誤解されることも多いが、IQは「頭の良し悪し」を検査するものではなく、精神発達のスピードを示すもの。その人の知能が、実際の年齢に比較してどの程度に達しているかを検査する。知的障害とは、実際の年齢と知能の発達段階に差がみえる、発達のスピードが遅いのであって、知的能力や適応能力が成長しないわけではない。
WHO(世界保健機関)では、IQ50~69(精神年齢9~12歳未満)を軽度、IQ 35~49(精神年齢6~9歳未満)を中度、IQ 20~34(精神年齢3~6歳未満)を重度、知能指数20未満(精神年齢3歳以下)を最重度としている。この精神年齢から発達の程度をイメージすると分かりやすいだろう。
例えば、軽度(精神年齢9~12歳未満)の場合、言語の習得は少し遅れるものの日常生活にはほぼ問題がない。学業面では、中学生以上で困難をきたしやすい。一方、最重度(精神年齢3歳以下)の場合は、食べること、トイレに行くこと、衣服の脱ぎ着などが困難なため、自立した生活や就職は難しい場合が多い。
また、知的障害者は身体麻痺などの身体障害、てんかんなどを抱えている場合もある。