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今井氏と佐川氏の関係は?

 今井氏と佐川氏とは「省庁間を超えて親しい」(前出・財務省関係者)という82年入省組の同期。佐川氏をよく知る牧野力元通産省事務次官も「今井とは仲は良いはず」と証言する。

「森友問題は昭恵夫人がらみの問題のため、首相の答弁は、政務担当の今井秘書官が最終責任者となります。佐川氏は『価格交渉はしていない』と強弁していましたが、首相答弁と理財局の答弁が齟齬を来たさないよう、同期の2人がすり合わせたり、連絡を取り合ったことはなかったのか。佐川氏の証人喚問でも聞かれることになるでしょう」(前出・官邸担当記者)

 当の佐川氏について、元財務省事務次官の一人は「連絡を取ってみましたが、返事はありません」と語る。

「福島県出身の佐川氏は昨夏、『苦労をかけた』と地元・磐梯の温泉に家族旅行に出かけたそうです。ところが手違いで大広間で食事をする羽目になり、『他の客からヒソヒソ囁かれて子どもが可愛そうだった』とコボしていた。その後も自宅前をネットで中継されたりして、半ばノイローゼになっているそうです」(前出・財務省関係者)

 官邸としての最悪のシナリオは、佐川氏が加計問題の時の“第2の前川氏”になってしまうことだ。

前川喜平前文科省事務次官

「今井氏は番記者の前でも相当ピリピリしています。安倍政権はこれまで少しでも官邸に歯向かった官僚は更迭するなどしてきました。心ある官僚は萎縮する一方、出世を目指す者は官邸への忖度を加速させています」(前出・官邸担当記者)

 そうした中、文科省が名古屋市教育委員会に、前川喜平前文科省事務次官が市立中学で講師を務めた授業の内容などの報告を求めていたことが明らかになった。

「文科省は淵上孝教育課程課長名で、二度にわたって計26項目に及ぶ質問を列挙したメールを送っていました。出会い系バーを利用していた前川氏を招いた経緯などを尋ね、授業の録音データの提供まで求めていた。前代未聞の出来事です」(文科省担当記者)

 淵上氏は、上司の高橋道和初等中等教育局長と相談の上、市教委側に“検閲メール”を送信したという。

「高橋氏は忖度が上手く、政権の覚えめでたい」

 そう明かすのは、文科省幹部だ。

「高橋氏は13年、安倍首相の肝煎りで設立された教育再生実行会議の担当室長に送り込まれました。委員には、下村博文文科相(当時)の支援者の進学塾社長らが名を連ねていた。この会議をうまく回した実績は、首相や下村氏に高く評価されていました」(同前)

 そして15年7月、当時迷走を重ねていた新国立競技場問題を担当するスポーツ・青少年局長が事実上更迭され、その後任に高橋氏が就くことになった。

「再生会議担当室長は審議官級ポスト。本来なら、私学部長などを経由して局長に就くのが通例です。ところが、一期上の先輩を追い越す形で局長になった。年功序列の役所の人事からすれば異例のことで、“二階級特進”とも言われました。84年入省組では、事務次官レースの先頭を走っています」(同前)

圧力議員は安倍首相の愛弟子

 その高橋氏らに、授業内容について照会を行っていたのが、自民党の池田佳隆衆院議員だ。12年初当選組の“魔の3回生”。清和会の所属で「安倍首相の愛弟子」を自任しているという。首相も昨年、池田氏の選挙でこう演説していた。

安倍チルドレンの池田氏

「池田さんは日本青年会議所の会頭をやっていた。当時、官房長官だった私にインタビューされた。そこで、まともな教育にしていこうと意気投合しました。ぜひ政治の場で池田さんの情熱を成果に結びつけてもらいたい。こうお願いし、彼は立候補してくれました」

 一方、文科省官僚の間では、池田氏は「常に大きな声で恫喝する。教育の中立性を考えない“要注意人物”」だったという。その池田氏の“圧力”を受け、政権の意向を忖度した高橋氏が“検閲メール”の送信を部下に指示した形だ。

「国が学校の授業内容を調査することは基本的に認められていない。違法行為と指摘されても仕方ありません」(前出・文科省幹部)

 苦境に立たされた安倍政権。前出の政治部デスクが政局の行方を解説する。

「日テレの世論調査で、不支持の理由のダントツ1位は『安倍総理の人柄が信頼できない』。これでは内閣改造や目玉政策を打ち出したりしても、反転は見込めない。佐川氏を証人喚問しても『捜査中で回答を差し控えたい』と連呼する可能性が高い。予算成立後に麻生氏が辞任し、後任に野田聖子総務相を充てる案も囁かれていますが、問題の核心が首相夫妻にあるだけに、効果は限定的です。結局、国民の信頼を取り戻すには、首相夫妻が真摯に説明するしかないのです」

 だが、そこで安倍首相に重くのしかかるのは、「私や妻が関係していれば、首相も議員も辞める」という自らの答弁だ。その言葉はもう書き換えられない。

文春リークス

あなたの目の前で起きた“事件”募集!

出典元

安倍首相夫妻の罪と罰

2018年3月29日号

2018年3月22日 発売

特別定価440円(税込)

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