灰色の獅子   作:えのき

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3月中に終わらせたかったのにできなかった
更新頻度は下がるとは思いますが簡潔だけは絶対にさせます
繋ぎなので退屈ですが最終回までお付き合いください
おそらく大半の人の想像を超える結末だと
作者は勝手に思ってます


揺れる心

***

 

 

 

1980年11月15日

 

 

生後数ヶ月と思われる男の子が玄関先に置かれていた。焦げ臭い匂いのする毛布に包まれており、中に黒い杖、そしてウィリアムと書かれた紙のみが入っていた。

 

***

 

 

 

 

まずは疑問だ。

“誰の手でここへ来た”のか

“なぜ自分の存在を消せた”のか

 

 

日付から自分の両親が捕まってからここに来たのがわかる。つまり協力者がいたのだ。

 

単純に考えれば死喰い人だろう。ノクターン横丁の孤児院は犯罪者や浮浪者などの子供が多い。

 

だがそれは違う。

 

自分の記録の中の“焦げ臭い”という単語、そしてロドルファスの燃えたという発言が重なる。しかし彼の言葉は不自然だった。

 

燃えたという原因を知るのは自分とあと“1匹”、つまり人間ではない生き物だ。

 

ベラトリックス家はマルフォイ家と同じ聖28族の一つに数えられる名家の一つだ。マルフォイ家の持つものはだいたい持ち合わせている。その中で生き物といえば一種しかない

 

“屋敷しもべ妖精”だ

 

 

 

 

 

 

ウィルは小さく口を開く

 

「ドビー。」

 

彼がそう言ったほんの数秒で目の前の空間が歪み、元へ戻るとドビーが現れた。

 

彼は赤と黄色のネクタイを首に締めており、ヘンテコな靴も履いている。

 

「お呼びですかウィル」

 

ドビーはキーキーと甲高い声で叫ぶように言った。ウィルは笑顔でお礼を述べて頼みごとをする。

 

「隠れ家に移動してくれ。」

 

 

ドビーはウィルの手を掴むとそのまま妖精版“姿くらまし”を使ってその場から消え去る

 

彼はドビー、かつてマルフォイ家に仕えていた“屋敷しもべ妖精”である。家では劣悪な環境で働かさせられてたがウィルの手により解放され、友人となったのだ。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

〜貝殻の家 〜

 

 

 

 

 

 

 

海沿いの崖の上の家だ。どこまでも美しい浜辺が続き、波風は玄関に並べられた魔除けの貝殻を揺らす。

 

ここはロンの兄であるビル・ウィーズリー、そしてその妻のフラー・デラクールが住んでいる家だ。

 

「こちらです!」

 

ドビーはウィルを扉に誘導する。そして彼が家の中に入るとその場に居合わせた人達は驚きを隠せない様子だ。

 

家主であるビルは杖を抜いてウィルへ向ける

 

「お前、ウィリアムだな?」

 

彼はウィルの起こした行動や立場、マルフォイ家の嫡男である事を知っている。彼の真意を聞くまでもなく、ここで仕留めておくべきだと考えた。絶好の機会だ。まだ奴は杖を抜いていない。

 

 

しかしそれは敵わなかった。ひとりの女性がまるで稲妻のように間に入ったからだ。彼女はまるで食らいつくように激しく抱きしめる

 

ウィルは魅力的な笑顔を浮かべて彼女の頭を優しく撫でてやる。

 

「やぁ、無事で良かった。」

 

彼女は離れウィルにお礼を言った。そして今度はハリーが口を開く。

 

「その、どうなった?」

 

彼が知るのはウィルとその母親であるベラトリックスが姿現しで消えたことだけだ。ハリーは2年前の神秘部の戦いにおいて2人の関係を知っている。

 

「殺したよ。」

 

ウィルはなんとも言えない、寂しそうな顔で答える。

 

「そうか・・・。」

 

ハリーはどう答えたらいいのかわからずにつぶやいた。

 

「その、僕達はベラトリックスの金庫に入りたいんだ。だから助けてくれないか?」

 

ハリーはウィルに本題を伝える。そして話を聞いてみると、彼らは分霊箱を探す旅に出た時になぜかグリフィンドールの剣が自分達の前に現れたのだ。それは分霊箱を破壊することのできるもので、彼らはそれとあと1つしか知らない。

 

そしてグリフィンドールの剣はベラトリックスの金庫の中に仕舞われていた。しかしそれは偽物であると、同じく捕まっていたゴブリンから聞いた。なのでハリー達がグリフィンドールの剣を持っていたのを見て慌てて拷問にかかったらしい。その様子から見て分霊箱の1つがベラトリックスの金庫にあると考えたのだ。

 

 

「勘違いするな、俺を味方だとは思わないほうがいい。俺はあくまでも中立だ。」

 

ウィルは案の定、拒否をする。あくまでも自分はどちらの肩を持つつもりはない。たまたま実家に里帰りをしたらベラトリックスに絡まれて殺しただけだ。

 

「おい!アイツを放っておけば多くの人が死ぬんだぞ!」

 

ロンは感情的にウィルに食ってかかる。それもそうだ。2人よりずっと長く魔法界で育った彼にはどれほど家名や血筋についてよく知ってる。

 

