第1話 オナチュウな2人
こういう物語が大好きな人がいるかもしれないし、アレルギー反応を示す人もいるかもしれない。
でも、とりあえず読もうとしてくれたことに感謝します。
感謝の正拳突き!
『オナニー』
①性交ではなく、自分の手や器具などを用いて自らの性器を刺激し、性的快感を得る行為。
➁自己満足と自己陶酔を兼ね備えた発言。
マスターベーション、自慰ともいう。(Wikipediaより抜粋)
「抜粋」って単語、エロくない?
だって、言い換えたら「抜き出し」ってことだろ?「ヌキ出し」とかエロすぎない?
俺、
緊張感が足りないという自覚はある。だが、入学式なんてものはすでに小・中学校で経験済みなのだ。そこに何かしらの感情を抱けと言われても、無事に高校に入学できてよかったなぁという安堵しか湧いてこない。
「ねえ志虎流、暇じゃない?」
そして、緊張できないのは、さっきから小声で何度も話しかけてくるコイツのせいでもある。
「
「そう言いながら志虎流もずいぶんと喋ってるけどね」
「俺は将来ハゲるからいいんだ」
「ラノベの主人公の方じゃないんだ・・・」
前を向きながら口をほとんど動かさずに喋るという器用なことをやっているコイツの名前は
椿介とは住んでいた家が近く、中学1年生のときまでは同じ学校に通っていたのでよく一緒に遊んでやったりしたが、その翌年からは俺が転校したので疎遠になっていた。
しかしどういう腐れ縁か、こうしてまた同じ高校に入学していたのだ。おまけにクラスは一緒になり、五十音順で苗字が近いこともあって席は隣同士。
まあだからと言って別に嬉しいとかそういうのは無い。ただ知り合いがいてよかった、という程度だ。ほ、本当なんだからねっ!
「それにしても、こうして小声で喋ってても意外とバレないもんだね」
「実はバレてるけど入学式だから見逃してくれてる、とかかもしれないだろ。本当に誰かに気付かれる前に黙っといた方がいいぞ」
俺がそう言うと、椿介は言う通りに口を閉じた。
なんだ、黙っちゃうのかよ・・・露出プレイっぽくて面白かったのに・・・
しかし、長く感じた入学式も残すところあとわずかで、新入生代表のあいさつを済ませてから校歌やらを歌って終わり。これくらいならオナ禁3日目の俺でも我慢できる時間だ。・・・いやごめん嘘だわ。そもそもオナニーを3日も我慢するなんてことが無理。
「新入生代表、
「はい」
――そんな馬鹿な考えに気を取られていたせいで、この時の俺は司会進行役の女子生徒の声が耳に入っていなかったのだ。まあ、たとえそれを聞き逃さなかったとしても、俺にできることなんてなかったわけだが。
「ねえ志虎流」
「なんだよ。黙っとけって言ったろ」
「あの新入生代表の子、ものすごくカワイイっていうか、美人じゃない?」
「あ?そんなのどうでも――」
まったく興味が無いというふりをしながらさりげなく椿介の視線の先に目を向けた俺は、壇上に向かって颯爽と歩くその女の姿に瞠目していた。それは単にその女がものすごく美人だったから気を引かれたわけではなく、そいつが俺にとって因縁深い存在だったからだ。
凛と伸ばした背筋からは気品が漂い、長い黒髪が揺れるたびに見る者すべての視線を釘付けにしているその女。アニメとかでよくある『美人すぎて周りがざわざわする』ような感じではなく、誰もが口を半開きにして見惚れてしまう清らかな美しさを身に纏っている。エロ漫画だったらDQNに弱みを握られて嫌々言うことに従う生徒会長ポジションだろう。ちなみに、最初は嫌々だったのがだんだん気持ちよくなってしまい最後には快楽堕ちするところまでがデフォ。
間違いない。俺はあの女を、緒浪 育をよく知っている。それも、うんと悪い意味で。
壇上に立ったその女は洗練された身のこなしで礼をし、すらすらと時候の挨拶を述べていく。
「綺麗な声だなぁ~」
「・・・無駄に、な」
そう、ヤツは無駄に美しい。わざとらしいまでに周囲の眼をあざむく。・・・露出プレイとか上手そう。
挨拶を終えると、ヤツは再び周りの眼を奪いながら自分の席に戻っていく。俺の方に気付いた様子はない。
俺と椿介は1組だから一番前の列に座っているが、ちらりと後ろを見るとヤツは前から3番目の列の席に着いた。つまりヤツは3組に所属しているということだ。
「校歌斉唱。全校生徒、教職員、起立」
司会役の女子生徒の声に合わせて立ちあがりながら、これからヤツにどう接していくかを考えていた。正確には、ヤツと関わりを持つか否かが重要だった。
なぜならヤツは俺の“秘密”を知っているからだ。
ヤツを放置している間に“秘密”をバラされたら困るし、かと言ってこちらから積極的に関わっていくと周りに興味を持たれかねない。
なにせヤツは目立つ。ことは慎重に運ぶべきだった。
事前に渡されていた校歌の歌詞が書かれた紙を見て校歌を口パクしながら考える。
才女ぶっているヤツは、きっと今も優等生面を崩さずに上手に校歌を口パクしているだろう。まったく、とんでもない悪女だ。校歌を口パクなんて信じられない!
