2020年4月1日より、ついに「改正健康増進法」が全面施行された。原則として屋内禁煙となったため、飲食店をはじめとする各方面に影響を及ぼすことが予想される。現在、ただでさえコロナウイルスによって自粛を求められている店舗も多く、泣きっ面に蜂とはこのことだろう。
中でも「改正健康増進法」によるダメージが大だと思われるのがパチンコ屋。というのも遊戯する客の多くは喫煙者で、タバコとパチンコ(パチスロ)は切っても切れない関係と言ってもいいからである。はたして施行前後でお店はどれほど変わったのか、確かめに行ってみた。
・最終日までタバコを吸えたところが多い
近年、出玉規制などもあって遊戯人口が減少傾向にあるパチンコ業界。かつて30兆円産業とも言われていたが、次々に閉店が相次ぎ勢いを失い続けている。昔だと朝から長蛇の列ができる光景も珍しくなく、鉄火場と噂のホールに1000人規模の客が訪れた頃が懐かしい。
時は流れて2020年3月31日、都内にある数店舗を覗いてみたところ……さすがに平日、そしてコロナウイルスの影響もあって遊戯する人は少なめ。喫煙環境の方はというと、どこも灰皿を設置したまま。店舗内はもちろんのこと、遊戯台の真横にもあって客はこれまで通り喫煙しながら遊べる環境にあった。
一応、喫煙専用ブースは店内に設置されていたものの、稼働させていない店舗もチラホラ。お店側としては、最後の最後まで気分よく遊戯してもらいたいのだろう。また、期限ギリギリまで動かないあたり、そこはかとなく「屋内禁煙に納得いかない」というメッセージも感じた。
遊戯しながらタバコを吸える最終日。せっかくなので私は昔を思い出して1000円だけプレイしてみることにした。ボーナス時に至福のタバコを吸う、逆に出なくてイライラして吸う、隣りの咥えタバコの副流煙に迷惑……など「パチンコあるある」的なことが思い出される。
施行前日、これと言ってお店に大きな変化はなし。ただ、本日4月1日──とうとうタバコの煙が消える「運命の日」がやってきた。
・改正健康増進法が施行
パチンコ屋はいつものように営業しているも、店内のいたるところに置いてあった灰皿はキレイに全撤去されていた。気になる遊戯台の真横にある灰皿は……
シールのようなもので閉じられていた
数店舗を見て回った結果、禁煙に関する情報が店内のいたるところに書いてあってどこか痛ましい。また、喫煙専用ブースこそ設置されているものの、使用者は少なめ。というより、前日に比べて客足が遠のいているようにさえ感じた。あいにくの空模様が関係するかもだが……。
・喫煙専用ブースの使用状況
なお、本日から喫煙専用ブースを稼働させた店舗が多数。中には完全禁煙に踏み切ったお店も存在し、1日にして芳香剤のような香りが充満しているところもあった。これまで副流煙を防ぐ仕切りなど、客のために設置してきたお店はそれらが「無」。そのことを考えると、タバコと二人三脚だったとも言えるパチンコ屋にとって気の毒な法律なような気もする。
もし私が今も遊戯する立場だったら、やはりタバコなしは考えられず。わざわざ喫煙専用ブースを利用してまで遊ぼうとは思わない。同じように感じる人も少なくないはずで、遊戯人口はさらに減るのではないか。
キレイな空気で遊戯できるのはいいことだが、はたして本当に快適になったのだろうか。これから客が判断することではあるものの、当たり前だったことがなくなるのは今後少なからず影響を及ぼすはずだ。娯楽が多様化している今、パチンコ屋の未来はあまり明るくないかもしれない。
Report:原田たかし
Photo:RocketNews24.