離れて歩く。子どもでは約1m飛沫が飛ぶと言われているので、手が届かないくらいの距離をおくことがいいかなと思う。大人だと身長があるので、2mと言われている」
「ハンカチとティッシュはいつも必要だと思うが、くしゃみをするときにマスクでしてしまうとマスクが汚れるので、できればティッシュなどを使って、すぐ捨てることをやってもらえるといいと思う」
 
Q.文房具は消毒した方がいい?
「文房具を自分で使うだけだったら、他の人から感染させられるとか感染させるようなことはないので、基本的には消毒しなくてもいい」

「ただ共有するようなものは消毒するとか、手を洗う行為を積極的にする方がいいと思う」

 
Q.机の距離・肌の触れ合いは?
 来週から授業が始まる名古屋の小学校では、机の間隔をあけているところもあります。

「飛沫がとぶ距離をあけるということで約1~2mあけておくことは有効だと思う」

Q.他の子どもたちと触れ合うことは?

「学校レベルで手洗いの指導や、保護者も『怖い病気がはやっているから友だちといたいと思うけど気を付けてね』と伝えてもらうのは大事だと思う」
 

食事中 向かい合っての会話には注意

Q.給食の時の注意点は?
「グループごとに向かい合うのは、県によっては前を向いて食べましょうとか、向かい合っておしゃべりしないでね、とか大きな声をださないでねと呼びかけているところもある。この地方でも同じことが呼びかけられると思う」

「授業でいろいろなものを触った後なので、食事の前、お手洗いにいった後などはしっかりと手を洗ってほしい」
 

音楽の授業に関する愛知県と名古屋市の対応(3日現在)

Q.音楽の授業「合唱」は?
 愛知県と名古屋市の教育委員会では、年間の指導計画の中で、歌う必要のある授業は延期して後で行ったり、歌う際に一人ひとりの間隔を空けるなどの対策をしたりするといいます。これらの対応は、それぞれの学校の判断で行われるとしています。(3日現在)
 
 この対応については、武藤医師は…

「岐阜県で合唱団のクラスターがあった。歌うことには飛沫がとぶリスクがある」
「そのため、名古屋市では歌う必要がないものは歌わない、延期して歌以外のものをやるとか、少人数で間隔をあけるとか、場合によっては外で歌うことを考えている学校もあると聞いています」

 

部活について愛知県と名古屋市の対応(3日現在)

Q.部活は?
 部活動を再開した場合、活動内容について、愛知県は“市町村”の判断に、名古屋市は“それぞれの学校”の判断に委ねるとしています。(3日時点)

 これに関して武藤医師は…

「部活動は種類によって全然違うので、難しいと思う」
「ひとつは人と共有するものを触る時はしっかりと手を洗うこと、接触する機会はできるだけ避けて基礎体力を作ることを中心にして、接触するような試合は避けるといった方法をとる学校もあると思う」

(4月3日15:40~放送「アップ!」より)
 

これまでに入っているニュース

もっと見る