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この作品 「現柱の過去スレ、山梨神隠し事件の顛末」 は「鬼滅のホラー」「鬼滅ちゃんねる」等のタグがつけられた作品です。
ホラーと推しカプをねるねるねるねしてハッピーホラーを目指しました。いつも以上に本...
ホラーと推しカプをねるねるねるねしてハッピーホラーを目指しました。
いつも以上に本誌ネタバレしまくってます。
それではご唱和ください。「おばみつは正義」
※設定ページが出来ましたので、以降のコテハン名参照や解説・おまけの話については「設定と小話」をご覧いただけると幸いです。
いつも以上に本誌ネタバレしまくってます。
それではご唱和ください。「おばみつは正義」
※設定ページが出来ましたので、以降のコテハン名参照や解説・おまけの話については「設定と小話」をご覧いただけると幸いです。
【序文】
・現パロ（基本はキメツ学園設定）
・ちゃんねる形式
・ネット慣れしているキャラが多い
・スレ上でテンションがおかしくなるキャラがいる
・独自設定ある
・シンプルに色んな怪異のお話
・柱の過去編スレ
・格好良い義勇さんと匡近はいません
・本誌ネタバレのオンパレード
【コンセプト】
＿人人人人人人人人人人人人＿
＞ おばみつよ、幸せに… ＜
￣Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y￣
先日の青森での調査で神封じを行った為に、
蝶屋敷で検診や禊を受けていた善逸は、ようやく全ての行程から解放された。
検査結果‐異常なし
そうカナエとしのぶにお墨付きを貰い、
美女達と接してご機嫌な善逸はうきうきと足取り軽く廊下を歩いていた。
「善逸君、ちょっとちょっと」
先程話したばかりのしのぶが、遠く離れた廊下の角で手招きをしている。
善逸は秒で移動してしのぶの前に立った。
「なんでしょうか！！！」
「元気で何よりですね。この後少しお時間よろしいですか？」
「もちろんです！！！」
「ではこちらに」
善逸の大きな声にも動じずにこにこと笑顔を浮かべたまま、しのぶは善逸をある一室に案内した。
和洋折衷の蝶屋敷だが、その一室は和室に洋風の家具を設置したシックな雰囲気の部屋だった。
雪見障子の向こうには、坪庭が見える。
その部屋の中央、ゴシック調の楕円のテーブルには、パソコンを操作している無一郎とそれを後ろから覗き込む炭治郎と伊之助が居た。
「どうしたの、二人とも」
「遅ぇぞ、紋逸！」
「ああ、善逸。待ってたよ！検査は無事に終わった？」
善逸へと顔を向けたのは二人――伊之助は乱暴な言葉とは裏腹に嬉しそうな表情を浮かべ、炭治郎は快活な笑顔で出迎えた。
「うん、特に異常はなかったけど…」
何の集まりだろうか…と不安そうに、両の手の指をすり合わせるように胸の前で絡め、身構える。
「もうすぐ玄弥とカナヲも来るよ。ちょっと君達に見せたいものがあってね」
無一郎は顔を上げずに、モニターを壁に投影する操作をしていた。
「昨夜色々過去のファイル漁ってて見つけたんだ。
面白かったし、内容的にタイムリーだから皆にも見てもらおうと思って」
「私が鬼殺隊に入ったばかりの頃の事件ですね」
「しのぶさん、部屋貸してくれてありがとう」
「いえいえ、どういたしまして。
玄弥君の禊ももうすぐ終わりますから、最後はカナヲになると思います」
「よし、準備完了」と言って、無一郎はエンターキーを押した。
「これって、柱のみアクセス可能なログじゃないの？」
「うん。だけど柱が許可したら閲覧できるから大丈夫だよ」
無一郎はニヤッと笑って、入り口に立ったままの善逸に手招きをした。
【実況スレ】桜餅姫救出大作戦！【20XX年5月】
1 スーパー鮭大根ブラザーズ
もう嫌だ。うちに帰りたい。
～pic_kimechan01.jpg
2 スーパー祭りの神ブラザーズ
早ぇよ。もうちょっと頑張れ。
3 スーパー鮭大根ブラザーズ
分かってる…
スレ、ちゃんと立ったようなので、とりあえず、経緯を書いていく。
山梨の幣毘村（ぬさびむら）で怪異に巻き込まれて実況スレを立てたスイパラが現地で消息を絶って半日。
参照→【実況スレ】髪の長いお侍さんの後を追ったらワンダーランド【20XX年5月】
http://www........
先日柱に就任した祭りの神を筆頭に、怒り心頭のとろろ昆布と、
同期ということで引っ張ってこられたおはぎと俺が調査メンバーだ。
まず第一に、スイパラの救出・安全確認後、必要に応じて幣毘村の調査を行う。
4 スーパー戦隊レッドブラザーズ
鮭大根君は大丈夫なのかね。
写真を見る限り、まだ現地に着いただけだろう。確かに周囲は真っ暗闇だが。
5 スーパー天狗面ブラザーズ
あの子は昔から怖がりだが実力は確かだ。
昔のお前みたいなものだ。
6 スーパー戦隊レッドブラザーズ
息子もスレを見ているので昔の話はやめてもらっていいでしょうか…。
7 スーパー雷△ブラザーズ
過去ログ見られたらお前が絶叫マシーンだったってこと位すぐバレると思うぞ。
8 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
スイパラを攫った怪異は見つけ次第血祭りにする
9 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
殺意高めですね。
10 スーパーおはぎブラザーズ
むしろ殺意が人型を取っていると言った方がいいな。
祭りの神と俺は探索に集中するから、鮭大根に主なスレ実況を任せてある。
11 スーパー寺生まれの岩ブラザーズ
その、大丈夫だろうか…
12 スーパー鮭大根ブラザーズ
だいじょぶだ全然全く問題ｎない。
13 スーパー蝶々の長女ブラザーズ
不安……(*_*;
14 スーパー鮭大根ブラザーズ
待ってくれちゃんと説明する。俺はできるんだ。
今のは辺りが暗すぎてちょっとあれしただけだ！
改めて現状をまとめる。
スイパラが本日11時頃に餅つき大会で訪れていた幣毘村で、知人に似ているという侍姿の男にふらふらと付いて行く
↓
そこで四季の狂った空間に迷い込む。男の姿は消えていた
↓
正午頃、空間内を探索中にスイパラからの書き込みが突如途絶える
↓
調査メンバー決定。準備に2時間、片道8時間というドドドドド田舎に到着
↓
現在22時。。。こんな時間に外灯もなく、ポツポツと点在する民家の電気も全部消えた村で探索……。
みんな早寝なんだな……。
ちょっと待て、足元に何か当たった。
すいｋ
15 スーパー天狗面ブラザーズ
鮭大根！！？
16 スーパー祭りの神ブラザーズ
首だ。生首。
～pic_kimechan02.jpg
17 スーパー戦隊レッドブラザーズ
これは…人間の男のようだが、皮膚の一部が鱗のようになっているな。
蛇が混ざったような…蛇の妖怪か…？
18 スーパー保健の先生ブラザーズ
瞳孔など、鬼の特徴もいくつか見受けられますが…
19 スーパー雷△ブラザーズ
鬼と同化した怪異か？
20 スーパー鮭大根ブラザーズ
足に固いものが当たったので西瓜かと思ったら…何なんだ…。。。
生首道に捨ててあるとかどんな抗争地帯だ。本当に日本かここは……
もうやめてくれ…俺は限界だ。
祭りの神が日輪刀で切断してみたが消えなかったので護符で浄化した。
蛇の怪異と聞いて、とろろ昆布の殺意ゲージがMAXになったんだが。
21 スーパー蝶々の長女ブラザーズ
