SARSコロナウイルスの逆遺伝学システムを用いてキメラウイルス(異なる遺伝子情報を同一個体内に混在させたウイルス)を発生させるプロジェクトに参加した主任研究者は、ヒトに伝染する可能性について報告している。憶測ではあるが、はっきりと言えば、SARSコロナウイルスまたはその派生物が研究所から漏れたかもしれないということだ。
要するに、誰かが新型コロナウイルスの変異と関係していたのである。武漢にある研究所は、自然発生的な遺伝子組み換えや中間宿主の発生源であっただけでなく、おそらく、猛威を振るうコロナウイルスの発生源でもあったのだ。バイオハザード(生物災害)の危険性の高い研究所においては、安全レベルを強化する必要があるだろう。これらの研究所を市内中心部やそのほかの住宅密集地域から遠く離れた場所に移転するような規制が必要ではなかろうか〉
中国外務省の耿爽報道官は2月20日、この論文が示唆した内容――すなわち「研究機関が発生源であった」とする説について「世界の著名な専門家たちは全く科学的根拠がないと認識している」と明確に否定するコメントを出した。
そして3月に入ると、中国外務省の趙立堅副報道局長が「米軍が武漢にウイルスを持ち込んだ可能性がある」と英語と中国語でツイッターに投稿。その後、新型コロナウイルスの発生源が米軍の研究施設だと推測する記事を紹介するなどもしている。