今年の2月14日、全国で13組の同性カップルが、国が法律上同性の者との婚姻を認める立法を怠った立法不作為によって精神的損害を受けたとして、国家賠償法1条に基づく損害賠償を求める訴訟を一斉に提起しました。いわゆる、同性婚訴訟の全国一斉提訴です。
本分科会では、上記の同性婚訴訟を軸に据えつつ、同性愛者の当事者である弁護士夫夫の日常を映したドキュメンタリー映画を上映することなどで、広くLGBTQにかかる問題・課題を学んでいきます。
ところで、本年度7月集会のコンセプトは「事実に学び、事実に向き合う。」です。社会問題や人権課題について目を瞑らず、向き合っていくという姿勢を示したコンセプトです。
では、本分科会で、我々が学び、向き合うべき「事実」とは何でしょうか?
たとえば、本件訴訟を提起した原告の方々ひとりひとりが、本件訴訟で何を求めているかが挙げられます。
同性婚の法制化こそ未だ成っていないものの、同性パートナーシップ制度の整備が自治体レベルでは進む中、それでも同性婚の法制化を求める方々が、今まで何に苦しみ、何を求めて本件訴訟を提起するに至ったのかを探求し向き合うことは、本件訴訟の本質を理解するうえで必要不可欠といえるでしょう。
また、日本社会にLGBTQへの差別と偏見が存在しているということも、学び、向き合わなければならない厳然たる事実として挙げられるでしょう。
本件訴訟を提起された原告の方々の中にも、顔を晒さずに訴訟に参加している方々がいることや、ある法科大学院で起きたアウティングの末の「転落死」事件は、この社会のなかに同性愛者への差別と偏見があることの証左と言えるでしょう。こうした「喜んで受け容れたくはない事実」と向き合うことも、当事者の抱える問題・課題を理解するためには避けて通れないことでしょう。
そして、何を措いても忘れてはいけないのは、LGBTQである人もそうでない人もみな変わりなく、人格と尊厳をもった一人の人間であるという事実でしょう。
私たちの分科会では、これらの事実を頭にいれつつ、様々な切り口からLGBTQに関する課題についての学びを深めていきます。