日輪刀で消滅しないということは鬼の混じり物ではないのかしら。
それとも融合しているモノの方が鬼の気より強い、とか。
22 スーパー鮭大根ブラザーズ
即興で用意した備品の暗視ゴーグルの所為で景色が緑色に浮かび上がって見えるから必要以上に大自然が俺をビビらせてくる。
蝶々姉と一緒だったら暗視のまじないを直接目に施してくれただろうな……
今は一本道の畦道を歩いて、向こうにあるこんもりとした小さな森を目指している。
～pic_kimechan03.jpg
写真はなぜこんなに綺麗に写るんだ…
写真も緑色になって皆と恐怖を分かち合えればいいのに。。
スイパラの「森に続く道」というのは恐らくこの畦道のことだと思う。
23 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
お前の雑魚心臓を暗視ゴーグルのせいにするな。
キビキビ歩け。
スイパラがこの闇の中で行方不明になっていると思うと心が痛い。
24 スーパースカーブラザーズ
とろろ昆布君、気を付けて。焦りは見えるものも見逃してしまうよ。
俺のほうで、調べたことあげていくね。
『幣毘村史』
http://www......./history.pdf
→これによると、そこは大昔に九頭竜伝承のあった場所の一つで、村人は洪水を起こす九つの首を持つ大蛇に長年悩まされていたらしい。
ある日、村に訪れた行者とお供の霊犬が大蛇を退治して村に平和が訪れた。
村のどこかには、その大蛇の骨の一部（逆鱗という言い伝えもあり）を祀った祠があるらしいよ。
蛇なのに逆鱗…ということは、竜寄りだったのかな。
夏の武勇伝を落としていくスレ547
347 名無しの勇者
じゃあ、次は俺の話な。
この前、人生初の心霊スポット凸をしてしまった。
計画して行ったわけじゃなくて、たまたま夏休みに帰省した時に
地元の同級生が「山側の村に侍の幽霊が出るって噂になってんぞ」って言ってきて流されて行った感じな。
遊ぶところもないクソ田舎だったらから、ちょうどいいかってなったんだよ。
夜9時なのに村の家全部電気消えてて、まじ怖かった。
住民寝るの早すぎｗｗじーちゃんばーちゃんしかいないのかよｗとか、怖さ紛らわすために大声で言い合ってた。
そしたら、ずっと先まで続く暗闇の向こうに、ぼやっと火みたいなのが見えて、みんな緊張で一気に黙り込んだ。
民家の人に見つかったら怒られると思ったから、集落じゃなくて田んぼばっかのあぜ道歩いてたのな。その突き当りに鳥居のある小さな森があって、そこをゴールにしようって話してた。
火は道の先、鳥居の手前あたりに灯っているように見えた。
かがり火っていうの？そういうのかな、って思いながら恐る恐る歩いて行った。
近付くにつれ徐々にその火の正体がハッキリして、俺達は悲鳴を上げた。
それはかがり火なんかじゃなかった。
額から血を流した侍が立っていて、そいつが持ってる刀が燃えてたんだ。
噂のおばけってコレじゃないかとか、なんで刀が燃えてんだとか、頭の中は疑問でいっぱいだったが、声には一言も出せず、ずっとヒーヒー変な息を吐きながら立ち尽くしちまった。
侍の霊は、俺達を見ることもなく「鬼でないものに用はない」ってすげー小さい声で言って消えた。
侍の姿が消えた瞬間、体の硬直が解けて俺達は叫び倒しながらその場からダッシュで逃げた。
家に帰ってちょっとずつ冷静になって、鬼じゃなくて良かったーとか思った(笑)
379 名無しの勇者
>>347 その侍は鬼退治でもしてたの？桃太郎の霊か？
382 名無しの勇者
>>379
いや、鬼がいたとかって昔ばなしは聞いたことないな。
むしろ頭が9つある蛇の話のほうが有名。
25 スーパー戦隊レッドブラザーズ
確か、「幣毘」とは「へび」とも読むのだったな。
南方熊楠著『十二支考』－「蛇に関する民俗と伝説」より一部抜粋
＞『古事記』の遠呂智（おろち）は『書紀』に大蛇とあり、
『和名抄』に蛇和名倍美（へみ）一名久知奈波（くちなわ）、
『日本紀私記』にいふ乎呂知（おろち）とあり、
今俗には小さく尋常なるを久知奈波といひ、やや大なるを幣毘（へび）といふ。
26 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
スイパラが見たという侍というのもそいつのことだろうか。
27 スーパー雷△ブラザーズ
鬼とはどちらの鬼のことだ？
儂等が狩っていた鬼か、伝説に残るような鬼のほうか。
その侍の怪異は、なぜ蛇の伝説が残る村に鬼を探しに出たんじゃ。
28 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
火…というと、炎の呼吸の剣士の霊だったという可能性はありませんか？
29 スーパー炎タイプブラザーズ
いや、炎の呼吸は技の発動時に炎のエフェクトが見えるというだけで、刀そのものが燃えているわけではないんだ。
30 スーパー祭りの神ブラザーズ
あの頭突き坊主はどうだ？ヒノカミ神楽だっけ？
31 スーパー鮭大根ブラザーズ
あれも、呼吸によって刀自身が火を噴いているわけではなかった。
爆血刀というのは、妹の血鬼術との合わせ技のようだし。
32 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
しかしどうだ、あの子供の額には赤い痣があっただろう。
痣のことを知らない者からすると、暗闇にぼんやり浮かぶそれは血のように見えたかもしれないぞ。
33 スーパー鮭大根ブラザーズ
なるほどな…おばけの正体は彼か。
…知人だと思うとそんなに怖くない…大丈夫だ。
34 スーパーおはぎブラザーズ
喋り方が変じゃね？
そんな物の言い方するか、あのガキ。
35 スーパー炎タイプブラザーズ
そもそも、既に転生を果たしているのに
幽霊が存在して徘徊するなど有り得るのか？
36 スーパー蝶々の長女ブラザーズ
残留思念霊魂といって、無念が魂から切り離されて残る場合や、
その土地に強く残った記憶が霊体となることはあるわね。
37 スーパースカーブラザーズ
でも、変だな。
隊服で歩いていたとき「剣士」と呼ばれることはあっても、「侍」と言われることは無かったから。
38 スーパー戦隊レッドブラザーズ
それならもう一人、日の呼吸を使う者がいただろう。
始まりの呼吸の剣士だ。
先祖の遺した書物には、「額に赤い痣、戦う時にのみ漆黒の刀身が赫く染まり燃え上がる気を纏った剣筋」とあったぞ。
39 スーパー雷△ブラザーズ
なるほど、戦国時代の剣士ならば「侍」という風貌も頷けるな。
40 スーパーおはぎブラザーズ
そもそも、スイパラの奴は誰に似てると思ってその侍の後を付いて行ったんだ？
41 スーパー祭りの神ブラザーズ
昔の知り合いに似てるって興奮して書いてたな。
それが、あの頭突き坊主に似てたんだっけ？
42 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
明記されていないが、「昔の同僚の男の子が大人になったらあんな感じ」と表現してあるな。
同僚ということは、一般隊士であったアイツより、同じ柱……当時子供だった霞柱じゃないのか。
43 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
大正の頃、霞柱は始まりの呼吸の剣士の血を引いていたとお館様から聞いていました。
遺伝的に似ていてもおかしくはありませんね。
44 スーパー鮭大根ブラザーズ
