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"アンチマテリアルライフルってなに
アンチマテリアルライフルとは、対物ライフルともいいます。普通のスナイパーライフルより、大口径の銃弾を使ってスナイピングを行います。使用弾薬としてよくしられているのは、50BMG(12.7ミリ弾)です。「対物」の名が示すように、通常のスナイパーライフルのように、対人用としてだけではなく、壁や土嚢をブチ抜いて、その裏にいる敵兵を倒したり、車両の通信機器(アンテナ)などにダメージを与えます。
アンチマテリアルライフルの口径は
アンチマテリアルライフル(対物)の口径としていちばん有名なのは前述した50BMG(12.7ミリ弾)です。この50BMGは元々がブローニングM2機銃用に開発されて弾薬です。50とは、.05インチ(12.7ミリ)という口径を表し、BMGとは、ブローニング・ヘヴィー・マシンガンの頭文字をとった表記です。この50BMGは、各国の対物ライフルの口径として採用されていて、アニメやゲームでの露出も多いので、たくさんの方が、名前をご存じの弾薬です。
50BMG以外の対物ライフルの口径は
50BMG以外の対物ライフルの弾薬として、銃器の世界に詳しくない人が、よく混同するのが、長距離スナイピング用に開発されたカートリッジです。有名なところでは.338ラプア・マグナムや、406チェイタック弾があります。これらの弾薬は、長大な有効射程を狙撃するためのスペックを満たすために開発された弾薬なので、対物ライフルとは、開発された目的が違います。まあ、狙撃に使うことにはかわりはないのですけど。
アンチマテリアルライフルの射程距離は
アンチマテリアルライフルで50BMGを撃った時の射程距離は、1.500~2.000メートルだと言われています。ただ、有効射程距離ではなく、M82A1で狙撃を成功させた記録なら、2,815メートルという記録が残っています。これは、あくまでもアンチマテリアルライフルでの狙撃成功の記録であって、単にターゲットを当てた記録なら、375 CheyTac弾を使用した、4160メートルという記録が残っています。これほどの距離になると、仮に撃たれた方は、自分が撃たれた後に銃声をきくことになるので、避けようがありませんね。
アンチマテリアルライフルと対戦車ライフル
アンチマテリアルライフル(対物ライフル)のルーツは、ドイツが1918年に開発したモーゼルM1918対戦車ライフルにまで遡ります。第一次大戦時、それまでなかった大量殺戮兵器である機関銃の登場によって、ヨーロッパの西部戦線は、塹壕戦となって、膠着状態に陥ります。その膠着状態を打破して、敵の塹壕を突破する兵器として、戦車が登場します。
戦車は歩兵にとって最大の恐怖だった
当時の小銃弾では、この戦車の鋼板は貫通できず、歩兵たちにとっては、手も足もでませんでした。そこで、塹壕内に落ちて鹵獲した敵戦車の装甲を研究して、貫通させるだけのスペックをもったライフルとして開発されたのが、世界初の対戦車ライフル「モーゼルM1918」でした。
モーゼルM1918対戦車ライフルのスペック
モーゼルM1918対戦車ライフルは、モーゼルKar98kの口径を13ミリにして、全体をそのままスケールアップしたデザインです。作動方式は、シングルショット式のボルトアクション、全長が1700ミリで、重量が16.3キロです。これほどの重量を持つライフルにもかかわらず、口径13ミリの反動は凄まじく、人が肩付けでスナイピングができる、限界に近いスペックでした。ちなみに、いま対物ライフル用の口径として使われている50BMG弾は、この13ミリモーゼル弾を参考にして、ジョン・M・ブローニングが開発した弾薬です。
一度は戦場から姿を消した対戦車ライフル
やがて、戦車の装甲が厚くなると共に、対戦車ライフルでは、もう戦車に対しての攻撃力は効果がなくなってきます。そして、歩兵武器の発達により、対戦車ライフルよりも効果的な、個人が携行できる対戦車兵器が次々と開発され、やがて対戦車ライフルは、戦場での活躍の場所がなくなり、姿を消していきます。
アンチマテリアルライフルとフォークランド紛争
やがて、時代はズーと過ぎて、1982年に、アルゼンチンの沖の島である英国領「フォークランド諸島の領有権をめぐり、イギリスとアルゼンチンの両国の間に軍事衝突がおきます。いわゆる「フォークランド紛争」とよばれる事件です。この時に、フォークランド諸島に上陸したイギリス軍は、FALやミラン対戦車ミサイルは装備していましたが、長距離狙撃に有効な兵器は、配備されていませんでした。そこで、アルゼンチン軍は、進軍してくるイギリス軍に対して、ブローニングM2機銃にスコープを載せて、狙撃をしてきたのです。
ミサイルよりも12.7ミリ弾のほうがコストが安い
BMGで狙撃されるイギリス軍には、対抗できる遠距離狙撃銃がないため、ミラン対戦車ライフルで、敵の機関銃手を攻撃するという苦肉の策にでました。ミラン対戦車ミサイルの攻撃は効果的で、M2機銃による狙撃は食い止めましたが、たかだか、機関銃手とその周りの僅かな兵士を倒すために、一発100万以上もするミサイルを使ってたのでは、コストがかかりすぎるのです。このフィークランド紛争の戦訓によって、各国は再び、長距離狙撃銃の価値を認識して、アンチマテリアルライフルの開発に乗り出したのです。
