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【社会】

<新型コロナ>差別は感染防止の敵 医療関係者ら被害 行動歴調査に悪影響

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、閑散とする大阪市内のライブハウス

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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、感染者の周辺の人たちが、タクシーの乗車拒否など差別的な扱いを受ける事例が相次いだ。専門家は「重大な人権侵害であるだけでなく、行動歴を話してくれなくなれば集団感染の発生が検知できなくなり、感染爆発のリスクが高まる」と警鐘を鳴らしている。

 医師と看護師の感染が確認された兵庫県小野市の北播磨総合医療センターでは、感染者と接触していない職員や患者、家族らから「ばい菌扱いされた」「勤務先から出勤停止と言われた」などの訴えが相次いだ。ライブハウスでクラスター(感染者の集団)が発生した大阪市では、別の店舗の経営者から「感染リスクが高い『危ない場所』との風評被害が出ている」との声が上がる。

 東海大の金谷(かなたに)泰宏教授(公衆衛生学)は「このままでは、感染者が立ち寄り先などに迷惑が掛かると感じ、保健所の行動歴聞き取りに正確な情報を話しにくくなる恐れがある」と指摘。差別的な扱いへの罰則も検討し行政が強いメッセージを打ち出すべきだとする。

 大阪市ではライブハウスが店名公表に同意したことで、全国に散ったイベント参加者に注意喚起できた。金谷教授は「称賛されるべきだ。これがなければ複数府県にわたるクラスターを突き止められなかった」と話す。

 国の専門家会議も十九日の提言で「偏見や差別につながるような行為は、断じて許されない」と訴えた。その上で行動歴の調査や、集団感染が発生した事業所の公表に対する協力を呼び掛けた。

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