そうこう話しているうちに着いた。
これが、例の鳥居だな。侍の姿はない。
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鳥居を越えて歩いている。左右に地蔵が等間隔に並んでいる。寺なのか神社なのかハッキリしてほしい。神仏習合の名残か？
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45 スーパー蝶々の長女ブラザーズ
ところどころ、首のないお地蔵さんがいるなぁってよく見たら、
五体首のあるお地蔵さん→六体目首なしの法則になっているみたいね。
46 スーパー寺生まれの岩ブラザーズ
地蔵は六体いることで本来の意味を発揮する、その六体目の首が無いことは意図的なものだろうか。
47 スーパー祭りの神ブラザーズ
どういうことだ。
戦隊モノか？お地蔵さん戦隊6レンジャーということか？
48 スーパー寺生まれの岩ブラザーズ
そういう認識でも特に大きな隔たりはない。なるほど、子供にはそういう説明の方が分かりやすいかもしれんな。
仏教思想で六道というものがあり、天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の六界が存在すると言われている。
地蔵菩薩はその六道全てに存在し、救われない魂…特に親より先に死んだ子供の魂を救うために六道を巡り続けているそうだ。
その為、六道に同時に存在する＝六体の地蔵が安置されることが多い。
49 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
岩さんの大変ありがたい仏教授業。とても勉強になります！
50 スーパー炎タイプブラザーズ
六界の内、どこか一界だけ救われないという意味だろうか。
51 スーパーおはぎブラザーズ
普通に考えりゃ地獄だと思うがな…。
52 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
こういう意味の分からんことする奴は、常人とは違う驚きの発想に至ることもあるしな。断言は出来ない。
53 スーパー鮭大根ブラザーズ
こんな森の中に焼却りょを置く理由を絵本を読み聞かせるように優しく教えてくれ、。
んnなななかみ見ると遺影がたくさんはいっってた
火をくべる下の鉄扉に赤い文字で書いてあるこれはなんと読むんだ
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54 スーパー炎タイプブラザーズ
動揺し過ぎて誤字がひどいな。
55 スーパー天狗面ブラザーズ
「堋」ほう、ぼう、あずち、ほうむる
意味は、弓で射る的のまわりを固めた盛り土。棺を埋める。埋葬する。
56 スーパースカーブラザーズ
へーへーへー………
焼却炉、遺影、葬る。
おれは、かしこいからな。
その焼却炉の用途が大体分かっちゃったんだけど、その上で一言だけ言っていい？
雑な火葬してんじゃねーよ！！！！！
57 スーパーおはぎブラザーズ
やっぱそういうことだよなぁ。
58 スーパー祭りの神ブラザーズ
ということは、この遺影はこの中で燃やされた人のやつか？
なんで遺影をこの中にぶち込んだんだ？
そもそもこの灰も被ってない遺影は焼却炉が使われなくなってから入れられたんだよな？
ちゃんと遺影を焼却炉にぶち込んだサイコ野郎は実在する人物だよな？
なんか遺影の写真、白黒からカラフルなものまで色々時代の変遷あるんだけど、どういうことだ？
なぜなにどうしてーーーー
だめだ、あれこれ考えすぎて一周回って思考が8歳くらいになっちゃうぜ。
口笛はあああなぜ遠くまで聞こえるのおおおおお
あの雲はあああなぜわたしを待ってるのおおおおお
教えてえええおじいさあああん 教えてえええおじいさんんんん
教えてえええアルムのもみの木よおおおおおお
59 スーパー戦隊レッドブラザーズ
こんな力強いハイジ嫌だ。
60 スーパー炎タイプブラザーズ
名作児童アニメーションの主題歌をこぶし効かせて歌わないでくれ。
61 スーパー祭りの神ブラザーズ
日常会話をフォルティシモで喋っている奴に言われたくない。
62 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
フルカラーの写真があるということは、結構最近までその焼却炉は使われていたのでしょうか。
63 スーパー鮭大根ブラザーズ
気軽に恐ろしい推測を書き込まないでくれ。
早寝早起きするのどかな田舎の人々が、一気に犬鳴村の村人にすり替わるような妄想力が働いてしまって怖くて後ろ振り向けない。
64 スーパー炎タイプブラザーズ
生身の人間の方が物理でどうこう出来て良いけどな。
65 スーパー鮭大根ブラザーズ
人間だとしても登場時のホラー演出が凄いだろう、無理寄りの無理だ。
66 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
それにしてもおかしいな。
スイパラの書き込みには、地蔵も焼却炉も出てきていない。
鳥居を越えた段階で、スイパラは違う境界の中に入ったということだろうか。
67 スーパー祭りの神ブラザーズ
スイパラの時は花々に囲まれた森の道を出しておきながら、俺達にはこの仕打ち…間違いない、犯人は女好きのドスケベ野郎だな。
68 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
シンプルに殺す。
69 スーパー蝶々の長女ブラザーズ
まあまあ、落ち着いて。ちょっと整理しない？
一般の書き込みスレも含むと、その場所にはいくつかの怪異や怪現象が存在するでしょ。
・一般人スレの燃える刀を持った侍（始まりの呼吸の剣士？）
・スイパラちゃんが見た侍（上記と同一？）
・蛇と鬼の特徴が見られる生首
・焼却炉を使っていたものの存在（地蔵含めて現世に存在する物か？）
・スイパラちゃんを攫った空間の主（上記のどれかと同一？）
・いまみんなが居る空間の主（スイパラちゃんを攫った主と同一か？）
こんなところかしら。
70 スーパー鮭大根ブラザーズ
思ったよりいる……
71 スーパーおはぎブラザーズ
というか、俺達がどっかの異界に既にいる前提かよ
72 スーパー祭りの神ブラザーズ
試しに結界破りの祝詞を上げたが何も変化がない。
俺達がいるのは現世の位相だが、そこに異物が混じっていると言った方が近い表現だと思う。
だが、仮にスイパラがこの辺りで攫われたっていうなら、空気が揺らいだり、今の術の影響が少しは出るはずなんだが、それも無いとなると…こちらからの干渉が難しい神域の可能性が高いな。
あと、さっきから俺にだけ何か聞こえてんだが、他の奴らは聞こえないらしい。
カランカランって音しないか？
試しに皆も聞いてみてくれ。
～music_kimechan01.mp4
73 スーパー寺生まれの岩ブラザーズ
音量を大きくして聞こえる程度だが…確かに何か硬いものがぶつかる音が聞こえるな。
74 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
うーん…、私には何も聞こえませんね。
75 スーパースカーブラザーズ
いやああああああああ！だから！俺は！実況スレ見るの嫌なの！
今後、俺より先に気付いてくれる人の登場まで絶対こういうの手出さない！！
1：15
76 スーパー炎タイプブラザーズ
なるほどな！
