景勝地として知られる玖珠町の「立羽田の景」。町は今月末に景観行政団体となり、山村風景などの保全に力を入れていく=2018年11月 景観法に基づき、歴史的な町並みや自然を生かした景観づくりなどを進める「景観行政団体」に31日、県内18市町村で最後に玖珠町が加わる。2005年に別府市が九州初の同団体(中核市などを除く)となってから15年。観光振興や地域活性化の観点からも景観の価値が高まる中、保護、活用する取り組みは着実に広がっている。 景観行政団体になると、新築の建物の高さや色彩の制限などを定めた景観計画・条例を策定できる。拘束力が強く、策定の際、国の交付金を活用できるメリットもある。 県内では別府市以降、08年までに9市がなったが、09~14年にかけては1市とペースダウン。県都市・まちづくり推進課は「住民の理解を得るのに時間がかかり、予算確保が難しいケースもあった」と説明する。 このため県は各地で景観保護への関心を深めるセミナーを開いたり、景観計画作りのアドバイザーを派遣。機運の醸成を図った結果、15年以降は毎年1~2自治体ずつ増えた。 玖珠町は森地区の歴史的町並みや立羽田の景(耶馬渓)といった自然・田園風景を有するが、これまで町の体制が整わなかった。人口減少がより深刻化する前に保全を―と、23年度までに景観条例・計画を作る方針。企画商工観光課は「町民と共に玖珠の魅力的な景色を守っていきたい」と話す。 すでに景観行政団体となっている17自治体のうち、景観計画を策定したのは12市(昨年12月末時点)。▽湯煙の温泉情緒を生かし豊かな海、山の自然と調和(別府市)▽豊かな感性を育むことにつながる景観形成(杵築市)―などそれぞれの理念の下で景観保全を図っている。計画に基づき、電柱の色を周囲の木造建築になじむ茶色にするよう要請したり、観光地に建設予定の建物に対して雰囲気に合った形状にするよう求めたこともあったという。 県は新年度も引き続き、セミナー開催やアドバイザー派遣を続ける。都市・まちづくり推進課は「地域が特色を発揮できるような手助けをしていく」と力を込めた。