東京都の小池百合子知事(67)が25日夜、都庁で会見を開き、新たに41人の新型コロナウイルスの感染者が発生したことを受けて、週末の不要不急の外出自粛を要請した。
期間は当面、4月12日までで少人数での会食や夜間の外出の自粛まで要請。東京五輪の1年程度の延期の決定から一夜明け“足かせ”が外れたタイミングで、大きな判断に踏み出した。
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小池知事は冒頭で、都道府県の発表としては1日で最多となる41人という感染者数を発表した。前日24日に累計171人と全国最多になった感染者がこの日は212人に増えたことを受け、「週末はお急ぎでない外出は控えるようお願いしたい」と訴えた。感染経路が不明な患者もこの日だけで10人を超え「今の状況をひと言で表すと感染爆発の重大局面」と指摘する際、声はひときわ大きくなった。
25日までの3日間で発表した感染者は、全体の約35%に上る74人と急増している。特に1日で41人という数字は深刻だ。厚生労働省のクラスター対策班が21日に都に示した試算は、現状の対策が続けば都内では4月8日までに患者が計530人、重症者が計41人だった。今後も毎日40人ペースが続けば、厚労省の厳しい試算を上回る感染者が出ることになる。小池氏は41人という数字について「大変、大きな数字。何かえたいが知れない感覚を抱いた」と語った。
23日の会見で自ら口にした都市の封鎖(ロックダウン)については「即、ということではございません」と、即時の実行は否定した。一方で、この日の自粛要請は、週末の不要不急の外出に加え、夜間の外出、少人数での会食にまで及んだ。さらに平日の仕事も可能な限りのテレワークを要請。都の保険局の担当者は、北海道の鈴木直道知事が28日に出した緊急事態宣言より、及ぶ範囲は「やや広い(範囲)」とした。
世界の主要都市で、不要不急の外出の制限など行政がトップダウンで感染拡大の阻止に動いている。一方で都内では普通に人が往来する状況で、海外メディアからは疑問の声も上がっていた。その中、東京五輪の延期が決定し“足かせ”が取れたことで、都のリーダーとして動き、「オーバーシュート(感染爆発)の懸念が高まった重要な局面」と呼び掛けた。
週末の自粛要請については会見では期限があいまいなところもあり、報道各社から質問が相次いだことを受け、会見後、保健局の複数の担当者が追加でブリーフィングを実施。知事が大規模イベントの自粛を要請した期限の4月12日までと繰り返し説明する一幕もあった。【村上幸将】