英BBC、台湾での隔離生活は「監獄のよう」と報道 炎上して削除

【社会】 2020/03/27 17:12 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
英国人女性が滞在する検疫所の部屋=花蓮県衛生局提供

英国人女性が滞在する検疫所の部屋=花蓮県衛生局提供

(ロンドン中央社)英BBCが26日、台湾の検疫所は「監獄のよう」と報道して台湾のネットユーザーの不満を招き、同社のフェイスブックに批判が殺到する事態となった。台湾の外交部(外務省)も同日、「深い遺憾」を表明。同記事は27日早朝までに削除された。

台湾では新型コロナウイルス感染防止の水際対策として、国籍を問わず全ての入境者に一律14日間の在宅検疫を義務付けている。実施されたのは19日午前0時からだが、5~14日に欧州から入境した人も対象となる。

BBCが報道したのは、交際相手とのバカンス旅行の途中で14日に台湾に立ち寄り、隔離を求められた英国人女性(28)の母親が提供した情報。娘の隔離生活について、検疫所の部屋は汚くお湯も出ず、洗濯場もない上に、最低限の食べ物しか与えられずに「監禁」されていると訴えていた。

外交部は26日、報道内容は事実と異なると反論。事実確認をせずに台湾の名誉を損なう報道をしたとして深い遺憾を示した。当事者が滞在する東部・花蓮県の検疫所や食事の写真も同県衛生局によって公開され、BBCのフェイスブックには怒りを表す「ひどいね」が短時間で1000件以上殺到した。

台湾のネットユーザーは、「2人は持ち合わせがないという理由で無料の施設に案内されたと聞いている」として、事実確認をしなかったBBCの姿勢を「メディアとしての素養に欠ける」と批判。一方で外国人からは、「新型肺炎に対する台湾の対応は迅速。今一番住みたい場所」と、台湾の防疫対策を称賛する声も寄せられた。

花蓮県衛生局は26日、当事者からの謝罪メッセージを受信。「今日まで何も知りませんでした。謝ることしかできませんが、一刻も早く(記事が)削除されるよう力を尽くします」とつづられていた。同局によると、2人の隔離が解除されるのは28日午後11時59分。同局は29日午前中にも職員を派遣して、2人を花蓮駅まで送る意向を示している。

(戴雅真/編集:塚越西穂)