「価値観の相違だ。違えば友じゃないのか?」

 

昔からお互いに折り合いが悪く、よく小競り合いを起こしてきた。もちろん互いの事を憎んでいるわけではない、ただ互いの家を背負う者として得た価値観が異なるだけだ。

 

「まだどちらにも干渉するつもりはない。」

 

ウィルは本心でそう言っている。まだ彼は正しい選択肢を選べない。生きれば生きるほど守りたいものは増え、探れば探るほどに彼は双方の境界線の上に立つ。

 

「彼とは適度な距離を保つが一番よ。」

 

ハーマイオニーはそう言った。彼とは1番の友人で理解者である。意志を貫く彼を説得することなどできない。お互いにお互いのコントロールはできないし、するつもりもない。互いが対等な立場であるためだ。

 

でも彼女はウィルと過ごした日々を信じている。いつか必ず自分達を助けてくれる。自分の知るウィルはそういう男だ。

 

だが最近の彼は少し違う。歳を重ねるごとにだんだんと変わったのだ。これが成長なのかもしれない。昔から大人びていた彼が本当の大人になったのだろう。

 

「1つ言っておこう。俺には“闇の帝王”とダンブルドア、どちらにも勝算はある。」

 

2人の実力には追いついていないと自覚しながらもウィルは本気でそう信じている。彼の戦闘スタイルは狡猾に思考を練り、無数に広げた策を用いること。同じ才能でも実力は違う、それを補うための戦い方だ。

 

ダンブルドアは決着をつける前に死んだが、トムとはまだ手をとるか拒むかは決まっていない。より正しい答えだと確信するほどのきっかけがないのだ。

 

「俺は条件さえ揃えば2人を殺して俺がこの世の王になれる。」

 

ウィルはそういうと窓から外を見る、すると砂浜でぼんやり海を眺めている女の子に目をやる。

 

よく知ってるブロンドの変わった子だ。

 

 

 

 

ウィルはすぐに外へ出て砂浜へ降りる

 

「やぁ。」

 

「久しぶりだね、元気だった?」

 

ウィルは状況に流されないマイペースなルーナに自然と笑顔が溢れる。

 

「また迷ってる。」

 

ルーナは抑揚なくウィルに言う。やはり彼女に隠し事はできない。

 

「俺は養子でね。マルフォイ家とは縁もゆかりもない。」

 

「・・・。」

 

相変わらずルーナは聞いてるのか聞いてないのかわからない。

 

「本当の母親に会った。彼女は悪人でね。数多くの人を殺してる。それは俺には関係ない。母の罪だ。でも俺の友人の・・・

 

ウィルはそう言いかけると口を紡いでしまう。喉でつかえて言葉が出てこないのだ。両方の心の奥から熱いものがこみあげる。

 

自分はいい。問題はその友人の方だ。もし自分の母がベラトリックスだと知ったら彼はどう思うだろう。ずっと両親を廃人にした女の息子と知らずに仲良くしてたのだ。

 

誰も悪くない、だからこそ痛む。責任を取れないから償う事ができない。行き場のない想いをどうすればいいのだろう。

 

「言いたくないなら言わなくていいよ。無理に聞くのが友達じゃないから。話したくなるまで待ってあげる。」

 

ウィルはその言葉に胸を打たれた。昔からだ。なぜか自分は彼女には勝てないなにかがある。

 

 

 

久しぶりに会ったからだろうか、それとも矢継ぎ早に事件が起きるからか。いずれにせよ、心が緩んでしまっている。ずっと複雑にぐるぐると巡って心の中に収まらない。

 

「・・・がとう。」

 

ウィルは声にならずルーナにつぶやく

 




最近の投稿を読み返して自分でもワクワクしないのでエッセーの真似事です。品がないので興味ない方はここで止めてください























今月で学生が終わるのでウィルのモデル(プロローグの人、イケメン)と呑みに行きました。その時に最後だからって聞きたいことなんでも聞いていいよって言われました。彼は秘密主義なので容赦なく色々聞きました。


今、彼は彼女持ちでありながら彼女“公認”の○○○が5人いるらしいです。僕がどうやったらできるのかと聞いたところ少し考えてこう言いました。

『カブトムシって一本の木のミツを皆で吸うよね?喧嘩もしないで吸いたくなれば吸って、飽きたらどっかに行く。それと同じだよ。たまたま木(友人)のヌシ(彼女)が許してるからできるんだけど』


たしかに衝撃と共に確かにそうだと思いました。(ちなみに彼は自分がクズだと自覚してます。)

彼は自分とは住む世界が違うくらいの人間です。コミュ力お化けで恐ろしいくらい友達がいます。

同世代はさることながら、大人に混じって将棋や麻雀したり、近所の子供と公園でサッカーしてるような奴です。誰にでも親切で漢気溢れるような性格です。

正直、そこらへんの男の6人分以上の価値はあります。なんだったらもっといてもいいんじゃね?って思いました。

でもふと作者は思いました。彼という木の横に生えてる僕という木にはカブトムシどころかハエの1匹も止まってません。つまり彼が悪いのではなく、彼の6分の1以下の価値しかない僕が悪いのだと思わざるを得ませんでした。


以上、美しい木の横に生えてる雑草がお送りしました


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