「そんなご時世にカジノができれば、若い人が物珍しさで行くことはあるかもしれません。でも、入場料が6000円かかるんです。地域によっては、交通費もかかります。いつまで、何回通えるんでしょうか」(ケチャさん)

 もともとギャンブルを楽しんでいる人たちは、どうだろうか。

「ふだん競馬をやっている人なら、やはり最初、物珍しさからカジノに入ってみるかもしれません。でも、競馬に戻るでしょうね。入場料の6000円で馬券が買えますから。パチンコの人もそうでしょうね。近くにあるから交通費がかかりませんし」(ケチャさん)

 外国人も来そうにない、日本人も来ないとなると、カジノへの需要そのものが実在しない可能性もある。さらに、ケチャさんには懸念がある。

暴力団より国の方が悪徳?
カジノ法案で語られぬ「テラ銭」

「カジノは、すでに日本にあります。非合法ですけど。新宿や六本木のような街にあって、ゴージャスで楽しめます。暴力団が関わっていることが多いですけれど、手持ちの費用で楽しんでいる限り、怖いことは何もありません」(ケチャさん)

 しかも、勝ちやすいのだ。非合法の地下カジノの「テラ銭(控除率)」は、おおむね10%。控除率は、競馬など公営ギャンブルで20~30%、宝くじでは50%以上。「国の方が悪どくて、暴力団が良心的」とケチャさんは笑う。

「カジノ法案で、テラ銭の報道を見かけないのが気になります。もし、地下カジノより高いとしたら、今回のカジノ法案のもとで作られるカジノに行ってみて夢中になったお客さんは、より儲かりやすい地下カジノに流れるかもしれません」(ケチャさん)

 と言っても、自分の手持ち資金を賭けている限り、暴力団が関わっている非合法の地下カジノだからと言って、危険に巻き込まれることはない。

「危ないのは、賭け金がなくなったお客さんにお金を貸す場合です。そこから非常にマズイことになる例はあります。俺がいた店では貸していませんでしたが」(ケチャさん)