遅すぎ、ショボすぎ…安倍政権のコロナ対策は、まるで話にならない

はっきり言おう。このままでは危ない
髙橋 洋一 プロフィール

その他の対策もおかしい

いずれにしても、今の安倍政権はちょっとおかしい。筆者が強くそう思うのは、経済対策だけではない。

ひとつは新型インフルエンザ対策特別措置法の運用だ。これは民主党政権時代の法律を改正したもので、3月13日公布、14日施行だった。

筆者が驚いたのは、14日施行なのに、この法律にもとづいてすぐに政府対策本部を立ち上げなかったことだ。すでに首相官邸には新型コロナウイルス感染症対策本部があったので、それをそっくり移行させればよかったはずだ。政府対策本部が発足したのは、なんと27日だった。

 

緊急事態宣言がまだ出されていないのも奇妙だ。

特措法改正時の3月10日、筆者はあるネット番組で「ヒゲの隊長」こと佐藤正久参院議員と対談したが、一刻も早く緊急事態宣言を出すべきとの意見で一致した。

その時はまだ、今日の事態を必ずしも正しく予測していたわけでないが、各都道府県知事が強制措置をとるべき時になれば法的根拠を確保できるし、とるべきでなければやらなければいいだけだからだ。他国では軒並み緊急事態宣言やそれに準ずる状況であり、いまさら日本が緊急事態宣言を出しても特に問題にはならないので、やらない選択肢はなかった。

しかしながら、いまだに宣言はなされていない。政府は「ギリギリの状況だ」と言う。特措法は医療崩壊を防ぐためのものなので、それほど「ギリギリ」なら緊急事態宣言を政府が行い、各都道府県知事に、対策の法的根拠と実施権限を与えておくべきだ。

小池百合子東京都知事が「ロックダウン」などと言っているが、法的根拠なしで行うのは危うい。