延々、カランカラン聞こえて眠くなってきたから途中で切ってしまったが、
もう少し辛抱強く聞かないといけないな。
77 スーパー戦隊レッドブラザーズ
虫の声すら聞こえない静寂の中で妙な音が響く音声ファイルを
ヒーリングミュージックだと思ってるうちの息子、母親の血が強すぎる。
どういうことなんだ、これは、…誰の声だ。
78 スーパー雷△ブラザーズ
音声ファイルってどうやって開くんじゃったか
79 スーパー天狗面ブラザーズ
ボケるには早いぞ。
内容を書き出してやる↓
ずっとカランカランと断続的に乾いた音が鳴り響いている。
1分15秒のところで「どこにいる……」と地を這うような声が入っている。
静寂
1分25秒、録音停止。
80 スーパー雷△ブラザーズ
サンキュー。今度開き方を弟子に聞いておく。
その声は誰を探しておるんじゃろうな。
81 スーパーおはぎブラザーズ
誰かの喋る声なんて聞こえなかったがな。
祭りの神も聞いてないらしい。
82 スーパー祭りの神ブラザーズ
どこにいる、って誰を探してるんだ？俺達と目的は一緒か？
それはそれでまずい気がするが。
83 スーパー鮭大根ブラザーズ
頭上からなｎ
84 スーパー天狗面ブラザーズ
何かあったな。
85 スーパー雷△ブラザーズ
お前の弟子、分かりやすいな。
86 スーパーおはぎブラザーズ
頭上からうめき声が聞こえるから見上げたら、木の枝に髪の毛が絡まった生首が何かブツブツ言ってた。
めちゃくちゃこっち見てんだけど、いつから居たんだ？
～pic_kimechan08.jpg
生首は、木刀で殴ったら消滅した。
鮭大根は呼吸を整えているところだ。
なんで前世鬼の頸切ってたくせにこんなものが怖いんだ？
87 スーパー炎タイプブラザーズ
生首だらけだな、その土地は。
先程道に落ちていたのと違い、蛇っぽさが無い普通の人間の首に見えるというところだろうか。
88 スーパー鮭大根ブラザーズ
鬼は切ったら消えるだろう！跡形もなく！
おばけは切ってもどうにもならないときがあるだろうが！
あと、首だけの状態で喋る物体を普通の人間の首とは言わない。
89 スーパースカーブラザーズ
そうだぞ！物理でどうにか出来ないものは怖いの！わかる？
事後報告だけでいいの！生首の写真撮らなくていいの！！
見る人の気持ち考えて！！
90 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
気付いたことがあるんですが、言ってもいいですか？
91 スーパースカーブラザーズ
やだなにやめてこわい、永遠に気付かないでいて…
92 スーパー鮭大根ブラザーズ
調査が終わってからじゃダメか？今書き込まないとダメな内容か？
93 スーパーおはぎブラザーズ
なんでスカーはちょっとオネェ入ってんだ？
94 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
いいからさっさと書き込め。
95 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
はいはい、分かりました＾＾
鮭大根さんが撮影した、焼却炉の中の遺影の写真をよーーく見てください＾＾
96 スーパー鮭大根ブラザーズ
は…？
97 スーパースカーブラザーズ
やだやだやだ絶対見ない！
誰か俺の代わりに見て、ふんわりと八つ橋に包みまくって説明して！
優しくね！巣から落ちた小鳥を拾うように優しくしてね！！
98 スーパー炎タイプブラザーズ
うーむ、よく分からん。俺はウォーリーを探すのも苦手でな。
99 スーパー祭りの神ブラザーズ
嘘だろ、そんな目力あるのに！？
100 スーパー戦隊レッドブラザーズ
気付いてしまった。
101 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
俺も気付いたぞ。
教えてやったら隣で鮭大根が膝から崩れ落ちた。
もうコイツ、ここに置いていっていいか。
102 スーパーおはぎブラザーズ
さっき俺が消した生首、遺影の中の一人と同じ顔だった。
103 スーパースカーブラザーズ
ああああああああああああ
八つ橋に包んでって言ったじゃん…嘘でしょ、なんでなの、もういやだぁ……
すべての思考を放棄して赤ちゃんになりたい
104 スーパー祭りの神ブラザーズ
頑張れよ、解析部隊だろ。
105 スーパースカーブラザーズ
解析部隊の仕事は探偵じゃないの！
106 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
写真で見る限り一番最初の生首は遺影の中になかった。
もう一度戻って焼却炉の中全部出して見直そうかと思って引き返したが、焼却炉自体無くなっている。
場所はここで合っているはずなんだが。
～pic_kimechan09.jpg
107 スーパー戦隊レッドブラザーズ
どう考えても良くない方法で使用された焼却炉の中に手を突っ込んで遺影を取り出そうと思ったのか。その、……正気かね。
108 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
・一般人スレの燃える刀を持った侍（始まりの呼吸の剣士？）
・スイパラちゃんが見た侍（上記と同一？）
・蛇と鬼の特徴が見られる生首
・焼却炉を使っていたものの存在（地蔵含めて現世に存在する物か？）
・スイパラちゃんを攫った空間の主（上記のどれかと同一？）
・いまみんなが居る空間の主（スイパラちゃんを攫った主と同一か？）
・謎の音と声の主←NEW！
・木の上の生首（遺影の一人）←NEW！
・消えた焼却炉←NEW！
109 スーパー鮭大根ブラザーズ
多い多い多い
なんで少し歩いただけでこんな増えるんだ。
わらしべ長者だってもう少し歩かないと何も得られないというのに。
110 スーパースカーブラザーズ
幣毘村の歴史では出てこないけど、「堋」「遺体」「焼却」「首」で検索したら、
「堋睡（ほうすい）巡行」っていう儀式がヒットした。
ざっくりまとめると、北陸から中部地方に伝わる古代～近世の埋葬儀式で現代では廃れてる。
疫病が流行った年に、感染者を安楽死させて専用の窯で焼き、頭蓋骨を地蔵の下に埋める。
胴体の部分は池や沼などの水辺に沈める。
頭部と胴体、どちらも埋めたり沈める前に、専用の棺に入れて、村の決められたルートを練り歩く。このとき棺を担ぐのは遺族以外が行うのが決まり。
練り歩く時に歌ったり独特のステップがあったりと、後の細かいルールは地方によって違うけど、共通部分は以上。
なぜ首を切断するんだろうな？
そして写真にあったお地蔵さんの数を見ると今更ながらに鳥肌立ってくるの俺だけ？
111 スーパー寺生まれの岩ブラザーズ
なるほど、先程の生首もその被葬者である可能性が高いということか。
112 スーパー保健室の先生ブラザーズ
これは私の勘なのですが、最初の蛇と鬼の特徴を持つ首はその儀式とは関係ないと思います。
木に掛かっていた首は元々人間だったと分かるのですが、最初のものは明らかに違う。
113 スーパー雷△ブラザーズ
それは儂も同意じゃ。
そもそも、首の切断面が違う。
114 スーパー天狗面ブラザーズ
そうだな。木に掛かっていた首の切断面は歪で、素人が躊躇いながら切った感じがあった。
それに比べると、最初の首の切断面はあまりにも綺麗だ。
相当の腕を持つ剣士が斬った、という印象を受けるな。
