渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

形見のライター

2020年04月02日 | 公開情報





私の父はタバコをやめて何十年も経って
いたが、80才を待たずに白血病で他界し
た。
その父が私が学生の頃に自分が使っていた
ライターをくれた。1980年の夏だった。
ソリッドブラスのオイルライターだ。

このライターも私はかなり使ったが、父
が亡くなって以降は保存用にシフトした。
このライターは渓流に毛鉤釣りに行く時
に私は愛用していた。
今でも、時々これで火を点けてはみるが、
日常的な実用品としては使用しない。
形見だからだ。
これをくれた時の会話のやりとりも克明
に覚えている。
そうした情景を思い出すために、時々
ジッポーオイルを注して火を灯してみる
ことにしている。
あの人が戦後東京で暮らしていた頃は、
このライターではなくマッチだったの
だろうな、と思ったりしながら。
父はうちの一族にしては珍しくバイクに
乗らなかった。


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