法人と言っても、実務上は、
(1)株式会社
(2)合同会社
のどちらかになります。
このうち合同会社はなじみがありませんが、有名どころでは、アマゾンジャパン合同会社、アップルジャパン合同会社、合同会社西友、合同会社DMM.comなどがあります。
資産運用会社を作ろうと考えたとき、株式会社にしようか合同会社にしようかと悩むわけですが、結論から述べると株式会社にすべきです。
株式会社と合同会社は、税金面では全く同じです。
みんなが悩むのは、合同会社のほうが設立費用が安く済むからです。
私は株式会社の設立を行政書士に頼みました。
私が頼んだ行政書士のサイトで設立費用を比較してみます。
●合同会社
6万4480円行政書士報酬 4480円(レビュー割200円を考慮済み)
登録免許税 6万円
https://www.llp-llc.jp/●株式会社
20万4480円行政書士報酬 4480円(レビュー割200円を考慮済み)
登録免許税 15万円
定款認証費用 5万円+定款謄本費用2通分
https://www.sin-kaisha.jp/両者の違いは、登録免許税と定款認証費用の2点です。
合同会社は登録免許税が安く済み、定款認証手続が要らないことから、その分の費用が安く済みます。
この差は
14万円であり、安くはない金額であることから、みんな悩むことになります。
しかし、合同会社のコストが安いと言っても設立時の14万円だけです。その後のコストは株式会社と全く同じです。
※厳密には、合同会社の社員の任期は無期限であるのに対し、株式会社(株式譲渡制限会社)の取締役の任期は最大で10年であるため、10年ごとに変更登記をしなければならず、10年ごとに1万円の登録免許税が発生します。
変更登記を怠ると、(1)裁判所から過料の通知が来るリスクがあるほか、(2)最後の登記の日から12年が経過すると、登記官の職権で会社を解散させられるリスクがあります。株式会社が決算公告をしなくても事実上何もリスクはありませんが、
これら2つのリスクは普通に発生するため、注意が必要です。
つまり、株式会社にすると、設立時の14万円に加えて、10年に1回、1万円ずつのコストが余計にかかります。
しかし、株式会社にはこれらのコスト負担を超えたメリットがあります。
それは、「
出資者と役員を分けることができる」という点です。
合同会社は、出資者=役員です。
出資をした人は必ず役員にならなければならず、役員になるためには必ず出資をしなければなりません。
合同会社の役員は「社員」、代表者は「代表社員」と呼ばれますが、「社員」とは法律用語で出資者のことです(株式会社の社員は株主となります)。
しかも、合同会社の社員には業務執行権があるため、「
妻を扶養のまま非常勤取締役にして役員報酬を支払って節税する」という方法が年金事務所によって否認されるリスクがあります。
※合同会社にも「業務執行権がない社員」を設けることができますが、これは株式会社で言うところの株主になります。
妻を非業務執行社員にすれば扶養にしても年金事務所は文句を言いませんが、役員報酬を支払うと税務署に否認されるリスクが発生します。
資産運用会社を作ることの最大の旨味は「身内を非常勤取締役にして役員報酬を支払って節税する」ということですから、14万円を節約してこの点で揉めるリスクを抱えるべきではないと考え、私は株式会社を設立しました。
また、株式会社の代表者は「代表取締役社長」です。
合同会社の「代表社員」よりも良い響きがします。
●資産管理会社の作り方(2)~株式会社の設立登記のやり方
に続きます。
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