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新型コロナウイルス感染症について(その7)~新たな感染者発見+色々思うこと~
2020年03月17日
3月14日、和歌山県でまた新型コロナウイルス感染症に感染している人が発見されました。大阪南部にお住まいの女性が感染していて、和歌山市に勤務に来ているという報告が3月12日夕、大阪府から入ったものですから、和歌山市保健所がさっそく勤務先を調査に行った所、全員陰性が確認され、ほっとしつつ、勤務先に出入りしていたお客さんやその他の人も様子を聞きに行って看視しておこうということにしたのですが、3月13日夜になって、また同じルートで連絡があり、この人があるお宅に伺っていたことが分かったので、再び、調査を行った所、学校に通っている子供さんの陽性が判明したというわけです。今度は勤務先からこの家庭に重点を移し、さっそく家族のPCR検査をしましたが、家族全員陰性が確認され、感染後の交友関係、立ち回りもないようだとのことでした。3次感染が確認されなかったので、とりあえず安心しています。子供さんは軽症ですが、入院して手厚く看護中です。
和歌山県は、これまで2度感染を総掛かりで抑え込んだ(1回目は病院、2回目は大阪のライブハウス参加者関係)のですが、今回もまた全力を挙げて、この流れでの感染拡大を抑え込むために全力を挙げたいと思います。
このことの他に、コロナ関係で思うことがいくつかありますので、申し上げたいと思います。
まず第1はコロナの感染拡大を抑えるためにはスピードが何よりも大事だということです。そのために大事なことが私は2つあると思います。1つ目は感染者が発見されたら、その人の行動歴を徹底的にヒアリングして、それをもとにリスクのありそうな所には、徹底的に調査の網をかける必要があります。その場合、明らかな濃厚接触者の場合や、その対象組織をクリーンであると証明して再起させる必要がある済生会有田病院のような場合はPCR検査がよいと思いますが、全部が全部にそれを求めるというのは現実的に無理があると思います。それでもヒアリングに入って、症状のある人はいないか探し出したり、今はなくても出てきたらすぐより高度の検査を出来るように、連絡方法を確立しておくことが大事だと思います。
その際、他県に接触先がある時は他県の当局に速やかに伝達しないといけません。和歌山県では意識して、感染症又は感染しているおそれのある人の行動履歴はものすごく徹底的に聞いてもらうよう指示を出しています。今回3月12日と13日のケースでは大阪府から連絡が2回に分けて来ましたが、ちゃんと教えてくれたので助かりましたが、2回に分けて連絡が来たということは、ひょっとしたら、1回目のヒアリングが和歌山県でやっているほどは徹底的ではなかったかという推測もできます。私は今の「抑え込み」期間は、政府の専門家がよく言う「病気の感染拡大を遅らせる」期間と言ってもよいと思いますが、そういう時には、この感染者の行動履歴の迅速かつ詳細な把握とそこで判明した接触先の迅速かつ徹底的な調査が一番大事だと思います。
もう1つ今回判明したことがあります。それは、陽性が判明した大阪府の女性から、今回子供さんが陽性となった家庭に12日夜には自分が陽性となった旨の連絡が入っていたそうです。しかし、そのことをこの家族は和歌山市保健所やそれに代わる人に伝えておらず、むしろ、13日の夜、大阪府から連絡を受けた和歌山市保健所が様子を伺って子供さんの発熱等が判明しているのです。したがって、国民、県民の皆さんも新型コロナウイルス陽性患者と明らかな接触があった場合には、症状の有無に関わらず、速やかに最寄りの保健所又は和歌山県の人なら県庁にご連絡して欲しいと思います。その旨をさっそく広報させてもらいました。