115 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
ということは、最初の首を斬ったのは燃える刀を持つ侍の怪異ということですか？
116 スーパー戦隊レッドブラザーズ
まだ断定はできないが、現段階ではその線が濃い。
117 スーパー鮭大根ブラザーズ
その儀式で首を切るのは火葬して骨になった後だよな？
まさか、生身の状態で首を切って燃やしたりしないよな……。
118 スーパーおはぎブラザーズ
そういやそうだな。当たり前のように俺も前者だと思っていたが。
119 スーパー蝶々の長女ブラザーズ
どちらにせよ、死後首と胴を離して埋葬するなんて、死者に対して好意的ではないわよね。
復活、祟りを恐れているような…
もしかして、首のない地蔵は「人間界」を指すのかしら。
120 スーパースカーブラザーズ
なるほどね…死者が現世に復活して祟るのを恐れた、みたいな感じか。
補足だけど、燃やす前後どちらで切断するかは、地域によって差があるみたい。
そもそも、幣毘村でそういった儀式が行われていた記録が公式に残ってないから、その地でどうだったかは分からない。
121 スーパーおはぎブラザーズ
幣毘村の記録が禁書扱いになってて閲覧できない可能性もあるよな。
122 スーパー鮭大根ブラザーズ
突き当りまで進んでみた。
沼の中央に小さな祠が建てられている。祠は百葉箱みたいなサイズだ。
～pic_kimechan10.jpg
仄暗い水の底から何か出てきそうだ。
ところどころ蓮の葉が浮かんでいるのも雰囲気抜群でやめて欲しい。
～pic_kimechan11.jpg
123 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
～pic_kimechan12.jpg
124 スーパースカーブラザーズ
え、なに…？なんの画像……？
125 スーパー鮭大根ブラザーズ
スイパラの端末が池の底に沈んでいるのをとろろ昆布が発見した。写真はそれのことだ。
書き込みが途絶えた理由はこれだろうか。
周囲に争った形跡は無い。
126 スーパーおはぎブラザーズ
道中の様子は違っていたが、辿り着いた先はスイパラと同じってことか？
アイツの書き込みでは沼の描写は無いが…
ここに着いてすぐに姿を消してしまったのかもしれねぇ
127 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
祠があったので、神の力を借りられないか感覚を研ぎ澄ませてみたが、気配が微弱過ぎて分からない。
何かに邪魔をされている感覚がする。
蓮をかき分けたが沼の底にはそれしか落ちていなかった。
128 スーパー炎タイプブラザーズ
姿を消したときに端末を沼に落としたのか、スイパラ自身が沼に落ちて端末だけ底に残されたのか。
手掛かりは沼、その周辺にありそうだな。
129 スーパー寺生まれの岩ブラザーズ
祠の気配は微弱か…。
スカーの調べでは、そこは九つの頭を持つ大蛇の伝承があったのだったな。
130 スーパー蝶々の長女ブラザーズ
幣毘村にはどこかにその骨が祀られているとあったわね。
それがその祠ということ？
微弱でも気配があるということは、ちゃんと退治できていなかったのかしら。
それとも神として祀りなおしたとかかな。
131 スーパースカーブラザーズ
殺したのか、封印したのか、祀ったのか…曖昧だよね。
「退治した」としか文献には書かれてないし。
132 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
蛇というのは、化け物であり土地神であり…二面性があるからな。
あと蛇は祟りやすい。ゆえに対処も難しいんだ。
133 スーパー祭りの神ブラザーズ
ほらよ、拾ったぞ、スイパラの端末。
鮭大根の木刀借りて、釘のところにうまく引っ掛けて釣り上げた。
防水仕様になってるし、なんか手掛かりねーかなって電源つけてみた。
データはぶっ飛んでて、これだけ動画ファイルに残ってた。
～video_kimechan01.mp4
134 スーパースカーブラザーズ
動画の内容を。おねがいします。
135 スーパーおはぎブラザーズ
すまん、ちょっとトラブル。俺の端末、音声入力に切り替える。
沼に入ろうとするとろろ昆布を、祭りの神と鮭大根が抑え込んでいる。
136 スーパー戦隊レッドブラザーズ
この映像の内容だと、そうなっても仕方ないな。
137 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
内容は以下に纏めます。
しばらく真っ暗な画面のまま、次に砂嵐のような画面になって、調査メンバーがいる場所と同じ風景が映る。
↓
沼と祠を背にしてスイパラさんがキョロキョロと何か探している。
↓
祠の扉がゆっくりと開いていくが、スイパラさんは気付かず。
↓
扉の隙間から一本の白い腕が這い出てくる。異様な長さに腕が伸びてスイパラさんの足首を掴む。
↓
スイパラさんが沼の方へ引きずられていく途中で画面が砂嵐になって映像が完全に消える。
138 スーパー蝶々の長女ブラザーズ
この腕の伸び方、まるで蛇が這うようにも見えるわね。
139 スーパー炎タイプブラザーズ
あまりの衝撃映像にしばらく固まってしまった。
しかし、足首を掴まれるまでスイパラが気付かないというのも妙だな。
140 スーパー保健室の先生ブラザーズ
スイパラさんは何を探していたのでしょうか。
例の侍か、周囲の探索をしていたのか…。
141 スーパースカーブラザーズ
意を決して動画開いて、腕が伸びたところで画像解析ソフトで祠を拡大してみたよ。
もれなく俺の心の柔らかい部分が死に絶えた。
～pic_kimechan12.jpg
142 スーパーおはぎブラザーズ
祭りの神 ：ちょっと落ち着けって、得体の知れない沼に準備もなく飛び込むつもりか！？
とろろ昆布：うるさい。離せ。***が引きずり込まれたのをお前らも見ただろうが。あの祠をぶっ壊す！
鮭大根 ：…痛い、足。
おはぎ ：祠を壊すにしても準備がいるだろうが。
祭りの神 ：だから派手に落ち着けって！もし下手に祠壊して***のいる空間への繋がりが切れたらどうすんだ！
とろろ昆布：………分かった。お前ら、もういい。離せ。
鮭大根 ：足をどけてくれ。
おはぎ ：はー…、ちょっとは冷静さ戻ったみてぇだ。お、なんか新情報らしいぜぇ。
143 スーパー戦隊レッドブラザーズ
スカー君も肝心の説明が抜けてるぞ…。
祠の中の暗闇からこちらを覗く目と目が合って、思わず湯呑みを倒して机が大惨事だ。
144 スーパー雷△ブラザーズ
とろろ昆布が我に返ったようで良かったのう…
145 スーパー保健室の先生ブラザーズ
この赤い目は、最初の生首と似ていますね。
鬼の目のように見えます。
146 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
また蛇と鬼の特徴ですか。
147 スーパー雷△ブラザーズ
恐らく、その場所は色々な怪異が混じって気が澱み、スイパラが攫われた空間との境界が見つけられにくくなっておる。
まずは、その場にある微小な怪異を散らした方が良い。
148 スーパー祭りの神ブラザーズ
なるほど…ご助言、有り難い。
じゃあ大気の澱みはおはぎに散らせて、沼の澱みは鮭大根に流させる。
149 スーパー鮭大根ブラザーズ
スイパラが引きずられた沼に近寄れと……
