機能を停止した世界、鈍色をした構造体群の遺跡により覆われた地平線がどこまでも続いている。
巨大なレールの上を絶えず前進する一辺二〇キロメートルの立方体《格子建造物》の上に、その都市は存在した。人口五〇〇〇人にも満たない都市ヘルニコグに住むイサカの職業は、都市に一人しかいない《軌象予報士(テレキャスタ)》。格子建造物の進む先にあるレール軌道上の気象や災害を予報するというものだ。
相棒の自律機械《弐伍式精密望遠観測装置(通称ニコニコ)》を覗き、今日もイサカは都市が行く先のお天気を観測する。
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最終更新日
2017年11月11日 12時10分
掲載日
2017年06月08日 23時04分