第2は、このところ全国TVで和歌山県のコロナ対策がよく取り上げられます。そして褒めてもらっています。私の顔写真が一緒に出て面映ゆい限りです。TVの褒め方を見ていますと2つあるようです。済生会有田病院の迅速な再生とPCR検査をたくさんやったということです。後者については、少し的がはずれてないかなあと(褒められている当人が言うのも変ですが)思います。確かに和歌山県では人口の割に今までたくさんPCR検査をやりました。しかし、何故数が多いかというと、済生会有田病院を誰にでも信用される形で早期に再開させるためと、感染者が勤務していたコールセンターを1日も早くクリーンであると証明して事業再開にこぎ着けるために、一遍にかなり大量に検査を行ったということが大きいのです。これ以外のケースは、そう多くはありません。やみくもにPCR検査をして欲しいという一種不安にかられた人に片端からPCR検査をやっているわけではありません。このPCR検査をもっとやるべしという声がマスコミを中心に高まったのは、明らかにやった方がよいと医師も言っているような案件を全国の多くの自治体や保健所が断ったので、その批判の声がマスコミに届けられたからだと思いますが、それが何故起きたかというと、多くの各県の担当者や保健所が一番初めに来た厚労省の指導にいつまでも縛られていたからだと私は思います。その厚労省が初めに出した指導もその時点では至極もっともで、感染の元、武漢からさらに中国-海外渡航歴の有無を検査をするか否かを第1のメルクマールにしていたわけです。その後事情はどんどん変わりますから、和歌山県では、どんどん検査をするか否かの判断を変えて県の担当者や保健所の人達に周知させていっただけの話です。
この点では、国が批判の対象となっていますが、加藤大臣の記者会見を見ていても、大臣はいつも各県の判断で柔軟にと言っておられた訳ですから、PCR検査を全国で断られた人がいっぱいいるからといって、厚労省を非難するのはお門違いです。現に、和歌山県で先に述べた作戦のためにPCR検査を使いたいと言って厚労省に協力をお願いした時、厚労省はそれが流行りすぎると全体がパンクするという恐れを感じつつも、PCR検体を多めに回してくれました。このことに大いに感謝しています。
和歌山県ではもう一つ、厚労省との関係では、独自の対応をしていると理解されています。それは、厚労省サイドからは盛んに風邪かと思っても4日間ぐらいは自宅でじっとしていなさいというアナウンスが国民に対して行われているのですが、これが、その間は医者を受診してはいけません、感染症指定病院のような専門機関だけでなく普通のクリニックにでも行ってはいけませんといったような意味で行われるのは、そのまま従いませんと言っていることです。(現にそう言ってテレビで解説している厚労省関係の専門家もいました。)
和歌山県の方針としては、普通風邪にかかっても医者に行くだろうに、ましてやこういうコロナの心配な時に医者に行くなと言っても人々を止めることは無理だろう。風邪の人の99.9%はコロナとは関係がないのだから、普通の風邪治療をしてもらって、そのうち症状が何か変だと医師が思われたら医師はレントゲンかCTをとって、肺炎を疑って下さい。そこで肺炎が出たら、保健所に連絡をしてもらい、後は県庁の指示で、PCR検査をします。万一コロナだったら、濃厚接触者として医師等の方のPCR検査その他のお世話はします。マスクがないとクリニックの方々も不安でしょうから、医師会に不足を言ってくれれば届けますということにしているのです。これに対して、TVなどは、政府の方針に対し、自分の考えに基づいて、異を唱えているように見えるので、特別に取り上げてくれますし、少数のクリニックの方からは、素人がバカなことを言うなという疑問が寄せられています。しかし、後者については、PCR検査が万能と思い込んでいないかとか、対応もできないクリニックに責任を押しつけるのかといった誤解がどうもあるようです。現実には、これは少しあやしいと医師から連絡があって、県がPCR検査をしている件数は1日10件程度で、これなら、和歌山県の検査能力でも十分大丈夫です。もちろん片端から陰性です。
このように、和歌山県はどうも変な具合にTV等で褒めていただいているのですが、これに関連して私はさらに2つ危険な点があると思います。
その1つは、(医者に行くなとまでは和歌山県はとても言えないとしているのですが、)厚労省見解としてTVのPRなどで流されている次の情報には大事な点があるということです。