150 スーパー天狗面ブラザーズ
しっかりせんか。怖れながら怪異に近づくと呑まれるぞ。
151 スーパー炎タイプブラザーズ
怖がっていると霊が寄ってくるというアレか。
152 スーパー蝶々の長女ブラザーズ
ほら、犬って犬嫌いの人に寄っていくことあるじゃない？
それと同じってことじゃないかしら。
153 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
ええ、本当に……あの毛玉共は……(^言^)
154 スーパー雷△ブラザーズ
獲物と認識されるんじゃろうな。
155 スーパー祭りの神ブラザーズ
その仮説、見事に実証されたぜ。
～pic_kimechan13.jpg
156 スーパー天狗面ブラザーズ
鮭大根……
157 スーパー炎タイプブラザーズ
また生首か。
158 スーパー祭りの神ブラザーズ
蛇と鬼の特徴は無いな。
焼却炉の写真と照らし合わせたら、遺影の一人と顔が一致している。
鮭大根がへっぴり腰で沼に近付いた時に、沈んでたボールが浮かび上がるように沼の中から突然出てきた。
鮭大根は驚きすぎて自分で足を滑らせて転んだだけだ。勝手に驚いて勝手にキレてる。
159 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
転んだ拍子に木刀がスイカ割りみたいにクリーンヒットして生首は消えた。
鮭大根の手から離れた木刀がそのまま沼に沈んだんだが、モーセの十戒みたいに木刀が落ちたところだけ水が割れて奇しくも祠までの道が出来上がった。
こんな腑に落ちないピタゴラスイッチを初めて見た。
～pic_kimechan14.jpg
160 スーパーおはぎブラザーズ
俺も空気中の怪異は流したぜ。
そしたら祠の真上の空間に亀裂が入って、そこから生首が七つ転がり出てきた。
亀裂はもう閉じちまったが、どの首も蛇と鬼の特徴がある。
首は男だったり女だったり、見た目はバラバラだがな。
～pic_kimechan15.jpg
161 スーパー戦隊レッドブラザーズ
祠が別の空間への境界になっているのか。
162 スーパー寺生まれの岩ブラザーズ
最初の一つと合わせるとこれで八つの鬼と蛇の怪異の首が揃ったということか。
九頭竜伝説に沿うなら、あと一つ首がないといけないんだが…
163 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
祠から感じた残滓と、亀裂から転がり出た鬼蛇の首は似た気配だ。
まだ一つ首が残っている状態なのかもしれん。
164 スーパー祭りの神ブラザーズ
とろろ昆布がこれから祠を開けて、俺が再度結界破りの祝詞を上げる。
165 スーパーおはぎブラザーズ
まてなにかくる
166 スーパースカーブラザーズ
どうしたんだ！？
167 スーパー蝶々の長女ブラザーズ
おはぎ君の書き込みから数分経ちましたが、以降の書き込みが誰からもないわね。
168 スーパー寺生まれの岩ブラザーズ
彼らなら大丈夫だと信じたいが。
169 スーパー鮭大根ブラザーズ
すまない。色々あって、書き込みが遅れた。
スイパラは奪還した。スイパラはとろろ昆布に任せて、俺達は逃げた怪異を追っている。
その間、この動画を見ていてくれ。
～video_kimechan02.mp4
170 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
スイパラさんが戻られたんですか！よかった……
皆さんもご無事なようで安心しました。
171 スーパースカーブラザーズ
状況を知りたいけど動画の内容が想像できなくて硬直してる。
172 スーパー蝶々の長女ブラザーズ
そんなことだろうと思って書き留めておいたわ＾＾
祝詞を上げる祭りの神さんと沼底の木刀に気を送り続ける鮭大根君、祠に手を掛けようとするとろろ昆布君が映っている。
↓
何かに気付いたおはぎ君がとろろ昆布君の襟首を掴んで祠から遠ざける。
次の瞬間、祠が横一文字に切断されたように真っ二つに割れる。
↓
裂けた空間から何者かが跳び出して逃走。速すぎて見えない。それを追うおはぎ君。
↓
次にスイパラちゃんが空間から這い出てくるけど、下半身は白い大蛇に呑まれたまま。
ここで立てかけていた端末が落ちたのか映像は地面を映すのみ。
音声から、祭りの神さんと鮭大根君が大蛇ごと空間から引きずり出し、祭りの神さんの日輪刀を奪ってとろろ昆布君が大蛇を斬ってスイパラちゃんを救出した様子。
以上です。
173 スーパー炎タイプブラザーズ
スイパラが戻ってこれて何よりだ。
とろろ昆布、蛇を斬ってしまって大丈夫なのか。
174 スーパースカーブラザーズ
スイパラちゃん戻れて良かった。怪我はしていない？
心の準備が出来たから動画見たんだけど、空間から二つの怪異が出たよね。
逃げた奴と大蛇、どっちがスイパラちゃんを攫ったの？それとも両方？
あと、空間が裂かれた時にちょっと火の粉が見えたんだけど。
火の粉…炎…燃える刀……まさか…怪異は三つ？
175 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
あの、とろろ昆布さんの端末借りてますが、スイパラです！
この度は皆さんに多大なご迷惑をおかけして本当にすみません！！
皆さんのおかげで無事戻れました。
お侍さんと蛇さんが助けてくれたので、怪我などもありません。
176 スーパー戦隊レッドブラザーズ
まずは君が無事で何よりだ。
霊障は無さそうか？侍と蛇とは一体…
177 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
本当に、スイパラさんが無事で安心しました。
178 スーパー蝶々の長女ブラザーズ
無事で良かった。でも無理しないで。
まずは自分のことを優先して、書き込むのは後でも大丈夫だからね。
179 スーパー天狗面ブラザーズ
無事で良かった。
詳しいことはまた落ち着いたら報告して欲しい。
180 スーパー雷△ブラザーズ
戻ってこれたことに安心したぞ。
色々と気になる単語も出ているが…
181 スーパー寺生まれの岩ブラザーズ
怪我も無いようで何よりだ。
182 スーパー保健室の先生ブラザーズ
ご無事で本当に良かった。
現場に医療部隊も向かわせておりますので、じきに合流できると思います。
それと…先程の祠の切れ方、太刀筋…遠い昔に見覚えがあるのですが。
空間を切ったのは侍の怪異でしょうか。
183 スーパーとろろ昆布ブラザーズ
俺だ。まだ全容は分からないが、結界を切ったのはスイパラが最初に追いかけた侍のようだ。
先程斬った大蛇だが、消滅したかと思ったが血溜まりのなかに小さな白い蛇が倒れていた。
今のところ俺にも何の影響も出ていない。
～pic_kimechan16.jpg
聞いたところコイツがスイパラを呑み込むことで最初に跳び出した怪異からスイパラを守っていたらしい。
詳しい事情はこれから彼女に聞くので、また後で報告させてくれ。
184 スーパー戦隊レッドブラザーズ
跳び出して逃げた怪異と侍は別の存在ということで確定だな。
185 スーパーおはぎブラザーズ
俺が追い付いたときにはこの状態だった。
～pic_kimechan17.jpg
186 スーパー鮭大根ブラザーズ
先程おはぎと合流したが、俺にも何が何やら分からない…
俺達が辿り着いたときには、もう何も残っていなかった。
