―「お前らはスパイの子供」「日本から出ていけ」「○○人を保健所で処分しろ」これは在日外国人の排斥を掲げる団体が、外国人学校に通う小学生に浴びせかけた言葉の一例です。
当分科会が取り扱う「ヘイトスピーチ(憎悪表現)」とは、広義には、人種・民族・国籍・性などの属性を有するマイノリティの集団もしくは個人に対する、その属性を理由とした差別的表現をいい、その本質は、マイノリティに対する表現による暴力・攻撃・迫害です(師岡康子『ヘイトスピーチとは何か』48頁参照)。
日本においては、特に2000年代後半以降、外国人や被差別部落の出身者を標的として、地域社会からの排除や物理的な攻撃を煽るデモ行進や街宣活動が数多く見られるようになりました。その様子を報道番組や新聞記事で見聞きされた方もいるかと思います。
2016年6月には、通称ヘイトスピーチ解消法が制定・施行され、差別的言動に対する社会の関心は高まりつつあるように思えます。しかしながら、今なお、被害が収束したとは言い難い状況があるように思われます。
当分科会は、ヘイトスピーチによって現にもたらされてきた深刻な被害の実態を知り、被害者の救済を図るための活動について学ぶとともに、憎悪表現の根本的な原因である不当な差別にどう立ち向かうべきかを考えていきたいと思っています。
シンポジウムでは、冒頭の被害を受けた外国人学校の関係者からお話を伺い、被害者の代理人を担った弁護士から、訴訟活動の紹介を受ける予定です。