「日本も3週間後、地獄を見る」まるで戦争…欧州に住む日本人の警告

「ロックダウン」中のイギリスから
谷本 真由美 プロフィール

もともとイギリスの飲食店の清掃は十分ではなく不潔なところが多いので、以前からそうしていたのですが、中国の状況を目にしてからは、さらに入念にやるようになりました。

そんな私を、イギリス人の夫や義母は「実に神経質だ」と半ば冗談半分に言い、笑っていたのです。

2月の半ばに子供とその友達と映画館に行った際にも、子供達に店から提供されたクレヨンやテーブル、椅子を全て消毒ワイプで拭き、参加者にも全員にワイプを配布して、触れるところを拭いてから食事をするように言いました。

私の鬼気迫る態度を、他の親たちは若干異様に感じたようでした。以前から変わった人だと思われているので、気にはしませんでしたが。

そもそも、イギリスだけでなく欧州では、食事をする前に手を洗う習慣がないのです。子供達にまで手を洗わせるような親は、中国人や日本人、韓国人、そして東南アジアの人々だけです。そんなことをする人達は「神経質でセコセコした、感じが悪い人間だ」と思われるのです。

 

首相スピーチに泣き出す人も

ところが、ボリス・ジョンソン首相の3月13日のスピーチにより、私が「神経質な東洋人」扱いされる時は、残念ながら終わりました。

あの瞬間、平和な日常生活は終わりを告げました。

一国の首相が、国民に向けて「あなたの家族にも犠牲者が出る」――つまり「もう我々はあなた達を守れません。弱い人は死にます」 と、はっきり述べたわけですから。

日本では、ボリスのスピーチについて「リーダーシップがあり、日本政府よりはっきりしている」と評価する人も多かったようですが、 イギリス人には泣き崩れる人が出ました。