187 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
写真…首のないバラバラの人体が地面に転がっていますが、塵のような消え方が鬼そのものですね。
これ、やったのはおはぎさんじゃないんですよね。
188 スーパー寺生まれの岩ブラザーズ
バラバラになる前の怪異の姿と、斬った者の姿を見ていないのか？
189 スーパーおはぎブラザーズ
いや…凄い速さで逃げられたのと、鬱陶しくて暗視ゴーグル外してたんで「黒い人影」としか認識できてねぇ。
だが頭部は倒される前から無かったように見えた。
俺の前を横切って逃げた時に鬼の気配を感じたから、その気配を辿って追っていただけだ。
そしたら目の前でそいつが突然何かに斬られたようにバラバラになって、駆け付けたら写真の通り、塵になっていってた。
190 スーパー鮭大根ブラザーズ
この斬られ方、ヒノカミ神楽の型に見える。
191 スーパー天狗面ブラザーズ
近くに他の怪異の気配はするか？
192 スーパー祭りの神ブラザーズ
いま周辺を探索してきたが、もう何の気配も残ってない。
193 スーパー鮭大根ブラザーズ
相談した結果、これ以上この闇の中で探索するのは得策ではないと判断した。
第一の目的であるスイパラの奪還を果たしたので、一度帰還する。
山梨支部で一泊して明日戻る。医療部隊とは支部で合流する。
念の為、スイパラととろろ昆布は蝶屋敷でも検査を受けてもらう。
194 スーパー寺生まれの岩ブラザーズ
それが良いだろうな。
スイパラ本人が大丈夫と言っていても、霊障が無いか早く診ておいた方がいい。
195 スーパー蝶々の次女ブラザーズ
大蛇を直接斬ったとろろ昆布さんはもちろんですが、皆さんも蝶屋敷で再検査受けてくださいね。
接触していることに変わりありませんので。
196 スーパースカーブラザーズ
色々と解決されてない謎は残るけど、ひとまずは皆が無事で良かったよ。
197 スーパー戦隊レッドブラザーズ
鬼らしき怪異は消滅し、蛇の怪異は回収するとして。
侍の怪異の気配は消えたようだが、何度か出現する生首の怪異のこともあるし…再度、柱と事後処理部隊とで後始末が必要だろう。
侍の怪異については少しばかり詳しいので俺が行くつもりだ。
198 スーパー天狗面ブラザーズ
そうだな、始まりの剣士については詳しい者に任せたい。
199 スーパー雷△ブラザーズ
よろしく頼んだぞ。
・
・
・
「はい、ここまで。めでたしめでたし～」
そう言って、無一郎は投影機の電源をオフにした。
「え、ここまで！？」と無一郎に視線を向ける炭治郎に、
「いや、めちゃくちゃ中途半端じゃん！めでたし要素あった！？」と叫ぶ善逸。
「結局、桜餅頭を攫った怪異はなんだったんだよ！」と納得のいかない伊之助に、
何から突っ込んでいいか迷って結局黙り込むカナヲ、
大声で騒ぐ同期に「静かにしろよ、お前ら」と止めに入るのは玄弥だった。
「あの大蛇は土地神としての要素も持っていたけど、それを斬った伊黒さんは今もピンピンしてるし、玄弥と善逸も大丈夫だよってことを教えてあげようと思って見せたんだ」
無一郎の淡々とした説明に、他の者は納得がいかないといった風に視線を交差させる。
攫われた蜜璃、現地入りしていたメンバーが今も無事に過ごしているのを知っている彼らは、霊障が残っていないのは承知のことだ。
だが、明かされていない部分について知りたいと思うのは当然だろう。
そんな不満の視線を浴びながら、無一郎は意に介さず笑顔を浮かべた。
「始まりの剣士についての怪異報告は、実は他にも何件かあるんだ。そのどれにも閲覧制限が掛かっている。だから、これ以上は皆が柱になってから自分で確かめるといいよ」
「分かった。でもこれだけ聞いてもいい？……無一郎君は、その剣士の末裔なの？」
炭治郎は躊躇いがちに尋ねた。
むかし、無一郎の鴉からそう聞いた。
記憶で会った、かの剣士とも容姿が似ていると思う。
だが、記憶の中で縁壱さんは言った。大切な妻と胎児を鬼に殺された、と。
無一郎は一瞬無表情になったが、すぐに困ったような笑みを浮かべ溜息を吐く。
「今の僕がどうかは分からない。けど、大正の頃…僕は日の呼吸の剣士の末裔ではなかった」
そうして炭治郎から玄弥に視線を移すと、何かを言いかけて、だが無一郎はそれ以上何も言わなかった。
感覚の優れた彼らは、それぞれの得た情報から無一郎にそれ以上聞くことは出来ないと感じた。
蝶屋敷を後にした炭治郎、善逸、伊之助、玄弥は先程のスレから、色々な感想を言い合っていた。
今では泰然自若とした義勇が、昔は善逸のような言動だったことに幾人かは笑ったり、
鬼の気配にいち早く動いた実弥を、「アイツはやる奴だぜ」と称賛する伊之助に、同意する玄弥、
「宇髄さんは昔から冷静で頼りになるんだぁ」と感想を漏らす炭治郎と、
「それよりあの二人は結局デキてんの？そうじゃないの？」と頭を抱える善逸の姿が夕日に照らされる。
善逸は小芭内の姿を脳裏に浮かべ、何かに気付いたように足を止めた。
それに気づいて、炭治郎達も足を止めて振り返る。
「善逸？どうしたんだ」
「あ、あのさ………伊黒先生の首にいる蛇……」
「蛇？それがどうかしたのか」
小芭内の首元に巻き付いた白い蛇――それは、大正の頃より見慣れたもので何の違和感も無かった。だから気付こうともしなかった。
違和感はあった。
小芭内の話題が同級生の間で出た時、ふと善逸は蛇のことに触れたのだ。
だが、鬼殺隊関係者ではない一般の感覚を持つ生徒達は揃ってこう言っていた。
『伊黒先生の首に蛇？いや、ないない。お前なんか幻覚見てんじゃね？』
つまり、感知能力を持つ者でないと見えないあの白い蛇は―――
「あの蛇って、まさか…あの事件で残った蛇なんじゃない！？」
善逸の叫びに三人は顔を見合わせて、少しの間沈黙する。
「「「あーーーーー！！！？？？」」」
「ねえ、本当に俺は大丈夫なわけーーーー！！！？？？？」
住宅街であることも忘れて、四人の男子高校生の悲鳴が響き渡った。
【幣毘村での神隠しと剣士の思念体報告 事後報告者：煉獄槇寿郎】
〇経緯：
先述の2件の実況スレッド後、隠と共に事後処理、再調査を行う。
〇判明事項：
甘露寺蜜璃は九頭竜伝説に残る大蛇による神隠しに遭った。
この大蛇は自然災害を象徴するものとして、化け物と土地神双方の性質を持つ。
室町時代に封印され、逆鱗と頭蓋部分が現世に残り祠に祀られていた。
以降、時代や方法は不明だが逆鱗を取り込んだ鬼と融合し、鬼と蛇の特徴を持った怪異が生まれる（以降、鬼蛇と仮称）
このとき融合せずに残されていた頭蓋が、甘露寺の恋の気に反応して微弱な力ながらも土地神として復活する。
継国縁壱の思念体が鬼蛇の首を狩りにこの土地に出現したことも目覚めるきっかけになったものと考えられる。
祠から感じた気配について、伊黒小芭内は「甘露寺を取り込むつもりで神隠しを行った」と述べるが、
甘露寺の証言によると、「神域に招かれたがそれ以上取り込まれることはなく、鬼蛇から守る為に大蛇の腹の中に収められた」とのこと。
恋の気については甘露寺特有のものであり、その特性については完全に把握されていないが、意思のある怪異についてある程度の守護を得られるものと思われる。
伊黒小芭内に斬られたことで蛇の気による浄化が成され、消滅しかけていた大蛇は神の幼体として新しく再生する。
また甘露寺の体についた大蛇の印は本人の希望で禊がず、残されることとなった。
大蛇の幼体については伊黒の監視下にて保護することが決定する。
