□月▽日 035
情報部に帝スポ定期購読の手続きをさせておいた。
月内は無料配達してくれるらしいので、とってもお得だ。民の税金を無駄にはできないからな。
皇帝のクセにしみったれてるって?
とんでもない。臣民の生命と財産を有効に使うのは名君の条件だ。決して無駄にしてよい物では無い。歴史に名を残す身としたら、この程度の配慮は嗜みだろう。小物て言うな。
情報部も洗剤と闘技場の無料チケットをもらったと喜んでいた。〝雷光〟もさっそく無料チケットを分けてもらっていたようだ。
部下達の喜ぶ顔が見れるというのは良いものだな。
□月□日 036
帝スポの「ナザリック美女突撃インタビュー」のコーナーが復活していた。
嬉しい限りだ。
国民の休日にしてしまおうかと言ったら、〝激風〟が「冗談ですよね?」と言うから「もちろん冗談だ」と笑って誤魔化しておいた。〝重爆〟がチッと舌打ちしてた気がするが気のせいだろう。
今回はユリとか言うメイドの番だったが、確かアインズのお手つきだったな。俺好みの美しいメイドだったが、あんな墳墓にしまっておくとか、本当にもったいない。
中断前のナーベル? だったか? のメイドの時は、一言毎に記者が殺されてたが、今回は多少落ち着いたインタビューのようだ。
しかし
>ユリ姉さんだけ30代に見える
こんなことを言えば、あの優しそうなメイドでも怒るだろう。
パンチ1発で頭を潰されたというのは大袈裟だが滑稽で笑ってしまった。
○月○日 037
ナザリックのロウネから、「日刊・アインズ様を作る」の残りの号が届いた。
発行済みの号なら一気に全部送ってくれた方が、こちらとしては楽なんだが、一気に送ると荷物が大きくなりすぎて送料が馬鹿にならないそうだから仕方が無い。ロウネのことだから、その辺は抜かり無いだろう。
送料節約とかセコイ?
全ては帝国臣民の財産なのだから、帝国の為に効率良く使うのは当然だろう。無駄にしてよい金などない。その程度のことも理解できないとか、貴様が皇帝でなくて良かったな。俺が皇帝で、帝国臣民は幸せ者だ。
さて、別に楽しみにしていたわけでは無いが、さっそく完成させてみようと思う。
情報の早期入手は重要だからな。
明日予定していた新編成近衛閲兵式と竜王国援助計画会議は中止だ。
○月×日 038
例の「日刊・アインズ様を作る」を最後まで作ってみた。
最終的に用途不明で余っていた部品の使い道が判明したが、隠し要素として「デミウルゴス様デザイン白骨玉座」というものが出来上がると書いてあった。様々な種類の骨が組み合わされた、おぞましき玉座だ。
デミウルゴスと言えば、確かあのカエルの悪魔の名前だが、このような邪悪なことを考えていたとは・・・さすがロウネ、すっかり連中に懐柔されたように見せかけて、このことを伝える為にこれらの荷物を送ったというわけだ。
やはり魔導国との共存など絶対に有り得ないと確信した。
ロウネの手紙には、次は「日刊・ナザリック大地下墳墓を作る」を送る予定だと書いてある。
これであの墓地の秘密を暴けると思うと楽しみだ。
追記
完成した糞野郎は、やはりどう見ても骨格標本にしか見えん。
迷惑なことに、完成すると全体が暗闇で青白く光るギミックがあったようだ。夜中に起きて枕元で光ってた時は、さすがの俺もちょっとビビった。
○月△日 039
かねてナザリックのロウネから予告のあった「日刊ナザリックを作る」が届いた。
とりあえず創刊号~40号までで、これで地下第1層~第4層の様子が判明することになるらしい。
早速作って情報を得なければならないので、今日予定されていた竜王国援軍計画会議は延期することにする。
秘書官は困っていたが、元々あそこはいつも法国に頼ってたのだから、別にうちが無理して苦労してやる義理は無いではないか。そうだろ?
事の重要性を考えれば、魔導国対策と竜王国の支援では、どちらを優先するかは自明の理だし、こちらも近衛が半壊している上に、周辺の治安維持に使っていた腕利きのワーカー4パーティーが壊滅して、戦力のやり繰り苦労しているのだ。
とても竜王国救援にホイホイ戦力を出せるような余裕は無い。
〝雷光〟が「竜王国ほっといていいんですか?」と聞くから、「ではお前が行くか?」と聞いたら、今度闘技場で大事なレースがあるから無理ですと言っていた。
ちょっと驚いて「お前、闘技場の試合に出るのか?」と聞いたら、そうではなくて闘技場で年に数回開催される八足馬(スレイプニール)のレースがあって、「次はニッパチで鉄板なんです」だとか力説していた。
闘技場でそんなことをやっているのは知らなかったが、ちょっとした悪戯心で「では竜王国はどうするんだ?」と聞いたら「ほっときましょう」と即答していた。
現金なものだ。
2016/03/20 各話にナンバリングを追加しました。
2016/04/16 文章の修正・加筆を行いました。
2016/05/02 文章の修正を行いました。