2020年02月26日 (水)長野県 辰野町
春の訪れを告げる福寿草が見頃を迎えていました
今回の「たび自慢」は、中央アルプスと南アルプスに囲まれた
長野県中部に位置する人口2万の辰野町(たつのまち)です
かわいらしい黄色い花が、町の至る所で咲き誇っていました
辰野町には、諏訪湖から静岡県へとつながる
天竜川が流れています
長野放送局の小田翔子ディレクターが紹介しているのは
その川沿いに人工的に造られた水路。
列をなすように水路が設置されていますが
はてさて何のための水路なのか・・・
少し高いところから全体を望むと~
まるでナスカの地上絵のように張り巡らされています
この水路、一直線に伸ばすと全長3キロにも及ぶそうです
実はホタルが暮らすための水路なんです
もともと天竜川一帯はホタルの名所でしたが
水質悪化によりホタルが減少し、危機感を募らせた
地元住民が47年前から人工水路を造り
「ほたる童謡公園」として
ホタルが暮らしやすい環境作りを進めてきたんです
毎年6月には「ほたる祭り」が開かれ
多いときには2万匹のホタルが乱舞するそうですよ
そのホタルを見に、人口2万の町に10万人を越える
観光客が訪れるそうで、町一番のイベントなんだそうです
町の取り組みは水路作りだけではありません
「ホタル飼育研究室」を設置して
ホタルを増やす努力が日々行われています
研究室を1人で切り盛りするのが
辰野町役場観光係の堀内久史さんです
幼い頃からホタルを見て育ち
6年前から「ほたる祭り」のガイドもされきたそうです
たくさんの水槽で育てているのは~
ホタルの餌となるカワニナです
辰野町では、水路で水質を管理するだけでなく
ホタルの餌も養殖し水路に放流することで
ホタルを保護しているんです
カワニナは、町に自生する朴葉(ほうば)を
餌にして育てています
長さ30センチはあろうかという大きな朴葉を与えると
カワニナはきれいに葉脈だけ残して食べきります
こちらは研究室のカワニナを食べて育ったホタルの幼虫
現在はホタルも養殖できないかと研究中で
川から土に上がってサナギになる過程を
研究室で実践しようとしているんです
ホタルという地元の宝を守ろうとする努力には
頭が下がります
実は、こうした辰野の本来の自然を取り戻す取り組みは
ホタルだけではないんです
冒頭でご紹介した辰野町の花「福寿草」も
地元の方々の努力によって守られているんんです
地元の方の話によると、福寿草は家の裏の土手や
あぜ道などでひっそりと咲く花だそうです
原因ははっきりしませんが
自然環境の変化でこの福寿草も徐々に減ってきたそうです
福寿草の群生が見られる場所として有名な沢底地区で
福寿草を守る活動をしている有賀(あるが)茂人さんです
有賀さんは、今年で18回目を迎える「福寿草まつり」を
企画する実行委員として
地区の皆さんと協力し福寿草を植えたり
散策ルートをつくったりしています
有賀さんの自慢は
「永正二年(1504~1521年)」と彫られた
沢底地区に残る道祖神の石碑
日本最古の道祖神という説もあり
楚々と咲く福寿草と合わせて見に来て欲しいそうです
2月29日に開かれる「福寿草まつり」では
地元の皆さんで作った「凍り餅」も振る舞われます
お餅を外に干して、自然の力で冷凍と解凍を繰り返し
乾燥させて作る昔ながらの保存食です
辰野町は、時代の変化と共に薄れゆく
自然や文化を今も味わうことがでる場所です
福寿草は3月上旬まで観賞できるので
ぜひ辰野町で本来の日本の風景をご覧下さい!
投稿者:小田切アナ | 投稿時間:09:43 | 固定リンク