裏神祇事務局からの回答では、幣毘村に堋睡巡行がされた事実はあったが他の事例よりも陰惨な方法であったために現在は全ての情報を閲覧禁止としているとのこと。
＞政府特殊機関「裏神祇事務局」との通信記録 137番参照
沼に沈められた遺体を取り込むことで鬼蛇は力を取り戻していたが、堋睡巡行が廃れたことで糧を得られず沼より姿を現すようになった。
しかし、継国縁壱の思念体により一度頸を切断されてからは警戒し、地蔵下に土葬された頭蓋骨を喰らっていた。
実地調査で出現した人間の首の怪奇現象については、被葬者の無念の訴えによる出現だと思われる。
継国縁壱の思念体のその後の発現は見られず。
水滌村での目撃情報（鬼殺隊活動誌Code：003参照）と同様、鬼に関する怪異が発現条件かと思われる。
幣毘村にて実害のあった怪異の消滅を確認、ここにて調査を終了する旨を記す。
｜
｜
｜
無一郎は閲覧していたページを閉じると小さく溜息を零し、窓の外を見た。
夕日に赤く照らされた庭が浅葱色の瞳に映り、蝋燭の灯りのように朱色に揺らめく。
―――僕は、鬼に堕ちた剣士の末裔なんだ。
誰にも言えない言葉が喉の奥で絡まる。
魂だけになっても鬼を狩り続ける始まりの剣士の末裔などではない。
そもそも、なぜ始まりの剣士の末裔だなどと信じられてきたのか無一郎自身知らないでいる。
鼓動を続ける己の心臓に手を当て、無一郎は虚空を睨む。
この血が何で出来ているか、そんなことは関係ない。
俺は、俺の為すべきを為すだけだ。
鬼だろうと怪異だろうと、僕の大切な人達を傷付ける可能性のあるものは全て滅殺する。
伊黒は血だまりの中でぐったりと横たわる小さな蛇を両手で拾い上げた。
その掌に馴染んだ感触に、かつての友の姿を脳裏に浮かべ小さく首を横に振る。
違う。これは鏑丸ではない。甘露寺を隠そうとした憎むべき怪異だ。
「あの、伊黒さん……」
伊黒の背に呼びかける甘露寺の声に振り返ると、彼女の白い首筋に目が釘付けになった。
「か、甘露寺…それは……」
「え？あれ、どうしたのかしら…鱗？」
甘露寺の首筋には、半透明に透ける白い一枚の鱗が肌と同化していた。
神の所有印―――神威性の怪異が己が眷属や贄に対し自分の一部を移し、その力を分け与えた印だった。
甘露寺の清らかな体に得体の知れないモノが印を刻んだ。
伊黒は怒りからくる汗を垂らし、掌の蛇に対し強烈な殺気を放った。
上の判断など待たず、こいつをこのまま握り潰してやろうか。
伊黒の殺気を感じ取り、蛇は意識を取り戻すと怯えたように鎌首をもたげ伊黒を見つめる。
「伊黒さん、待って！」
甘露寺はそう叫ぶと、伊黒の手首を握りその次の行動を制した。
「やめて…その蛇さんは私を助けてくれたのよ」
「…………甘露寺、お前がそう感じてもこいつはお前を攫おうとした。それは事実だ」
「でも、助けてくれたわ」
強い視線を受けて伊黒は困ったように眉尻を下げる。
強い意思を宿した彼女の瞳が好きだった。
むかし、伊黒小芭内は甘露寺蜜璃のことが大好きだった。
一目惚れだった。
こんなに可愛らしく美しく愛らしい存在がこの世に存在していることが伊黒にとっては奇跡だった。
だからこそ、汚れた己が触れていい存在ではないと想いを伝えることを己に禁じていた。
生まれ変わって、鬼のいない平和な世界で、もう一度出逢えることがあるのなら――そのときは。
そう思って、そんな夢みたいなことは起きないと思って、しかしてその奇跡の恩恵を受けた時、
自分は怪異に関わる危険な任務を負っていて、甘露寺はきっとそのことを知れば同じ世界に足を踏み入れるだろうと分かった。
無理を承知でお館様に頭を下げ、何度も嘆願した。
どうか、甘露寺を勧誘しないで欲しい。甘露寺の分も、俺が鬼殺隊として任務に当たるからと。
あの頃に比べ価値観の多様性が尊ばれるようになったこの世界でなら、甘露寺をありのまま愛する男など山程いるだろう。
無理にこんな世の裏の部分を知らなくてもいい。
だから、前世の俺に詫びた。
情けなくて、すまない。願いを果たせず、すまない。
それでも俺は甘露寺の幸せを何よりも願うから―――甘露寺からは距離を置く。
キメツ学園中等部に入学し、俺達との再会を涙して喜んでくれた甘露寺と改めて言葉を交わし、そうして気付かれないように徐々に彼女を避けるようにした。
自分と関わらなければ、気づかれる可能性も減ると信じて。
だがその想いもむなしく、甘露寺は怪異の存在に気付き自分から鬼殺隊の一員となることを望んだ。
そのことを告げたお館様は俺の頭を撫で、こう仰った。
『守れないことを恐れてはいけないよ』
守りたかった。
何よりも大切な君を。
それなのに、どうして目の前の甘露寺は泣いているのだろう。
悔しそうに、悲しそうに。
「聞いて、伊黒さん。……私にとって蛇はね、いつだって私を守ってくれた存在なの」
己を逃がすまいと、手首を掴む力が少し増すのを感じた。
「『蛇』さんは、いつだって優しくて、身近で、大切な存在なの…むかしから、ずっと」
「甘露寺……」
「だから、お願い。殺さないで…」
「………」
「お願い、だから、…もう、……私から離れようとしないでよぉ……」
「かん、ろ」
甘露寺に縋るように抱き締められ、伊黒はそれ以上言葉を継げなかった。
突然のことに身を固くし、その掌から零れた蛇は宙で身をひねり伊黒の肩に着地すると、くるりとその身を首に巻き付かせた。
だが、伊黒はそんなことには構っていられなかった。
混乱に頭は真っ白になっているのに、全身が心臓になったかのように耳の奥まで痛いほど鼓動が響いている。
「避けられてるって、気づけない私じゃないわ。伊黒さんがいつも私を守ろうとしてくれていること、分かってた。でも、私にも伊黒さんを守らせてよ！」
肩口が彼女の涙で熱く濡れる。
『守れないことを恐れてはいけないよ』
ああ、そうだったのですね。
守りたいのは俺だけじゃなかった。
「甘露寺、すまない」
伊黒は己の手を宙に浮かせたまま、彼女の体に触れられずにいた。
「俺は本当に弱くて、情けない。君の隣に立つ資格のない男なんだ」
「………」
伊黒の零した言葉に甘露寺はゆっくりと体を離し、涙に塗れた瞳でまっすぐに見つめる。
「そんなことないわ。伊黒さんは優しくて、強くて、いつだって素敵な男性よ」
そう告げ、一度己の瞳を袖で拭うと、甘露寺は静かに微笑んだ。
「あのね、むかし―――甘露寺蜜璃は、伊黒小芭内さんに恋をしていました」
その言葉を正面から受け、伊黒は何を言われたのかすぐに理解することは出来なかった。
出来なかったというのに、その瞳からはぽたぽたと透明な雫が零れ落ちる。
報われた、と思った。
俺の恋は報われた。
もうこれ以上、望むものなどない。
そう思った。
涙で滲む視界に映る甘露寺は、次の言葉を言うのに顔を赤くし、もじもじと戸惑いを見せる。
「生まれ変わった私は、伊黒さんに逢えて、また恋をしたの」
意を決したように真っ赤な顔で想いを告げるその姿に、
「でも、惚れっぽい私の一目惚れなんて、信じられないでしょう」
取り繕うように両手を振って顔面から汗を噴き出すその姿に、
「だからね！私が成人した時、もう一度告白させてね！それまでは、あの…また、私と」
止まらない汗に慌てて泣きそうなほど顔をさらに赤くさせるその姿に、
「一緒にご飯を食べてください！！」
そう叫んで握手を求め右手を差し出すその姿に、
―――俺は、何度も恋をするのだ。
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