遅すぎ、ショボすぎ…安倍政権のコロナ対策は、まるで話にならない

はっきり言おう。このままでは危ない
髙橋 洋一 プロフィール

官邸が財務省にやられている

次に、対策そのものの規模も情けないほどシャビーだ。一応、「リーマンショックの際を上回る規模」というが、これは事業規模の話だ。リーマンショック時に政府が56兆円の事業規模で対策したのは事実だが、真水ベースだと15兆円程度だった。

経済対策には、大別すれば(1)公共事業、(2)減税・給付金、(3)融資・保証がある。「真水」とは、(1)のうち用地取得費(事業費の2割程度)を除いた部分、(2)は全額、(3)は含めないで、(1)(2)を合算したものを指すことが多い。

実際の政策としては、(2)でも消費に回らないと短期的にはGDP創出につながらないし、(3)がないと企業倒産に繋がり、雇用の喪失を通じてGDPへの悪影響が出る。

 

その意味では、全ての政策が相まって重要なのだが、「真水」の考え方は、「マクロ経済政策による有効需要増のGDPに対する比率」で表すことができる。そのため、経済ショックで需給ギャップがGDPの一定割合に生じた際、どの程度まで穴埋めできるかが簡単にわかるので、景気の先行きを占う上で有効である。

実は、筆者は、2010年1月5日から本コラムを書いている。最初の原稿「なぜ日本経済だけが一人負けなのか」(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/60)では、リーマンショックのGDPギャップとその埋め方を、日米英独で国際比較している。その中で、「日本は財政政策も金融政策も酷い」と論じている。

安倍政権になって、少しは民主党政権より経済運営がまともになったが、ここにきて、メッキがはげている。自民党内の一部はまともであるが、今の安倍政権は官邸が機能していない。このため、財務省にやられている。さすがの安倍首相も、パワーが失われているようだ。