東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

コロナと休校 学びの保障に腰据えて

 新型コロナウイルスの感染拡大地域では休校延長を検討するよう政府の専門家会議が提言した。子どもの学びや心への影響は大きい。国は地域の実情に応じ支援に全力を尽くさねばならない。

 拡大地域とされた東京都はすでに都立の高校や中高一貫、特別支援学校の休校を五月六日まで延長することを決めている。やむを得ないが、休校期間は二カ月以上に及ぶことになる。

 学習の遅れに加え、新学期は、新しい友だちをつくるなど生活面でも大切な時期。通学できない生活の延長は、子どもたちの心への負荷も大きい。各自治体は苦渋の判断を迫られている。

 小学校は本年度から、高学年で英語を教科にすることなどを盛り込んだ新学習指導要領が導入される。「主体的・対話的で深い学び」にむけて、授業改革も求められている中で、これまでの休校によって生じた前年度の積み残しも教えなくてはならない。先生たちは頭を抱えているだろう。

 夏休みの短縮などが今後検討される可能性があるが、先生の過重労働を解消するための働き方改革も急務とされている。どう両立させるか、学校現場や教育委員会は難しい方程式を解いていくことになる。

 全国の学校は三月の一斉休校期間中、学校での預かりや昼食の提供、学習プリントの配布など子どもたちを学習、生活の両面で支えるための取り組みを試行錯誤で進めている。

 パソコンなどの配備が進んでいる学校では、健康状態の確認や、個別指導などにインターネットを活用しているところもある。国は情報端末を一人一台配備する方針を昨年打ち出したが、多くの自治体はこれから着手する段階だ。

 感染の広がり方による休校期間の長短に加えて、自治体の教育インフラの格差が子どもの学びに影響してくる部分もあるだろう。国は、どこに暮らしていても子どもたちが十分な学びを得られるよう、必要な人員配置や基盤整備など手厚く支援していくべきだ。

 休校が長引くことで、家庭内での虐待などが発見されにくくなることなども心配だ。人となるべく接触しないことが求められている状況で、困難を抱えた家庭が孤立してしまう危険性は高くなっている。虐待と同じ家庭でおこりやすいとされるDV(配偶者暴力)も含め、電話やネットでの相談窓口の体制を手厚くしていく必要もあるのではないか。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報