IOCのバッハ会長との電話協議を終え、記者の質問に答える安倍首相(24日、首相公邸)
安倍晋三首相は24日夜、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と電話で協議し、夏の東京五輪・パラリンピックを1年程度延期することで合意した。遅くても2021年夏までに開催すると確認した。新型コロナウイルス感染の収束が見通せず、選手らの準備期間なども踏まえて判断した。
IOCは首相とバッハ会長の合意を受け声明を発表した。21年夏までに日程を再設定するとともに、大会名称「東京五輪・パラリンピック2020」の維持で合意したと明記した。IOCは電話会議で臨時理事会を開く。延期を決定した場合、100年を超える近代五輪史上初となる。
電話協議で、首相とバッハ会長は東京五輪・パラリンピックの中止はないと確認した。首相は「世界のアスリートが最高のコンディションでプレーでき、観客が安全で安心な大会とするために、おおむね1年程度延期することを軸として検討していただけないか」と提案した。バッハ会長は「100%同意する」と答えた。
協議終了後、首相が記者団に明らかにした。延期提案を1年程度とした理由については「現下の感染症の広がりをみる中において、年内は難しい」と述べた。21年夏までの開催を目標と位置づけ「しっかりと会場などの対応を調整していくことになる」と語った。
政府関係者は開催時期に関し「そのまま1年後ということだ」と解説した。
首相は「今後、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして、完全な形で東京五輪・パラリンピックを開催するためにIOCと緊密に連携していく」と訴えた。「日本は開催国の責任をしっかり果たしていきたい」と強調した。
電話協議は約45分間だった。首相公邸で大会組織委員会の森喜朗会長と東京都の小池百合子知事、橋本聖子五輪相、菅義偉官房長官が同席した。
IOCは22日に電話会議での緊急理事会を開き、大会の延期を含め4週間をメドに結論を出すと発表した。トランプ米大統領は電話協議に先立ち、東京五輪の延期の是非について「安倍首相が適切に判断する」とツイッターに投稿した。五輪への参加に関して「首相の考えに沿うことになる」と表明した。25日に日米首脳は電話で協議する。
東京五輪は7月24日~8月9日、パラリンピックは8月25日~9月6日を予定していた。
1年延期だと、21年夏には福岡市で水泳の世界選手権、米国で陸上の世界選手権がそれぞれあり、五輪と重なる。ただ、ロイター通信は23日、世界陸連が陸上世界選手権の日程変更の検討に入ったと報じた。
IOCが延期を含めた検討に入ったことを受け、米国の放映権を持つ米放送局NBCは23日、IOCの決定に理解を示す姿勢を明らかにしていた。米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)も23日、延期が最も望ましいとの声明を発表した。
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