それは、風邪かなと思うような時、熱がある時は家にとどまれということです。すなわち、無理に出歩くな、お勤めもできればやめてじっとしておれ、学校も無理をして行くな・・・といったことです。私はこれは正しいと思います。
日本人は世界一勤勉ですから、熱が少しあっても仕事や外出やアポをやめない人が多いと思います。それは日本の美徳かもしれないが、ここ当分は感染していたら大変だからとお仕事などはできるだけ休んで家にいて欲しいと思います。具合が悪いと医者に行くのは止めないのは、いつも言っているとおりですが。
冒頭の今回のケースも、大阪の方が少々の熱をおして出勤しておられるわけで、こういう御時勢なので休ませてもらいますという方に行っていれば、和歌山県での2次感染はなかったかもしれません。
今はイベントも一斉に休業で、そのうち復活の動きが出てくると思います。色々と復活の条件が言われていますが、一番大事な条件は私は、少しでも体調不良の人はどうか欠席して下さいということだと思います。特にイベントの主催者側の人など責任を感じる人が、無理に出てくる傾向があると思いますので、それはやめていただいた方が結局は責任を果たすことになると思います。
2つ目は、PCRの検査数を議論してはいけないということです。たしかに和歌山県では相談件数に比してPCRの検査数は多いのですが、それは前述のように意味がある場合があったからで、希望者にどんどん検査を実施しているわけではありません。検査キャパシティ、マンパワーの問題もありますから、そんなことをしていたら、本当に大事な検査をしなければならない人のケアができなくなってしまいます。
また、韓国が片端からPCR検査をしていて、えらいという声が上がった事がありましたが、実際起こったことは、感染の爆発で、日本の数をあっという間に抜いてしまいました。大事なことは、感染者を隔離することであって、PCR検査はその判断手段でしかありません。和歌山県が一番必死でやったのは、この隔離であって、PCR検査はその手段でしかありません。韓国もイタリアも感染症の爆発がありましたが、それは感染者を有効に隔離して、本当に重症の人をちゃんと治療するという点が十分に出来ていないからだと私は推測しています。日本のTV報道でドライブスルー検診が報じられ、プラスの評価をされていますが、それはほとんど意味がないのではないかと思います。唯一の意味は患者が他の人と会う所に出歩かなくても検査ができるので、いい所ですが、陽性陰性の判定はどうしてやるのかというと、24時間後にネットで知らされるそうです。しからば、その24時間、検査を受けた人はどこで何をしているのでしょう。実は陽性と後で分かる人が出歩いて人に移しまくるという人が出てくるんではないでしょうか。それに、誰でも車でお願いに来た人に片端からPCR検査をするというのは変な話で、やっぱり症状を見て医師が疑い、疑いの程度の高い人から検査をして、陽性の人を隔離し、濃厚接触者を調べ回るという日本の方式の方がはるかにまっとうだということを、日本国民は理解しておかなければならないと思います。PCR検査をたくさんしたらえらいという、ひょっとしたら一部のマスコミにあったかもしれない考えは誤りです。そういう風潮があるからこそ、孫正義さんがPCRキットを100万個寄付するといった提案がなされるのだと思いますが、これは、そんなことをしたら医療崩壊が起こるという意見が出て、批判が高まり、撤回されたようです。よかったと思っています。
どうも政府にたてついたような発言をすると、かっこいいと思われる所が世の中にあって、TV局などから、好意的に扱ってくれるのですが、そんな政治的思惑など何の関心もありません。
ただただ県民の安全を考えて、その時その時でベストと思われる事を論理的に考えて、県民に丁寧に説明をしながら、皆が力をあわせてスピーディに対応する、ただこれだけのことを今後も続けるだけです。
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