・・・どうでもいいけど、『口パク』って言われたら一瞬フェラのことかと思うよな。
入学式が終わりそれぞれの新しいクラスで諸連絡を伝えられた1年生は、昼前に早くも帰りの準備をしていた。
入学したばかりにも関わらず明日から早速テストがあるらしく、クラスの雰囲気はそれほど浮かれてはおらず、騒ぎ出すバカもいない。
そんな中、他のクラスメイトより一足早く帰り支度を済ませた俺は、駆け足で教室から出ていこうとしていた。
「あ、志虎流。よかったら一緒に帰・・・」
「無理」
椿介には申し訳ないが、今日はやるべきことがある。放置プレイだと思って我慢してほしい。
そのやるべきこととは、ヤツに、緒浪 育に接触し、俺の秘密を言わせないようにすることだ。
早足で2つ隣の教室まで行くが、3組の教室で駄弁る連中の中にはすでにヤツの姿は無いのを確認し、すぐに下駄箱へ向かう。
クソッ、忌々しいクラス担任の女教師め!ホームルームの時間を15分も延長するとか考えられるか!?ヤツが帰ってしまっていたらどうするつもりだ!1組の担任教師が女性だと知った時に「おっしゃ!いろいろと捗るな!」とか考えていた自分を殴りたい!
階段で1階まで駆け降りて3組の生徒の下駄箱の前まで来るが、その下駄箱には名前が記されておらず、どこにヤツの靴が入っているのか分からなかった。最近流行りの個人情報保護だか何だか知らんが、下駄箱に利用者の名前くらい書いてもいいだろうに。
あーあ、終わりだ。まあヤツに接触するのは明日でもいいか。
気が抜けたらなんだかおしっこに行きたくなってきた。しかし入学したてだからトイレの場所が分からない。
近くにトイレは見当たらないし、トイレを探してまた校内を歩き回らないといけないのか・・・はやく帰ってシコって寝たい・・・
・・・待てよ?
もしかしたら、ヤツの居場所が分かったかもしれない。
「卒業式」って単語、とてもエロいと思わない?
なんだか背徳感を感じるし、「卒業」じゃなくて「卒業式」なのも、具体的な行為を連想させる点がグッド。人生に一度しかないという切なさも併せ持った、まさにエロスの究極系ね。
それに引き換え、「入学式」は駄目。「入棒式」とか「乳房式」ならまだしも、「入学式」をエロいと感じることは流石に無理よ。
私、緒浪 育はそんなことを考えながらトイレの鏡の前で手を洗い終えた。
今日1日、入学式という私の才媛っぷりをアピールするだけの行事で時間を無駄にしたせいで少しイラッとしていたが、トイレでようやくスッキリできて満足だ。きっと今の私は、鏡に映るこの美少女のようにとても爽やかな顔をしていることだろう。それにしてもこんな美少女がこの世にいるなんて・・・あれっ、これってもしかして私の顔!?私ったら自分のことを世界一の美少女だと思ってしまうなんて・・・うふふ!
ハンカチで手を拭き、鏡の前で「宇宙一かわいい私」のポーズを決めてから、廊下に置いておいたカバンを取りにいく。
さて、スッキリしたことだし、帰りますか。・・・あれ?
無い。私のカバンが、無い。
まさか私のあまりの可愛さに一目惚れしてしまった男子に盗まれた?まったく、可愛すぎるっていうのも罪ね。
・・・いや、嘘でしょ?
周りをもう一度確認するが、カバンは見当たらない。
よし、一旦落ち着こう。素数を数えよう。
ウスターソース、トマトソース、ベシャメルソース・・・って素数じゃなくてソースやないかーい!
・・・落ち着こう。
どこかに置いてきた?もしかしたら教室に置いたままかも。でも本当に盗まれていたとしたら?そんな変態に目をつけられるなんて・・・入学して早々にこんな・・・
その時、泣きそうになっている私の背中に、声をかけてくる男がいた。
「お、もう終わってたのか。女のトイレは長いからって油断してたわ」
焦る私の後ろから聞こえてきたのは、焦燥とはまるで正反対の呑気な声。
振り返ると、そこには私の『大親友』、小谷 志虎流が立っていた。
どうもーーーーーー瓢箪でーーーーーす。
アンタはここまで読んでくれたんだ、堅苦しいのは抜きにしようぜ。
いや、ヌキにしようぜ。
ふぅ、やっぱこれくらい頭の悪い文章を書いてる方が気持ちいいわ。無理に難しくしようとすると疲れるね。
というわけで、第一話でした。良かったら次の話も読んでください。
分からなかったネタとかあったら感想欄で聞いてくれれば答えます。
以上、僕の公開オナニーに付き合ってくれてありがとうございました!
・・・ていうかこれ、運営に消されたりしないよね?