愛知中央分離帯、開口部を閉鎖 名古屋・千種区の児童重体事故現場
名古屋市千種区天満通一の県道交差点で三月、中央分離帯の開口部(切れ目)を自転車で横断していた男子小学生が乗用車にはねられて重体になった事故を受け、長さ三十メートルの開口部が二日、閉鎖された。事故後も、県道を横断しようとした歩行者や自転車と、車が衝突しそうになる事例が発生しており、千種署は「これ以上、大事故を発生させないため」と強調する。 事故は三月十六日午後三時十分ごろに発生。現場は南北に走る片側二車線の県道と東西の市道が交わる。信号機はなく、すぐそばに歩道橋がある。男児は自転車で東に向かって横断中、左から来た車にはねられた。 署によると、現場では二〇一四年一月から二〇年三月までに六件の人身事故が発生。今回の事故を受け、千種署が地元住民や市などと事故防止策を検討し、開口部をふさぐことになった。 住民からは「車や自転車を使う人が不便になる」との声もあったが、地元の上野学区連絡協議会前会長の山田祐一郎さん(80)らが中心となり、「今後、同様の事故が発生する危険性が非常に高い」と書いた紙を沿道の千軒余りに配るなどして、理解を求めた。山田さんは「利便性は命には代えられない」と話した。 現場はひとまず、バリケードを並べて閉鎖しているが、夏までに中央分離帯を延ばす工事を実施して、完全にふさがれる予定。 ◆記者も現場で危険を確認三月下旬の水曜日。昼すぎの一時間、現場の開口部を通行する車や人の流れを記者が確認したところ、十九回の往来があった。歩いて横断する高齢者と車の「あわや事故」という場面にも出くわした。 最も多かったのは北進車の右折の六回で、次いで、自転車での横断と、歩行者の横断が三回ずつあった。このうち高齢女性が歩いて東に向かってゆっくりと県道を横切った際には、左から来た車と接触しそうになった。幸い車が減速し、女性も急ぎ足で渡りきったため、衝突することはなかった。 ここは、県道を走る運転手には注意が行き届きづらい場所だ。南北に二つある信号機付きの交差点の中間に位置する。南進車両にとって、右カーブの先にある現場は見えにくい。さらに中央分離帯の白い柵の陰に隠れて、開口部を渡る歩行者に気付きにくいため、事故の危険性がある。 一方、歩行者側にも落とし穴がある。警察庁の分析では、横断中の歩行者が車にはねられた死亡事故のうち、渡り始めに右から来た車との事故よりも、渡り切る前の左から来た車との事故の方が多く、件数は二倍超だった。特に高齢者は距離を見誤って横断しやすいという。現場の県道は片側二車線で横断に時間がかかり、車も六十キロ制限のため速度が出やすいことから、事故に遭うリスクはさらに高い。 千種署の落合健一交通課長は「大人が渡っているのを見て、子どもも渡ってしまう側面があった。自分たちの地域にも危ないところがないか考えてみてほしい」と呼び掛けた。 (鈴木凜平) PR情報 |
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