cakes読者のみなさま、こんにちは。
老若男女、世界中でマイルド缶詰状態が続いてます。仕事場も兼ねている我が家には、元気満タン、行くとこナッシングな小学生が1名、常に待機してます。うちもうちも、そんな声が聞こえてきます。お互いに踏ん張りどきですな。これを乗り越えたら、晴れてワイワイ飲みに行こうじゃないですか!
休校要請のあの日以来、取材で外に出る日以外は朝昼晩食事を作るのが日常になりました。ずっと家にいるとキッチンも近くなる。冷蔵庫の状況も、メイクポーチの中身並みにビビッドに意識できるようになってきました。あと少しでアイライン買い替え、みたいな感じで、あと少しで生姜終わるな、みたいな。死にそうな野菜、激減です。身元不明の冷凍素材、対処しました。ついでに中も拭いたりして。いま現在、冷蔵庫内の視界はかなり良好。これはいいこと。
とはいえ、家での仕事はサクサク進みません。原稿書いてると、突然子どもに「ねえこれ笑えるんですけど」と流行りの漫画(鬼滅の刃、キメツノヤイバと読みます、念のため)のネタを持ち掛けられます。しかも何度も。あのー、お母さんは友達じゃないんですけど。きっぱりと無視もできず、おー、とか、へー、とか言って流すことに罪悪感を感じなくなってきました。頼む、早く学校はじまってくれい。
話を料理に戻します。この状況だと、環境は違えど必要に迫られて自炊にチャレンジしている人も多いはず。これ、決して損な経験じゃない。や、むしろいい機会だと思います。買って済ませず、作って食べることの大変さと面白さを実感するのも、生きものとしては悪くない。
料理できなくったって、コンビニがあるから別に大丈夫。そんなセリフはいまどき珍しくないんだろうけど、んなわけない。食事って、そもそも釣ってきた魚や仕留めた獣肉を焼いたりするところから始まっているわけで、もともと自分でなんとかするもの。昔からコンビニに売ってたもんじゃない。そういうことに気が付けると、この状況も意義がある。料理は趣味や喜び以前に、人間がひとりで生きていく術だから。結構マジです。
格段に便利になった現代の調理道具で、野菜茹でたり肉焼いたり、米炊いたりできるようになることは、生きものとして逞しくなるということ。で、その料理をさらに自分の好きな味にできるようになれば、それは仕方なくすることの範疇を超え、自分の喜びになる。誰のコメントにもいいねにも左右されない、自分自身が実感できる確かな喜びです。だから、料理はできた方が人生豊かになる。そう思います。
特殊な環境で内省する時間が増えたせいか、思いがけず話が長くなりましたが、3月のポルトガル食堂は特別編、子ども喜ぶシリーズ。もちろん、大人が喜びつつ子どもも喜ぶ味ですので、ちゃんとおつまみ対応しています。
今回は春を蒸します。ふんわりやわらかい歯触り、やさしい甘みの春キャベツと、身がふっくらしたあさりを軽く蒸し、ミルクの風味とレモンの酸味で仕上げます。新キャベツの甘味とあさりのコハク酸だけでも十分いいだしですが、もしスーパーでマッシュルームを見つけたらせひ加えて欲しい。マッシュルームのグルタミン酸も加わると、おおと思わずつぶやきたくなるような、深いうまみのスープができます。このままいただくのはもちろん、パスタにしてもいい。あるいはご飯にかけたり、ご飯を加えて軽く煮て、リゾット風もありです。とにかくこれは、スープがごちそう。
今回のレシピも、広尾のビストロ「Yoshida house」の吉田佑真シェフに教わったものがヒントです。吉田シェフのレシピはあさりではなくはまぐりを使い、牛乳ではなく生クリーム、さらに香りづけにヴェルモットやフレッシュハーブ類もプラスされて、香りが夢のように豊か。ちょうど今、旬のおすすめとしてオンメニューしている頃ですから、外出自粛が解禁になったらぜひ食べて欲しい。のけぞります。吉田シェフの本格レシピは、最近はじめた(といってもまだ1本しか書いてないけど)noteで詳しくご紹介しようと思います。
ご紹介する簡単アレンジでは、生クリームの代わりに牛乳を使いました。マイルドにまとめつつ、仕上げにレモンを絞って酸味を加えます。これ、大事なアクセント。あと引く味になります。
では、パパッと作っていきましょう。
Menu do dia 本日のメニュー
材料(2人前)
あさり(砂抜き済み) 200g
春キャベツ 2~3枚
玉ねぎ 1/8個
マッシュルーム 1パック(7~8個)
酒 大さじ4
牛乳 1/2カップ
レモン汁 1/4個分
オリーブオイル 大さじ1
塩 適量
つくり方
あさりは流水にあて、両手でやさしくこすり合わせながら表面の汚れを取る。マッシュルームは薄切りする。玉ねぎはみじん切りする。春キャベツは大きめにざく切りし、軽く塩をふってラップをかけ、電子レンジで30秒ほど加熱するか、さっと塩茹でする。
フライパンにオリーブオイルを入れ、玉ねぎ、あさり、マッシュルーム、酒を加え、蓋をして中火にかける。
あさりの口が半分ぐらい開いたら火を止め、蓋をしたまま余熱で蒸らし、あさりをすべて開かせる。こうすれば身が硬くならない。さらに牛乳を加え、再び弱火で温める。ここは強火厳禁。一気に沸かすと牛乳のたんぱく質が固まってモロモロになるので、あくまで弱火で温めるイメージ。
温まったら味をみて必要なら塩で調え、春キャベツとバターを入れ、軽く混ぜながら弱火で温める。あさりの塩分はまちまちなので、味は必ず確認する。
具材が温まったら器に盛り、仕上げにレモンを絞って完成。レモンのきりっとした酸味は大事なアクセントなので、忘れずに。
さて、何を合わせるか。これはもう、ふくらみのある白でしょう。ポルトガルびいきとしては、アルヴァリーニョ100%のボディがしっかりしたヴィーニョヴェルデを合わせたいところです。春を感じる皿で、ああ、飲みたい!
それでは、うまみたっぷりの春キャベツ&あさり蒸しと白ワインで、良い週末を!