喫煙者にとっては一大事ともいえる法令が4月1日に施行される。18年に成立した「改正健康増進法」だ。受動喫煙の防止を目的としており、これまで喫煙が許可されていた屋内施設が原則禁煙になる。大きな変化だが法令の詳細をきちんと把握している人は意外と少ないようだ。改めて、法令の中身をおさらいしておきたい。

4月1日に施行される「改正健康増進法」と「受動喫煙防止条例」で喫煙環境は激変。
屋内喫煙は原則禁止になる

 今回の法令と対象になるのは、多数の利用者がいる施設や旅客運送事業船舶・鉄道、飲食店などの施設。居酒屋やパチンコ店なども含まれているので、喫煙者は注意が必要だ。

 喫煙室を設けることは許可されている。その種類は四つあり、喫煙専用室=喫煙可/飲食提供不可、加熱式たばこ専用喫煙室=加熱室たばこのみ喫煙可/飲食提供可、喫煙目的室=喫煙可/飲食提供可、喫煙可能室=喫煙可/飲食提供可で分かれている。
 
厚生労働省の公式サイトから抜粋

 どんな施設でも設置できるわけではなく、喫煙目的室は特定事業目的施設(シガーバーやタバコ販売所、公衆喫煙室が該当)、喫煙可能室は既存特定飲食提供施設に限定される。学校・病院・児童福祉施設・行政機関などは屋外も含めて全面禁煙となる。

 既存特定飲食については複雑なので、少し掘り下げて説明したい。これは即座の喫煙可能室設置などが難しい小規模の飲食店が該当する。具体的には2020年4月1日時点で営業中であること、資本金が5000万円以下であること、客席面積が100平方メートル以下であることが基準となる。

 東京都に関しては改正健康増進法と別に「受動喫煙防止条例」が同日に施行される。屋内禁煙を原則する趣旨は同様だが、基準がより厳格で「家族経営や従業員がいない店舗(子どもが出入りする場合は不可)」のみ、例外として喫煙が可能となる。今回の法令・条例に従わなかった場合の罰則は施設の管理者に課されることになっているので、非喫煙者でも無視することはできない。
 
規制を受ける飲食店は全国では「45%」。
一方、東京都は受動喫煙防止条例によって「84%」に倍増する

 喫煙者にとってポジティブなトピックとしては、受動喫煙防止対策助成金の制度が拡大することだ。それに伴い、公衆喫煙所などがより整備がされていくものになると思われる。ルールをしっかり理解し、喫煙できる/できない場所を把握することが新環境に適応するための最初の一歩になる。(BCN・大蔵大輔)