「ジャパン・パラドックス」欧米が日本のコロナ対策を奇跡と呼ぶ理由

死亡率が圧倒的に低い
歳川 隆雄 プロフィール

超過密の東京首都圏で

ウイルス封じ込めにそれなりに成功していると言いたいのではない。ただ日本は、実は人口1000人当たりの医療病床数は13.1と世界第1位でもあるのだ。因みにイタリア、スペイン、そして米国も軒並み3~2である(OECD統計)。そして3月に入ってからコロナウイルス感染重症患者の増加は1日当たり平均1.4人(死者数1.5人)であることからも、感染者を治療する医療システム能力の範囲内であり、治療を必要とする患者に必要なケアを提供できることを意味する。

要は、医療崩壊の瀬戸際に立つ米ニューヨーク州のように10万人当たりの死亡率が1.39%と全米平均の0.32%を遥かに上回っている現状でも分かるように、超過密の東京首都圏で感染経路不明の感染者増加を阻止することが最重要なイシューということだ。

7月5日の東京都知事選を前に、これまで安倍自民党と小池都政の間で燻り続けてきた対立がコロナ危機を機に一応の解消をみた現在、感染収束に向けて安倍首相と小池知事がタッグを組み、コロナ封じ込めに臨んでもらいたい。

 

前回で指摘した「安倍首相が抱く野心」とは、その後の一部報道にあったように「年末から来年初頭の衆院解散・総選挙」を指す。もちろん、今夏頃までに「終息宣言」を行うことができるというのが前提である。

尚、本稿執筆に当たって在米アナリストの斎藤ジン氏作成のデータを基にしたことをお断りしておく。