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21時間前

裁判の目的はお金ではなく真相究明

 昌子さんとしては、お金のためではなく真相究明のための裁判だから、賠償金額はいくらでもいいと考えていた。しかし弁護士によると、安い金額では国が「認諾」と言ってこちらの主張を丸呑みして認めてしまう。請求額を支払うことで裁判をすぐに終わらせ、それによって遺族側に原因追及をさせないことが狙いだ。

 そうさせないためには、丸呑みできない金額で訴えるしかない。佐川氏と国に対し、総額1億1000万円余の賠償を求めるつもりだ。

 裁判はあくまで佐川氏を法廷に呼び出し、謝罪を求め、真相を追究するのが目的だ。訴状の冒頭にも「本件訴訟の目的は、第一に、なぜ亡俊夫が本件自殺に追い込まれなければならなかったのか、その原因と経過を明らかにする点にある」と明記されている。だから勝訴して得られた賠償金は、何らかの形で世のため人のために役立てたいと考えている。特に、二度と公文書改ざんなどという不正が起きないようにするために。

森友学園の小学校建設予定地を視察した安倍昭恵首相夫人と籠池夫妻

佐川氏の自宅を訪れると……

 3月15日、私は東京都内の佐川氏の自宅を訪れた。室内に灯りがついている。誰かがいることは間違いない。インターホンを押した。一度、二度。反応はない。三度目、私はインターホンの前に俊夫さんの手記を掲げて言った。「佐川さん、これは近畿財務局の亡くなった赤木さんが遺した手記です。これを読んで頂けませんか?」……それでも反応はない。家の中で聞いているのか、見ているのかもわからない。最後に私は「手紙を郵便受けに入れておきますので、お読みください」と言い残し、その場を立ち去った。これを昌子さんに伝えると、「私も何度もピンポンされる恐怖を味わったので少し気の毒です」と話した。夫を追い詰めた佐川氏にも同情を寄せる心優しい人なのだ。

 現在62歳の佐川氏。2年前に国税庁長官を辞任した後は再就職もせず、財務省OBの集まりなどにも顔を出していないという。

「全責任を負う」と言ったとされる美並氏にも取材を申し入れると、「決裁文書の改ざんについては、平成30年6月4日に調査報告書を公表している通りです。お亡くなりになられた職員については、誠に残念なことであり、深く哀悼の意を表したいと思います」と財務省の広報室を通じて回答があった。

 3月18日、昌子さんは大阪地裁に提訴する。被告となる国と佐川氏は、どのように応じるだろうか? さらに、責任があると名指しされた財務官僚たちは? 彼らを統率する責任がある安倍首相と麻生財務大臣は? そしてそもそもの発端となった森友学園の小学校の名誉校長だった首相夫人の安倍昭恵さんは? みな、赤木俊夫さんと昌子さんの訴えをどのように受けとめるだろうか?

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