作者 DarkStar
これは、とある獣人の村の祭り。 闘牛祭 「さあ、この娘を嫁にと思う、 つわものはおらぬか!!!」 村おさの声が響き 壇上の女性が頬を赤く染める。 「俺だ。」 「いや、俺こそがふさわしい。」 と2人の男が名乗りを上げる 「ならば、勝負に勝ったものを、この娘の夫とする。」 男達が服を脱ぐと ふんどし一丁の姿になる。 「ふん。」 「おおおおおお」 男達が気合を入れると 全身を茶色の毛が多う。 頭からは鋭く大きな角が生え、 顔形も変化する。 「ブォォォォォォォォォ!!!!」 「モオオオオオオオオオ!!!!」 牛となった若者達は、お互いの角を引っ掛けあい お互いの力をぶつけ合う。 互角の力を見せていた雄牛同士。 その一瞬、一頭がバランスを崩すと もう一頭が、頭を思いっきり持ち上げて、転ばせる。 ドスーーン!!! 大きな地鳴りが響き渡り、 勝者の牛が決まった。 「娘よ。この勝負に不服はないな?」 と村長が問いかけると 「はい。私はあの方の妻となります。」 と娘が言いながら、勝者の牛に近寄る。 娘の頭から、角が生え、 はだけた着物の下から、 白と黒の毛が生えてくる。 尻尾が飛び出し、 ホルスタインとなった娘が 「モオオオオオオオオオオオオ!!!」 と声を上げると 雄牛もそれに応え 「モオオオオオオオオオオオ!!!!」 と声を上げる。 そして、つがいとなった2頭が退場していく。 壇上には、別の娘。 「さあ、次の娘、この娘を嫁にと思う男は・・・・」 この祭りは、毎年、村に居る年頃の娘の 婿を探す事を目的とした祭りである。 壇上に上がった娘を 男達が取りあい。 その中で勝ったものが、婿として選ばれる。 だが、娘が男を嫌った場合 どうするのだろうか。 次に、壇上に上がった女性は、 村一番の美人彩香。 「さあ、この娘を嫁にと思うつわものはおるか!!」 だがしかし、男達はざわつくばかりで 一向に名乗りをおげる気配がない 少したって、やっと 「お、俺が、」 と一人の男が手を挙げた。 「うーん。一人だけか?、彩香。どうだこの男」 村おさが彩香に聞くと 「その方を私の夫に認めません。」 と彩香は即答する。 「ならば、男。この娘に勝ったならば、その婿に認めようぞ!!」 すると、男は服を脱ぎ、姿を変える。 同じく、彩香も着ていた着物を脱くと ふっくらとしたお尻から房の付いた尻尾 頭からは小ぶりな角が生え、 うつくしく白い指先が太くなりながら 蹄に変わると、両手を地面に付き 先の娘と同様にホルスタインになると 「モオオオオオオオオオオオ!!!!」 と声を上げる。 この祭り、娘が気に入らない場合は、 最後に残った男と勝負をして、 勝てばいいのだ。 そうなると、女が不公平かと思うが、 男は、ほとんどの場合、連戦で、疲れることと、 勝負する雄牛は角などで、雌に怪我をさせたら、 その場で失格というのが決まりとなっている。 しかし、彩香の場合 そんな決まりも関係ないほどに・・・・・ 「ウモオオオオオオオオオ!!!」 と大きな声を上げてひっくり返ったのは、雄牛 そして・・・・・ 「モオオオオオオオオオ!!!!!」 と勝利の雄たけびを上げる彩香。 「仕方あるまい。彩香の婿選びは来年まで延期とする。」 と、溜息まじりに村長はみなにつげる。 祭りの終わった夜。 彩香は、電話をしていた。 「彩香、どうだった?闘牛祭」 声の主は男のようだ。 「もちろん勝ったわよ。っていうか、私今年も 嫁に行きそびれちゃったじゃない。」 「はははは、そうか、 ま、彩香なら心配してなかったけど。」 「少しは、心配しなさいよ。 あたしが別の雄と交尾してもいいの?」 「そうなったら、 そいつに勝負して俺が再起不能にしてやるよ。」 「もー、剛(つよし)。 いつになったら帰ってくるの?、あたしもう、 今年で5連勝中なんだけど、来年とか6つも年下の仔と 並ばないといけないんだよ。 それにおじいちゃんも、かなり渋い顔してるし。 もういいかげんに・・・・」 「わかってるって、来年は俺。村に帰れるから、その時は、 誰が来ても絶対負けないから。」 「うん。絶対だよ。」 次の年、勝負に負けた男のために 6連勝目を挙げなくてはならなくなるとは この時の彩香は、思ってもいなかった。おわり
SINCE 2006/12/16
Copyright© 2008 DarkStar. ALL Rights Reserved.