金に困った住民らがスーパーで略奪 「食べていかねば」とも 伊シチリア
【3月30日 AFP】イタリア南部シチリア(Sicily)島で、食料を買うお金がなくなった地元住民らが、複数のスーパーマーケットで略奪を働いたとの報告を受け、警棒と銃を手にした警察官らが商店の警護に乗り出した。
イタリアでは新型コロナウイルスへの感染により1万人超が死亡。この数字は世界全体の死者数の約3分の1を占めており、同国は第2次世界大戦(World War II)以来最悪の非常事態に見舞われている。
感染拡大の封じ込めを目的としたロックダウン(都市封鎖)により、イタリア全土では12日以降ほぼすべての活動が停止。数百万人が安定した収入を奪われている。
イタリアの最後発地域の一つであるシチリアでは26日、住民たちの積み重なった絶望感が沸点に達したと伝えられており、日刊紙レプブリカ(La Repubblica)によると、パレルモ(Palermo)にあるスーパーマーケットで、地元住民の集団が支払いをせずに商品を持ち去った。「私たちには支払う金がない。(それでも)食べていかなくてはならない」とレジ係に向かって叫ぶ住民もいたという。
全国紙コリエレ・デラ・セラ(Corriere della Sera)によると、シチリア島の別の町では、現在も営業が許可されている小規模な商店の店主たちに対して、食料を無料で提供するよう、地元住民が圧力をかけているという。
同紙は、シチリア島で「社会的な時限爆弾」はカチカチと音を立てていると記している。
ジュセッペ・プロベンツァーノ(Giuseppe Provenzano)南部担当相はレプブリカに対し、「国民の多くが共有している健康や収入、将来に関する不安が、この危機が続くことで怒りや憎悪に変わることを懸念している」と述べた。(c)AFP/Marco GULLA