小池都知事「バーやナイトクラブ自粛して」のワケ[2020/03/30 23:30]
新型コロナウイルスへの感染状況について、東京都の小池知事は30日午後8時半すぎから緊急の記者会見を行い、感染経路が不明な症例のうち、バーやナイトクラブなどでの感染が多発していることを明らかにし、「若者の皆さまにはカラオケ・ライブハウス、中高年の皆さまには、バーやナイトクラブなど、接待を伴います飲食店などに、当面控え、自粛をして頂きたい」と、異例の呼び掛けを行いました。こうした夜の飲食店で感染した人の大半は40代以下だといいます。厚生労働省・クラスター対策班の西浦博北海道大教授は、夜の街ならでは調査の難しさを指摘しました。「実際の調査では、調査に応じて頂けない患者も多い。介入が一部困難であることが想像される一方、積極的に対策を講じないといけないという数の伝播(でんぱ)が始まっている」と話しました。小池知事は改めて「都民には4月12日までの間、3つの密を避けて頂く行動をお願いするとともに、平日の夜間の外出、それからこの週末もご協力頂いたが、週末の不要不急の外出を控えるようお願いしたい」と述べました。東京都では30日、新型コロナウイルスの感染者が新たに13人確認されました。60人を超える感染が確認された28、29日に比べて、大幅に減っています。東京都はHPで、保健所がPCR検査をした数を発表しています。40人以上の感染が確認された先週は100件ほどにとどまっていましたが、この週末は、感染が相次いだ台東区の永寿総合病院を集中的に検査。29日は、330件の検査を行ったといいますが、まだ検査結果が判明していません。永寿総合病院では、すべての入院患者と職員をPCR検査の対象としました。感染者の多くは、今も院内で治療を受けています。転院が難航している理由は、他の病院もベッドが満床だからです。現在、都内の感染者のうち394人が入院対象となっています。当初、感染症指定医療機関の病床は118床だけでしたが、現在は、東京都が打診した受け入れ可能な病院に入院しているといいます。日本医師会は「東京都できょう、あす、あさって、感染者数が3桁に近付くとなれば、緊急事態宣言も考えていかないと、医療崩壊につながってくる可能性もある」と危機感を示しました。菅官房長官も「現在の状況は、緊急事態宣言との関係ではぎりぎりの状態」と述べました。こうしたなか、J1神戸は30日、元日本代表のDF酒井高徳選手(29)が、新型コロナウイルス感染のPCR検査で陽性判定を受けたと発表しました。Jリーガーで陽性判定が公表されるのは初めてとなります。また、新型コロナウイルスに感染して20日から入院中だったタレントの志村けんさんが29日午後11時10分、入院先の東京都内の病院で亡くなりました。70歳でした。志村さんは17日から倦怠(けんたい)感の症状があり、19日には発熱や呼吸困難に襲われ、翌日、都内の病院に搬送、重度の肺炎と診断され、入院。21日には、意識がなく、人工心肺を付けて治療を続けていたが、感染発覚から6日で亡くなりました。感染症対策が専門の順天堂大学大学院・堀賢教授は「大体、発症から8日目までは治るが、2割の人が入院。その2日後、10日目にICUに入る人が多いが、志村さんの場合は非常に早かった」と話しました。さらに「本当に悪くなる場合は、数時間で悪くなる。そうなると、人工呼吸器に乗せても救命できない症例が半分出てくる。今回はその半分にあたる。たばこを吸いすぎると、肺がどんどん壊れていく。たんが出しづらくなって肺炎が治りにくい。また、お酒を飲んで肝臓が弱まると、抵抗力が落ちる」と指摘しました。そのうえで、「他人事だと思わないで、気をつけてほしい」と話しました。