アンチマテリアルライフルの電動ガンは
現在、日本国内では、アンチマテリアルライフルのエアガンは製造されていません。いずれも、海外製の電動ガンやエアコッキングガンになります。この種類のエアガンは、元の生産数が少ない上に、輸入されている数も少ないため、ショップに入荷しても、すぐに完売状態になってしましまいます。そのため、ここで紹介しても、ショップでは既に売り切れていることもありますので、ご了承ください。
①スノーウルフ バレットM82A1
バレットM82は、中国のエアガンメーカー「スノーウルフ」によって電動ガン化されて、日本でも販売されています。
スノーウルフのスペックは
スノーウルフのバレットM82は、箱出しのノーマル状態での射程距離は、だいたい20メートルほどです。ですので、多く海外製電動ガンと同じく、このスノーウルフのバレットM82も、サバゲーで使うのなら内部を分解・調整することが前提の商品です。幸いにも、このバレットは、マルイのVer2メカボックスもコピーなので、再調整を施せば、サバゲーで使えるぐらいのスペックにはなります。
内部を調整してvsr10ぐらいの射程距離に
サバゲーで使えると言っても、内部を再調整して、やっとvsr10や、マルイのL96並の射程距離になるということで、ずば抜けたスペックに化けると言うわけではありません。昔、このスノーウルフのバレットを自分で流速チューンを施して、有効射程距離が60数メートルの化物バレットを作り上げたお兄さんが、知り合いのチームにいましたが、そこまでできるのは、よほどバレット愛をもっていないと、稀有な例でしょう。
バレットM82のおすすめなところ
このバレットのおすすめなサバゲーでの使い方は、スナイピングよりも、固定砲台化して、拠点防衛的な使い方が一番、現実的な使い方でしょう。この種類の海外製電動ガンは、フルメタルの外装で、かなり重たくなり、これを持ってフィールを走り回るのは、よほどの体力がないと、サバゲーではなく、罰ゲーになるので、スナイピングは諦めて、固定砲台として相手を威嚇しましょう。幸い、このバレットには、対物ライフルでありながら、なぜかフルオート射撃がついているので、そういった使い方もありだと思います。
②ARES M96
香港のエアガンメーカー「ARES」が製造販売をしている長距離スナイピングライフルM200のエアガン化したモデルです。友人がこれを持っているので、持たせてもらったことがありますが、あまりの重さに、試し撃ちをする気さえなくした思い出があります。友人はこのドデカいエアガンを抱えて、最前線でアクティブスナイパーをしていましたが、その様子は、正気の沙汰とは思えませんでした。
ARES M96のスペックはスナイパーライフル
本来、このライフルは対物というより、長大な射程距離のスナイピングを求める別カテゴリーなのですが、バレットだけではちょっと淋しいので、あえてここで紹介します。このスナイピングライフルをつくっているのは、前述したように「ARES」という香港のエアガンメーカーです。同じモデルのガス式スナイパーライフルもだしていますが、今回はエアコッキングをご案内します。
スナイパーにはおすすめしにくい
この銃の重量は約5キロ、全長は1160~1330ミリ、装弾数は150発の海外製エアーコッキングライフルです。このライフルは全身がフルメタルで、この長さですから取り回しは最悪です。バレットと同様に体力がないと持て余すでしょう。バレットはまだフルオートで撃てるため、いざとなれば火力にモノをいわせることもできますが、このライフルはエアーコッキングなので、サバゲーにおすすめするのは、少し躊躇われます。
アンチマテリアルライフルのおすすめは
アンチマテリアルライフルの海外製電動ガンであるM82しても、長距離狙撃用のEDM200にしても、サバゲーでの狙撃には積極的におすすめはできません。有効射程が電動ガンと大差ない上に、箱出しではまともな有効射程距離が出ないからです。これらのエアガンは、スペックやサバゲーでの使いやすさよりも、あくまでも個人の嗜好の延長線上のロマンの世界に浸るです。ですから、この種類の海外製のエアガンはおすすめできるポイントは、映画やゲームのキャラクターに近づいた気分になれるというところです。
アンチマテリアルライフルは箱出しで使える?ーまとめ
結論から言うと、どんなに高級なエアガンメーカーの製品でも、アジア系の海外製のエアガンは分解・調整が前提だと思っていてください。それは、このアンチマテリアルライフルのエアガンでも同じです。海外製の電動ガンは、日本にはない製品のラインアップが多くあり、魅力的な商品展開がされています。特に自分の好きなライフルやサブマシンガンが、電動ガン化されていると、価格の安さもあり、つい欲しくなります。
海外製エアガンは分解・調整が前提です。
しかし、輸入品でパーツもなく、信頼性が薄い製品なので、購入される際には、自分で調整するか、ショップで調整をお願いする覚悟がないと、おすすめできません。調整して、初めてマルイ並の作動になるので、箱出しでいきなりサバゲーで使えるという幻想は、捨てて下さい。